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「菌にも多様性が必要」腸のプロが実践する“夏の腸活”食欲減退の季節に気をつけること

週刊女性PRIME / 2024年7月28日 7時0分

※写真はイメージです

 湿度や気温が上昇する夏は、細菌性の食中毒が発生しやすい季節。

「腸内環境を整えることが、食中毒菌の感染防御につながります」

 教えてくれたのは1万2000人の腸を調べた研究者で薬学博士の國澤純さん。

お弁当に梅干しを入れると腐りにくくなるように、腸内が酸性になると病原体や悪玉菌が苦手な環境になります。カギを握るのは“短鎖脂肪酸”。食物繊維をエサとして腸内細菌がつくり出す酸性の物質です。

 腸の中を弱酸性にし、腸の粘膜を保護してウイルスや病原体などの侵入を防いだり、ぜん動運動を活発にして排便を促す働きがあります」(國澤さん、以下同)

菌の連携プレーで健康効果を最大化!

 では“短鎖脂肪酸”が機能する元気な腸のために何を食べるべきか。発酵食品や野菜は強い味方になるが、別々よりも一緒にとることで菌の力を余すことなく発揮する。

「例えば、納豆と玉ねぎを一緒に食べると、短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸)を増やす効果が上がります。

 まず、納豆菌の酵素が玉ねぎの食物繊維やオリゴ糖から“糖”をつくり、それを材料にして腸にいる乳酸菌やビフィズス菌が“乳酸”や“酢酸”をつくり、それをまた材料にして腸内細菌の酵素が“プロピオン酸”や“酪酸”をつくります。短鎖脂肪酸は複数の菌がリレーのように分業して生み出しているのです

 腸にいい菌を含む発酵食品と、菌が好む食物繊維やオリゴ糖を一緒にとりつつ、さらにビタミンB1を含む豚肉や玄米などの食材を追加すれば、短鎖脂肪酸の産生を助けながら免疫力アップも期待できる。

ばっかり食べはNG!菌にも多様性が必要

 暑さで食欲がないとそうめんなどさっぱりした食事に偏りがち。栄養不足は、夏バテの原因になるだけでなく免疫細胞も弱らせてしまう。

「腸の免疫は全身の免疫バランスに影響を与えます。同じものばかり食べていると、それをエサにする菌だけ増えていき、ほかの菌が働きません。バランスよく食べるようにすれば、さまざまな菌が健康にいい物質をつくり出して免疫力が上がります」

 國澤さん自身は、汁より具が多いくらいの野菜たっぷりみそ汁が朝晩の定番。きのこ類と冷蔵庫の余り野菜で作るのが、気軽に続けられていいそう。

 コンビニで選ぶなら、もち麦入りのおにぎり+納豆巻き+ヨーグルトが最強で、発酵性食物繊維、納豆菌、乳酸菌やビフィズス菌を一緒にとれる。市販のヨーグルトは種類が豊富だが、選び方は?

「乳酸菌は小腸、ビフィズス菌は大腸に多く生息しているので、免疫重視なら乳酸菌、便秘ならビフィズス菌入りを意識するといいかもしれません。

 腸全体のバランスを考えるなら、菌が偏らないよう、その時々の特売品を買うのもおすすめです。1個80g程度の3個入りヨーグルトならランダムにローテーションしやすいですね」

 腸内環境が整うまでには数週間から数か月の個人差があるが、スルッとバナナ状の便でトイレットペーパーで拭かなくてもいいくらいのスッキリ感が目安になる。

「腸は身体に悪いものが入らないよう忙しく働いているので、お腹の中でペットを育てる感覚で、腸内細菌が喜ぶエサを与えるようにしましょう

教えてくれたのは……國澤 純さん●国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 副所長。腸と免疫研究の第一人者で健康と疾患を制御する精密栄養学に精通している。著書に『善玉酵素で腸内革命』(主婦と生活社)がある。


取材・文/廣瀬亮子

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