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《お札になってほしい偉人》現実味ある3位、各年代から支持の2位、そして1位は「偽造のリスクあり」

週刊女性PRIME / 2024年7月3日 6時0分

美空ひばり、手塚治虫(写真/共同通信)、湯川秀樹(写真/共同通信)

 来たる7月3日、慣れ親しんだ日本銀行券(以下、紙幣、お札)のデザインが刷新される。

 一万円札の顔を務めた福沢諭吉は、日本の経済史に名を残す渋沢栄一に変更。五千円札は小説家の樋口一葉から津田塾大学の創設者・津田梅子へ。医師で細菌学者の野口英世が担っていた千円札は“近代日本医学の父”こと北里柴三郎にバトンが渡される。

「お札に肖像が描かれる理由は『人の顔や表情のわずかな違いに気がつく』という人間の目の特性を活かし、偽造紙幣に違和感を抱きやすくするのが目的です。また、最先端の偽造防止技術が施されるのが特徴で、今回の新紙幣には3Dホログラムが採用されていますね」

 そう話すのは、国士舘大学大学院客員教授で歴史作家の八幡和郎さん。

 ニセ札対策も重要だが、紙幣に描かれる肖像画の人物も気になるところ。国立印刷局によるとお札の肖像には一定の基準を設けているというが、ほかにも適任者がいたのでは?と感じる人も多いはず。

 そこで今回、全国の男女1000人に「お札になってほしい偉人」について答えてもらい、ランキングを集計した。はたして1位は誰の手に?

あの歌手がお札に難しい理由とは

 10位にランクインしたのは、女性漫画家の草分け的存在である長谷川町子

「長年愛されている素晴らしい漫画の作者だから」(愛知県・57歳・女性)との意見があるように、彼女の代表作『サザエさん』のアニメは、今年で放送開始55周年を迎える。

 その間、時代は大きく変化しているが、今も多くの人に受け入れられる稀有な作品だ。

 第9位には『銀河鉄道の夜』で知られる童話作家・宮沢賢治がランクイン。

「弱者に寄り添う姿勢を貫いた芸術家」(埼玉県・65歳・男性)、「国民的作家だと思う。生きているうちに評価されなかったが今は教科書にも載り、日本人の誰もが一生に一度は宮沢賢治の作品に触れているはず」(宮城県・54歳・女性)など、彼の作風が得票につながった。

 続く8位は、昭和に活躍した歌手・美空ひばり

 アンケートには「後世に伝え続けたい昭和の歌姫」(宮城県・54歳・女性)、「国民栄誉賞を受賞しているから」(茨城県・67歳・男性)などの意見があがったが、八幡さんは「ひとつ懸念がある」と話す。

「当時は興業界と暴力団との関係が深かったので、山口組の田岡一雄組長が離婚記者会見にも同席していたほど。そのため、お札の顔になる可能性は低いでしょう。黒い交際がない昭和の芸能人から選ぶなら、寅さんを演じた渥美清や、世界に名の知れた三船敏郎はふさわしいかもしれませんね」(八幡さん、以下同)

 三船敏郎がにらみを利かせるお札、ぜひ見てみたい!

 7位に入ったのは、自らの足で日本全国を巡り、精緻な地図を完成させた伊能忠敬

 また彼は、55歳のときに地図制作を始めたことから「何歳でも夢を実現できることを身をもって示した人」(福岡県・63歳・男性)などの声も多数寄せられた。

 そして6位の織田信長は「戦国武将のお札が見てみたい。いちばん人気がありそうな織田信長がベストでは」(福岡県・43歳・女性)など、知名度の高さで票を獲得。

 常識外れの“うつけ者”と呼ばれていた信長だが、「楽市・楽座」を行い、国の経済を潤した実績も。商才に長けた点も、お札向きの偉人といえそうだ。

 そんな織田信長と深い因縁を持つ徳川家康は、同票数の4位にランクイン。

「戦国の時代から天下統一を成し遂げ、260年に及ぶ太平の世を築いた人物だから」(静岡県・70歳・男性)のように、成し遂げた偉業によって票が集まった。中には「戦国の世を安定に導いたので適任だが、肖像画そのものではなく、美化してほしい」(愛知県・64歳・男性)というコメントも。ビジュアルに難ありか。

 時代はさらに遡り、弥生時代の邪馬台国を治めた女王・卑弥呼がもう1人の4位に。

「わが国の古代史の礎を築いた女性でもあり、謎めいた部分も魅力的」(大阪府・63歳・男性)などのほか「お札になる“卑弥呼の顔”が気になる。現存する写真や肖像画もないので、どのように描かれるのか興味がある」(広島県・64歳・男性)という意見も多数。

「お札の顔になるには肖像があることが絶対条件なので、卑弥呼はさすがに難しいですね。女性の偉人なら『君死にたまふことなかれ』という反戦詩を詠んだ、歌人の与謝野晶子が現実的な人選ではないでしょうか」

ノーベル賞受賞者がお札になったら

 そして、3位にランクインを果たしたのは物理学者の湯川秀樹だ。

 アンケートには「彼のノーベル賞受賞のニュースは、戦後の暗い日本を明るくした」(兵庫県・69歳・男性)、「当時の日本人に自信と誇りを取り戻し、日本の未来は明るいと思わせてくれた。彼が研究していた『中間子』が何なのかはまったくわかりませんが……」(北海道・64歳・男性)など、彼の功績をたたえる声が多く寄せられている。

「湯川秀樹がお札の顔になるならば、誰も文句はないでしょう。日本人初のノーベル賞受賞者であり、世界的にも認知度が高く、写真も多い。いろいろな面でお札にうってつけの人物といえます」

 野口英世、北里柴三郎に次ぐ“学者枠”は、湯川博士で決まり?

 そして2位に名を連ねたのは坂本龍馬

「大政奉還」の大仕事に力を尽くした幕末の志士だ。コメントを見ると「『日本を今一度せんたくいたし申候』など、数々の名言を持つ偉人。立ち姿で片ひじを台についている有名な肖像画を紙幣に描いたらインパクトがありそう」(栃木県・57歳・男性)、「幕末のヒーロー的存在。みんな知っているし人気もある。お札にしたら、机の上に飾って眺める人もいるだろう」(福岡県・65歳・男性)など、各年代から厚い支持を得た。

「司馬遼太郎さんの小説『竜馬がゆく』で描かれた、颯爽としたヒーロー像にはかなり脚色があり、実際はもっと現実的な人物だったようですが、前向きだし、幕末維新の人物の中で珍しくアンチがいないのでいいと思います」

 そして栄えある第1位は、“漫画の神様”こと手塚治虫

「漫画を描くだけではなく、医学部の出身なのでいろいろな知識を読者に提供してくれた。『鉄腕アトム』をはじめ、未来の社会を描いた作品も多いので、子どもたちに夢を与えた功績は大きい。実際、手塚漫画の一部が現実化しているものもある」(新潟県・68歳・男性)など、作品の魅力を語る声が多い。

 また「手塚治虫さんとキャラクターたちがお札になったら、持っているだけで幸せな気分になりそう」(愛知県・50歳・男性)、「アトムと一緒にお札になってほしい」(大阪府・55歳・女性)など、彼が生み出したキャラクターが紙幣に描かれる案も。とてもにぎやかなお札になりそうだが……。

「手塚治虫の遺した功績は大きく、知名度ももちろん申し分ない。しかし、ネックなのがベレー帽とメガネという、彼のトレードマークです。メガネだけならまだしも、帽子で髪形が隠れていると偽造のリスクが高まります。ただ、そろそろ芸術関係の偉人がお札の顔になる可能性もあるので、私は岡本太郎をおすすめします。とても華のある紙幣になるはずですよ」

 財務省のホームページによると、紙幣の改刷はおおよそ20年のサイクルで実施しているとのこと。2044年に“紙のお金”が残っているかは不明だが、ぜひこのランキングを参考にしてほしい。

大人男女1000人に聞いた「お札になってほしい偉人ランキング」

1位 手塚治虫(1928年 - 1989年) 153票
2位 坂本龍馬(1836年 - 1867年) 137票
3位 湯川秀樹(1907年 - 1981年) 116票
4位 卑弥呼(170年ごろ - 248年) 96票
4位 徳川家康(1543年 - 1616年) 96票
6位 織田信長(1534年 - 1582年) 75票
7位 伊能忠敬(1745年 - 1818年) 71票
8位 美空ひばり(1937年 - 1989年) 65票
9位 宮沢賢治(1896年 - 1933年) 64票
10位 長谷川町子(1920年 - 1992年) 63票

※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて5月中旬、全国の30歳以上70歳以下の男女1000人を対象に選択方式で実施

財務省が公表している紙幣に描かれている肖像画の基準
(1)偽造防止の観点から、なるべく精密な写真を入手できること
(2)肖像彫刻の観点からみて、品格のある紙幣にふさわしい肖像であること
(3)肖像の人物が国民各層に広く知られており、その業績が広く認められていることといった観点を踏まえて、明治以降の人物から採用しています。(財務省HPより)

八幡和郎●評論家、歴史作家、国士舘大学大学院客員教授。1951年、滋賀県大津市出身。東京大学法学部を経て1975年に通商産業省入省。入省後、官費留学生としてフランス国立行政学院(ENA)留学。著書多数。最新刊は『紫式部と武将たちの「京都」』 (光文社知恵の森文庫)

取材・文/とみたまゆり

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