大谷翔平の打席で鳴り響いた“愛のテーマ”、ドジャースの粋なオルガン奏者が持つ異色の経歴
週刊女性PRIME / 2024年6月25日 16時0分
切り込み隊長を任された大谷翔平が絶好調だ。
「開幕から2番打者を任されてきた大谷選手でしたが、1番を打っていたムーキー・ベッツ選手が日本時間6月17日の試合で死球を受けて骨折し、離脱。代わりに1番に起用された大谷選手は、19日に飛距離145メートルという特大の20号ホームランを放ちました。21日に21号、22日に22号を放ち、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです」(スポーツ紙記者、以下同)
球場に鳴り響いた『VIVANT』
そんな大谷の周囲で、ほかにも話題になったことが。
「本拠地のドジャースタジアムで行われた、16日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦の大谷選手の打席で、TBS系ドラマ、日曜劇場『VIVANT』のテーマ曲がオルガンで演奏されたんです。『VIVANT』といえば、大谷選手が真美子さんとアメリカと日本の“遠距離恋愛”中だったころ、同時に視聴してオンラインデートを楽しんだ大ヒットドラマ。アメリカで日本のドラマの曲が流れたため、驚いたファンも多かったようです」
現在の日本の球場では、あまり聞かないオルガンの生演奏。メジャーリーグでは珍しくなく、ドジャースでは長い歴史がある。
「ドジャースがニューヨークのブルックリンに本拠地を置いていた1942年から球場でのオルガン演奏が始まっています。チームは1958年にロサンゼルスへ本拠地を移転。ドジャースタジアムが完成した1962年から再開しました。オルガン演奏は80年以上続く伝統なんです」(在米ジャーナリスト、以下同)
野茂英雄氏をはじめ、多くの日本人選手が所属してきたドジャース。日本の曲もなじみ深いようだ。
「野茂さんのときには坂本九さんの『上を向いて歩こう』が演奏されていました。前田健太選手のときも、この曲が流れましたね。最近では、アニメやゲームのテーマ曲も多く、山本由伸選手が三振を取るたびに『スーパーマリオブラザーズ』に登場するヨッシーのテーマソングが演奏されたことも。現在はディーター・ルールさんという方が奏者を務めていますが、誰にどんな曲を演奏するか自分で考えているようで、『VIVANT』も大谷選手が見ていたドラマだと知っていたみたいです」
チームやファンを盛り上げるため、大谷夫妻の“愛のテーマ曲”を演奏するという粋な演出をしたルール氏とは、どういう人物なのか。現地で長年スポーツの取材をする梅田香子さんに聞いた。
奏者の異色の経歴
「地元・ロサンゼルス出身で、小さいころから野球やアイスホッケーが大好き。ドジャースのファンだったようです。高校まではクラシックピアノを習っていましたが、野球場のオルガン演奏にずっと憧れていたため、卒業後はバイトをしながら求人を待っていたそう。こうした職業に就く人は音楽系の大学を出ている人が多いので、ルールさんは珍しいタイプです」
大学には進まず、スポーツの現場で腕を磨いてきた“異色の経歴”の人物のようだ。
「ロサンゼルスに本拠地を置くプロアイスホッケーチームの『キングス』で1989年から演奏を始め、プロバスケットボールチームの『レイカーズ』で演奏した期間も。そうした中で、どうやったら観客の心をつかむことができるのか、試行錯誤してきたようです。現在も、野球とシーズンの時期が違うため、キングスでの演奏も続けています」(前出・在米ジャーナリスト、以下同)
憧れていた球場での“就職”が叶ったのは2016年のこと。
「前任者は28年間と歴代最長でした。引き継ぎの際には“自然の中で弾けばいい”と助言されたようです。オルガンのほかに電子ドラムを使うのが彼の特徴のひとつ。バスケなどの屋内競技には向いていないようですが、屋外の野球場ではドラムを使うことで迫力のある音楽になり、観客の反応もよかったそうです」
彼はかなりの勉強家で、ドジャースに新たな風をもたらしたという。
「ルールさんの前任者が奏者を務めていた野茂さんの時代には、インターネットも発達しておらず、日本の曲を調べるのは大変でした。そのため、アメリカでも『スキヤキソング』としてヒットしていた『上を向いて歩こう』がよく流れていましたが、日本の曲はそれくらいでした。ルールさんは、どんどん新しい曲を取り入れようと、SNSなどで“盛り上がる曲はないか”といつも研究していて、日本の音楽では『ゴジラ』や『進撃の巨人』、『セーラームーン』、『ドラゴンクエスト』の曲など、バリエーションが増えてきています」(梅田さん、以下同)
今回の『VIVANT』は、大谷が知っているからという理由だけでもないようだ。
「大谷選手が見ていた日本のドラマの曲とは認識していたようですが、純粋に音楽としていいと思ったので演奏したそうです。これまで日本の曲として定番だった『上を向いて歩こう』やアニメの曲とは雰囲気も違い、荘厳な曲。もしかしたらアメリカの野球場でもこの曲が流行るかもしれません」
美旋律で観客を盛り上げ、大谷をバックアップする体制は整っているようだ。
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