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「俳優業が大好きなんて思わない」毎度“辞めたい”と語る大沢たかおが俳優を続けるワケ

週刊女性PRIME / 2024年7月12日 6時0分

大沢たかお(56)撮影/矢島泰輔

 春秋戦国時代の中国。戦災孤児の信(山崎賢人)と、後の始皇帝となる若き王・嬴政(吉沢亮)が、史上初の中華統一を目指す歴史スぺクタクル映画『キングダム』。原作漫画の累計発行部数は1億部を突破。実写映画は3作が'19年、'22年、'23年に公開され、いずれも50億円を超える大ヒットシリーズに。

王騎を演じている大沢たかお

 秦と趙による“馬陽の戦い”の後半が描かれる『キングダム 大将軍の帰還』が7月12日、ついに公開される。

 「撮影をしてから、わりと時間がたっていて。そういう意味では一観客というわけにはいかないまでも、比較的冷静に完成作を見られました。最終章ならではのすごみがスクリーンからあふれ出ている。すごく感情移入し、堪能しました」

 とは秦の総大将で、圧倒的人気の王騎を演じている大沢たかお。強くて、器が大きくて、懐が深い。原作ファンを裏切らない王騎像を作るべく、約20キロ体重を増やして撮影に臨んだ。

 「人が生きること、夢を目指すこと、はい上がること……。そんな熱いエネルギーがやっぱり『キングダム』の魅力なんじゃないかなと思う。全員が自由の夢や目的のために、なりふり構わず懸命に生きている。エネルギーを出しにくい今の世の中だからこそ、胸を打つのかな」

 この人以外に、誰があの王騎を体現できただろう? 唯一無二のハマり役だ。

 「ハマり役ではないでしょ? あの役は、はめられてないよ(笑)。僕じゃない人がやったら、その人なりの王騎将軍をやるだろうし。基本的にこういうのって、本当に正解がなくて。特にああいう、ちょっと人間離れしたキャラクターは。逆に言うと、ほぼ漫画だから。それをやるっていうのは、やっぱり正解がないですよ。どこをどう抽出するのか。どこを大事にして、どこを大事にしないのか。そういう選択が必要になってくる中で、たまたま僕は僕なりの選択をした。別のところを切り取っていれば、また別の王騎将軍になっていただろうし」

 膨大な原作の中から抽出された台本、身にまとう鎧など、製作陣のそれぞれが“これだけは絶対!”を持ち寄った結果があの形なのだと語る。

 「そういう意味では僕というよりも、みんなで作ったキャラクター。逆に言うと、現場の誰もが“みんな大好き王騎将軍”って言っていたから、そうじゃなきゃいけない。誰にとっても“みんな大好き王騎将軍”であってほしいと僕も思うし、そのためにみんなで頭をひねったキャラクターなんですよね」

寝られないぐらい、しんどくなる

 本作で熱き戦いは、心震えるクライマックスへ。シリーズ最終章と謳われている。クランクアップはどのように迎えたのだろう?

 「日没直前のギリギリまで撮影していて。僕は最後のシーンのことに必死で“どうしようかな”とずっと考えていたかな。その後、鎧を脱ごうとしたら、スタッフの女の子に“1枚だけ一緒に写真を撮ってほしい”と言われて。そのときに初めて“あ、これを脱いだらもう二度と着ないんだな”と思った。何年も一緒にやったからね。もう何年も。なかなかこんなに長い間ひとつの役、特徴のある役をやることってないですから。やっぱりちょっと苦しかったですよね。もう(王騎に)なれないわけだから」

 しかしながら、作品の中で王騎は生き続ける。

 「そうなんですけど。長いことやってくるとある種、役と自分ってダブってくるんですよ。大変な仕事であるほど。その状態に二度となれないっていうことに、ものすごく寂しくなる。寝られないぐらい、しんどくなる。もう永遠の別れなので」

 今でもふと、王騎が自分の中に蘇ってくるような感覚はあるのだろうか?

 「どうなんでしょうね。自分の中にいるかと聞かれると、ちょっとわからないですね。やっぱり身体もずいぶん変わっちゃってるし。あの体重、フォルム、鎧……いくつもトリガーがあるから。それらによって初めてスイッチが入るんですよね」

 だから今は、王騎はすごく淡い感じなのだという。

 「でも、そうじゃなきゃいけないんです。今でも濃いと、抜けられていないっていうことなので、それは逆によくない。クランクアップから時間が流れ、だんだんちょっとずつ心が整理されていく。僕がラッキーだったのは、たまたま次に『沈黙の艦隊』をやったこと。まったく違う水の中の世界に行かなきゃいけなかったから(笑)。そうやって無理やりにでも切り替えなきゃいけないことは、助けになるんですよ。そうじゃないと、ずっとそこにいたくなっちゃうから」

もし、30年前に戻れたとしたら

 '94年にドラマ『君といた夏』で俳優デビューして、丸30年になる。もし、30年前に戻れたとしても、やはり俳優の道を歩むと思うかと尋ねると、

 「30年前はもう始めちゃってるからね。もう、やらなきゃいけないじゃないですか(笑)。始めちゃったら引っ込みがつかない仕事だから」

 では、モデル時代であったなら?

 「俳優を始めてなかったら、わからないね。でも、たとえ再び俳優を志したとしても、今のように30年間やれるはずはない。たまたま奇跡的に来ただけの話なんですよ、はっきり言って。そんなの二度とない。1000回繰り返したって絶対無理。こんな奇跡的な運や縁、人に恵まれることなんて、もう二度と無理。僕の事情なんて、本当にちょっとなんですよ。俳優業ってそういうことなんですよね」

 30年という長い時間の中で、俳優をやめたくなったことはあったのだろうか?

 「毎度!」

 意外すぎる答えが返ってきた。

 「俳優業が大好きなんて思わない。いろんな人からたくさんのお金を出してもらってやっているから、喜んでもらうことは当たり前なんです、プロだから。それが僕の仕事だから。“絶対に喜ぶ”じゃないとダメなんですよ。趣味でやってるわけじゃないから。趣味だったらやりたいことだけをやって、やりたくなかったら帰ればいいから楽なんですよ。でも仕事だから、僕の好き嫌いなんて関係ないんです。だから、いつもやめたいって思う(笑)」

 計り知れない重圧、結果を出し続ける不断の努力。圧倒的なプロ意識ゆえに、逃れたくなるほうが自然なのかもしれない。それでも、やっぱり俳優であり続ける理由は、

 「自分の携わった作品を見た人が“元気になった”とか“もう1回仕事頑張ってみようと思う”、“行きたくない学校に行ってみる”とか言ってくれるのを聞くから。それって、この仕事のすごいところじゃないですか。会ったこともない、住む場所も人生も違う人が、自分の出た作品に感動してくれたり、笑顔で劇場を出てくれたり……。そんなふうに思うと“もう1回トライできるかな”って思うんですよね。そうじゃなかったら やらないですよね、こんな大変な仕事」

 もう1回喜んでもらえるチャンスがあることに、突き動かされるのだという。

 「例えば、僕が急に20キロ太って、髷をつけて出てきたら、お客さんは“わぁ!”って思うのかな、とか。そう思ってもらえたらすごくいいじゃないですか! そう考えるとやってみたくなるんですよ。エンターテインメントって、サプライズだから。でもその後には、もっと大きなサプライズはないかと考え始める。そんなふうにだんだんしんどくなっていくんですけど(笑)」

 今後も大沢がくれるサプライズに、期待せずにはいられない─。

ヘアメイク/神川成二 スタイリング/黒田領

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