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「熟年離婚」「ローン一括返済」「冬のマラソン」65歳をすぎて“やってはいけない”10のこと

週刊女性PRIME / 2024年7月28日 11時0分

※写真はイメージです

 健康寿命が長くなり、高齢者でも新しいことへのチャレンジが可能に。しかし、体力や時間的余裕を過信して、いざやってみると失敗……。医師の平松類先生とお金のプロ・越原市美さんに、年を重ねてからは“あえてやらないほうがいい”ことを聞いた。

1.スマホで動画視聴

スマホの見すぎで典型的な疾患が緑内障。近視が進み、それによって緑内障が起きやすくなる」と言うのは、二本松眼科病院副院長で高齢者問題に詳しい平松類先生。

 NetflixにYouTubeの視聴と、当たり前にスマホを使いこなす昨今の高齢者。娯楽が増えるのはいいが、目に悪影響を及ぼすことがあると指摘する。

緑内障のほかによくあるのはドライアイで、これはホルモンの関係などで特に女性に多くなっています。スマホの見すぎは眼精疲労にもつながりやすい。疲れ目と違って眼精疲労までいくとこり固まって数日休んだ程度では治らない。頭痛や肩こりを引き起こすこともあります

 と平松先生。これらはスマホの普及後、とりわけコロナ禍の影響で近年増加した現象だと語る。しかし動画を見るなと禁止するのはなかなか酷なもの。

「一番の問題は距離。目に近いほど負担がかかりやすい。スマホは目から約20cmと近く、本やタブレットで約30~40cm、パソコンで50cm前後、テレビは1m以上といわれています。動画を見るならスマホではなく、テレビで見るほうがよいでしょう」

2.不慣れな道の運転

 高齢者の事故率が高いのは周知の事実。そこには確かな裏付けがある、と平松先生。

高齢になると判断能力や反射スピードが衰える。有効視野が狭くなり、これが最も事故率に影響するといわれています

 正面を向いた状態で注意できる範囲が有効視野。例えば前を見て運転していて、横から子どもが飛び出してきたときとっさに対応できる範囲を指す。

通常でも有効視野の範囲は約20~30度。環境によっても有効視野は変わります。例えば不慣れな道で緊張していたり、時間に追われて焦っていたりすると狭くなる

 免許返納という手もあるが、なかには高齢で危険だからという周りのすすめに耳を貸さない人も。

「これには高齢者ならではの特性があって、高齢者は大体年齢を2割引きで考える。例えば60歳だと48歳、70歳なら56歳の気持ちでいる。だから本人としては、まだ運転をやめる必要はないよね、となる。

 もし高齢者が運転するなら、遠方や不慣れな道は避けるようにして。有効視野の広がる慣れた道で運転することをおすすめします」

3.冬のジョギング

 健康のため、長生きのためと、運動に挑戦しようという高齢者は多いはず。しかしそこにはさまざまなリスクが。

寒い場所で急激に走ったりすると、血圧が急に上昇して、脳梗塞や心筋梗塞などの原因になりやすい

 と平松先生。もちろん運動を生活に取り入れることは決して悪いことではない。ただそのボーダーラインが大切だと言及する。

「運動を始めるなら気候がいい時季に、少しずつ取り入れるようにして。運動はやらなすぎも良くないけれど、やりすぎも身体には良くない。程よくというのが大切です。その一つの目安が、会話ができるくらいの運動をすること。

 ウォーキングにしても、誰かと話しながらできる程度。それは個々の運動経験によっても違って、話しながらできるならジョギングでもいいし、ランニングをしてもいい。話しながらできる程度の運動にとどめることが最適のペースであり大切です」

4.退職金の全投資

退職金をすべて投資に回すのはNG」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの越原市美さん。

 65歳となると大半が定年を迎え、退職金の有効活用を考えるころ。しかし、

投資というのは必ずリスクを伴う。投資を当てにしないのも一つの選択。残された時間はさほどない。身体も精神も健康なうちにやりたいことをするために、無理に増やそうとせず、人生の持ち時間の中でどれだけお金を自由に使えるようにしておくかが大切です

 と促す。健康上の問題で日常で制限されることなく生活できる健康寿命は男性72.68歳、女性75.53歳で、65歳から数えるとわずか10年程度ということになる。その残された10年をどう生きるか。

「生き方を明確化し、何にいくらかかるか考え、やりたいことにお金を使うこと。生活費も必要になるし、その先は医療費もかかる。子どもの結婚もこれからという方もいるでしょう。退職金を使い切らず、そうしたことに使うお金は残しておきましょう」

5.熟年離婚

 一時期ブームとなった熟年離婚だが、「倫理面はさておき、医学的にはやめたほうがいい」と平松先生。とはいえ伴侶の存在自体がストレスで、夫が定年になったら離婚したいと望む妻も多いと聞くが。

ストレスはありすぎもダメだけど、まったくないのもダメ。ストレスというのは程よくあることが大切になる。これは夫婦関係だけに限りませんが、面倒な人間関係を持っている人や、誰かといたほうが長生きをしやすいという統計もあります。

 離婚をして人とのコミュニケーションがなくなると、刺激がなくなり、うつや認知症にもなりやすくなります

 友人知人が少なく、希薄なコミュニケーション下にある高齢者ならなおさらだ。

 ただここで気をつけたいのが、伴侶への過度な依存。仲むつまじいのは結構だが、伴侶が生活のすべてとなると、失ったときの反動は大きい。

「夫や妻が亡くなった喪失のストレスによってうつ傾向になる方は多い。男性の場合はお酒におぼれてアルコール依存症になる確率も高くなります。自殺率も上がり、病気になる確率も高くなる。

 実際、統計では伴侶が亡くなって半年以内の死亡率が約40%上昇するというデータがあります。あまり一人に依存しすぎないこと。日頃から気をつけるようにするといいですね」

6.住宅ローンの一括返済

一括返済すれば気分はすっきりする。ただ当然お金もなくなってしまう。高齢者は手元にお金を残しておいたほうが何かと安心です」と越原さん。

 墓じまい、家じまい、介護など、高齢になると何かとお金が必要になることもある。例えば墓じまいだと100万円では足りず、思いがけず高額な出費になることも。

固定金利の場合であれば、年金で月々返済できていれば無理に返済することはない。住宅ローンの団体信用生命保険に入っていれば死亡などいざというときも、返済には問題はありません。

 まだまだ自分は働ける、稼げると思っていても、実際は体力が落ちて物理的にできないことも。それを肝に銘じ、無理なく生活することを第一に考えて

7.家のリフォーム

年を取っても変化というのは基本的に好ましい。ただ高齢者の場合、環境が変わりすぎると負荷がかかりすぎることがある」と平松先生。例えば、水回りの大きな変化やリフォームが挙げられる。

使い勝手や動線が変わったことで、家事がしにくくなる。新しい環境になじめず、おっくうになってしまう高齢者は多いんです

 年老いたからといって、娘や息子のもとで暮らすというのも考えもの。心機一転、新居で生活を始められるか否か。

「高齢者の場合、変化に適応するのが若いころより難しくなってくる。子どもとの同居にしても、一見良いことのように思えるけれど、そこで適応できないと認知症やうつになる危険があります。

 そもそも高齢になると行動量が減るので、外出する機会も減っていく。当然他人と会う確率はより減っていき、新たな人間関係をつくるのは難しくなってくる。ただこれは人によっても違って、好ましい方向に向かう人もいる。自分にとって無理のない範囲の変化を心がけて」

8.高額な買い物

若い時と比較して情報を入手する力や体力が落ちる。商品の良しあしではなく、高齢者は感情によって物を判断しやすく、そのため判断を間違えやすいです」と平松先生。

 例えばパソコンを買うにしても、若者はスペックや性能を考え、比較検討して初めて購入する。対して高齢者は店員など人を基準に物を買う。

高齢者は若い時に比べて人を信じやすくなる。この人は信頼できる、この人はいい人だからこの商品はいい物のはず、だから買おう、となる。テレビショッピングが高齢者に人気なのもそれが理由の一つといえるでしょう

 それゆえ高齢者は詐欺のターゲットにされやすい。若い人に比べて貯蓄額も大きく、被害もより大きなものに。

「調査によると、若い人で平均131万円、高齢者は平均396万円と、3倍の被害額が報告されています。高価な物を購入するときは、まず若い人に相談を。もし息子や娘に言いにくいなら、夫や友達に相談するのでもいい。高齢者同士だとしても、第三者が交ざればまだ冷静に判断しやすくなるでしょう」

9.男女の役割への固執

65歳になったら男女の役割分担をいったんクリアにしてみては

 と、越原さん。65歳となると多くの人がリタイアし、夫婦の関係性や社会とのつながりもまた変わる。

夫だから、妻だから、ということからお互い解放されて、働きたいほうが働けばいいし、できるほうが家事をすればいい。熟年離婚を考えていた夫婦で、立場が変わったことで気持ちがわかり合えるようになった、というケースもあります

 そこで大切なのが、お互いの財布の中身を把握すること。

「お金の動きを知るためにも、財布の中身はそれぞれ打ち明けるべき。お互いどれだけあってどれだけ使えるかを共有しないと、この先立ちゆかなくなってしまう。財布の中身がわかれば、生活の彩りに使えるお金も自然と見えてくる。

 例えば妻は化粧品、夫は音楽と、これは譲れないというものもあるでしょう。またそれを互いに許すことで、ちょっとしたゆとりも生まれるはず」

10.ネガティブ思考

ポジティブ思考のすすめはよくいわれる話ですが、これは長寿の秘訣でもあります

 と平松先生。そこには高齢者ならではの思考傾向があるという。

高齢者はたいてい自分に自信がある方が多い。自分は有能だと過信するくらいの方もいますが、それはいいことです。有能な自分を大切にして、健康に気をつけたりもして、その結果長生きをする。つまり、高齢になると有能感が増しているというより、有能感が高い方が生き残っているのです

 しかし、長年かけ根づいたネガティブ思考をただすのは難しい。高齢者がポジティブになるための秘策を聞いた。

「おすすめは植物を育てること。ある研究では、植物を育てている高齢者とそうでない人を比較すると、育てている人のほうが長生きするという結果が出ています。なぜかというと、自分がした努力に対してちゃんと成果が出るから。

 成功体験が得られ、自分がやったことが社会に影響を与えている、自分が役に立っているという自己効力感が生まれてくる。健康で長生きするためにも、高齢になったらポジティブ思考を心がけましょう

お話を伺ったのは……

 

平松 類先生●二本松眼科病院副院長。眼科専門医、医学博士。目の健康や、患者と医師のコミュニケーション、高齢者特有の症状や悩みなどをテーマとした講演・執筆を手がけ、テレビや新聞などのメディア出演も多い。YouTubeで「眼科医平松類」として情報発信も行う。『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)

越原市美さん●ライフデザインラボ・オリーブ代表。CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、マイアドバイザー(R)ドコモ社内ベンチャー第1号として両立支援情報提供会社「株式会社ダブルスクエア」代表を務めた。現在は独立系FPとして50代前後をメインにライフプラン等のアドバイスを行う。


取材・文/小野寺悦子

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