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「なんであの店潰れないの?」オバチャン洋品店に場末のスナック、気になる“お金のカラクリ”

週刊女性PRIME / 2024年7月7日 11時0分

不思議と人の気配を感じない店が多い

 YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』で登録者数50万人突破、税理士人気ブログ1位。異色の税理士として各メディアで注目を集める菅原由一先生。

 3冊目の著書『タピオカ屋はどこへいったのか?』(KADOKAWA)が発売2か月で5万部のヒットとなっている。儲けのカラクリを知り尽くした脱・税理士の菅原先生に、街の商売の疑問あれこれに答えてもらった!

Q1.動画や音楽の定額課金サービスとして定着したサブスク。最近では、ブランド品レンタルやレストランなども。どうして世の中にサブスクが増えてるの?

「サブスクは、一度契約すると解約するのは抵抗がある。特にお金にカツカツの生活でなければ無理に解約しない人がほとんど。“もしかしたら使うかも”と、ずっと契約し続けてしまう。

 僕なんかも動画配信アプリを6つ入れていますが、本当に見るのは1つか2つ(笑)。生活水準と同じで、一度得たものを手放すのは難しいのです。負け続けの株やギャンブルをやめるのに心理的抵抗を覚えるのも同じメカニズムです。

 そのため、サブスクの離脱率(解約)は非常に少ない。1000円以下のサブスク離脱率はさらに下がります。サブスクというと近年のビジネスモデルのような気がしますが、新聞の定期購読もいわばサブスク。

 毎月の料金は安くても、契約が長期化することで企業の収益が安定します。そのため、グーグル、アマゾンなど、アメリカの巨大企業はサブスクに力を入れてきたのです。私の友人は別荘のサブスクを利用していますし、これからもいろいろな業態で広がるでしょう」(菅原先生、以下同)

Q2.商店街でよく見かける、いわゆるオバチャン洋品店。特に安くもオシャレでもなく、さほど繁盛する様子もないが、不思議と潰れない。このオバチャン洋品店はどうしてやっていけるの?

「オバチャン洋品店には、潰れる店もたくさんあります。逆に潰れない店はずっと固定客がいて成り立っている。実は自分の母親も、地元で洋品店をやっていました。地方の洋品店をやっているオバチャンは地元の人脈がスゴイ!

 ほぼその人脈で商売が成り立っているといっても過言ではありません。うちの母親の場合は、噂話に花が咲く洋品店として、町の情報源のような感じになっていました。言い換えると、地域のコミュニティーとして機能していた。服を買う以上に価値ある情報をゲットできる場所だったわけです。

 とはいえ、儲かっていたかといえば、赤字にならない程度。家計のメインの収入があって副収入になるぐらいです。オバチャン洋品店は誰でもできるわけではない。前提条件として、コミュ力が必要。

 僕の事務所のある名古屋の地下街にはポツンポツンとオバチャン洋品店がありますけど、あの地下街全部の人脈を握っていると思っています(笑)。オバチャンにはそういうパワーがある。噂話やネットワークは、ビジネスで大いに強みですね」

 

Q3.今年の7月24日と8月5日は土用の丑の日。あちこちで良い匂いが漂い、スーパーやコンビニにもウナギが並ぶ。決して安くはないが、中国産より日本産のほうが上等なの?

「ウナギといえば国産品が高く売られますが、国産が良くて中国産が悪いということはありません。そのときのウナギの質によって変わる。あえて中国産を使う老舗店もあるくらいですよ。

 実はウナギは土用の丑のころは旬じゃない。“丑の日に食べるウナギがウマイ!”なんて言ってる食通さんはニセモノですね。本当にグルメなら丑の日には行きません。ウナギの旬は1月〜2月。

 おいしくないから、ハクをつけて高く売る。いわばジューンブライドみたいなものです(笑)。値段もわざと上げている。とはいえ、丑の日の売り上げは通常月の2倍もいきません。そもそもウナギは原価率が高い。飲食店の原価は3割ぐらいですが、ウナギは4割から5割と利益も大きくありません。

 僕が思うウナギ屋さんの不思議なところは、丑の日も昼休憩を取るところ。昔からのいろんな習慣や縛りがある業界ですね~。今年もウナギが不漁ですから、丑の日のウナギは高くなりそうです」

Q4.お客さんは1人くらいしか来ない、場末のスナック。若くも美しくもないママが、けだるそうに迎えてくれるスナックが、駅前のキャバクラやガールズバーにも負けず営業できるのはなぜ?

「規模から見ると、スナックはキャバクラや居酒屋に比べて小規模で省スペース。立地も、駅前の繁華街にあるキャバクラやガールズバーに対して、少し離れた場所にあることが多いですよね。このような違いが、スナックの開店コストや家賃などの運営コストを安く抑えています。

 そして注目すべきは接客スタイル。一対一で接客するキャバクラでは、若くてきれいな女性を何人も雇わなければいけません。これが人件費を押し上げます。一方、スナックではカウンター越しに会話する一人対複数人(お客さん)の接客スタイルを取っている。これで人件費を安く抑えられる。

 提供するメニューの数も居酒屋のように多くなく、コストが安い。結果的に、お客さんのお財布にも優しい価格となります。固定費から運営費までを安く抑えたスナックだからこそ、ふらっと気軽に立ち寄る場所として、細く長く、いわばサステナブルな経営が可能になるのです」

Q5.通常1斤200円程度なのに、2斤分で1000円ぐらいで売られていた高級食パン。あんなに流行っていたのに、現在は全国で閉店ラッシュ! みんな飽きちゃったの?

「ブームの火つけ役ともいわれた『乃が美』はピーク時、全国47都道府県すべてに出店しました。2019年以降は売り上げが減少。どんどん店舗を減らしていっています。でも実は都心の店舗ではまだ売れているんです。地方の店舗の売り上げが落ちただけ。

 やはり単価の高い物は地方では売りづらい。価格がネックになっています。全国に高級食パンの店ができたことで、商品の特性である“非日常性”“高級感”が失われました。平たく言うと、どこにでもあるので飽きられてしまったのです。

 さらに店舗数が減ることでマイナスイメージも加速し、売り上げが落ちる。ルイ・ヴィトンの店舗が全国にいくつあるか知っていますか?

 僕はもっとあると思っていましたが50店舗です。その店舗のほとんどが都市圏に集中。“ルイ・ヴィトンの店がない県”が圧倒的に多いんです。所得の高い層の住むエリアに出店し、ブランドイメージを維持する戦略を取っている。

 高級食パンのメーカーもそういう戦略を取るべきでした。戦略ミスが今回の高級食パンブームの急速な終焉を招いたといえます」

Q6.観光地の土産物店に行くと、つい買ってしまうご当地グッズや記念品。旅から帰って冷静になると、なぜこんなものを買ってしまったのか反省……。旅行先で無駄に散財してしまうのはなぜ?

「皆さん、旅先では気が大きくなりがちですよね。これを説明するのが、『メンタル・アカウンティング』という言葉です。直訳すると、『心の会計』。お金を使うことやお金そのものの価値観が、置かれている場所や状況によって変わることを意味しています。

 わかりやすく言うと、消費者の財布のひもは、特別感のある状況で緩くなるということ。旅行先だけではなく、結婚式などのお祝いの場も、ケチることが無粋とされているため、太っ腹な心理となり、財布のひもが緩みます。

 また、旅行は時間が限定されているため、『今、楽しまないと損』という焦りも加わって、さらに散財してしまうのです。逆に、日常の買い物では財布のひもを締めますよね。普段、特売品の牛乳を買うために隣の駅のスーパーまで行く節約主婦でも、旅行先では不要なキーホルダーを何個も買ってしまうのはそのためです」

大人気・菅原先生の本

タピオカ屋はどこへいったのか?商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA/1650円)

 ビジネス成功のヒント満載!ビジネスに関心がなくても街の不思議が読み解けて楽しい一冊


取材・文/ガンガーラ田津美

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