「いつだって今が一番若い」相川七瀬は大学院生!歌手、学業、育児、分刻みの日々を語る
週刊女性PRIME / 2024年8月3日 21時0分
『夢見る少女じゃいられない』で鮮烈なデビューを飾ってから29年。歌手活動の傍ら、45歳から大学へ。さらにこの春からは大学院へと進んで話題となっている相川さん。3人の子どもを育てる母親でもありまさに目が回るほど忙しい日々。なぜ今、寝る間も惜しんで学業に取り組むのか。将来を見据えた、相川流の人生の楽しみ方を伺った。
休むと決めないと休みがない
「今が人生でいちばん忙しいかも。こんなに忙しくなると想定してなくて。この4月、5月はずいぶん苦しみました」
そう語る、歌手の相川七瀬さん。4年前に國學院大學へ進学し主席で卒業。そして今年4月からは、さらに大学院へ、学びの幅を広げている。
「来年は修士論文も書かなきゃいけないし、デビュー30周年も迎える年。今年のうちにできることは全部終えたいと思って詰め込んでいます。おかげで刺激的な毎日です(笑)」(相川さん、以下同)
新しいことに果敢にチャレンジし続ける相川さんだが、ようやくこの生活にも慣れてきて、最近はお弁当作りも始めたという。
「大学院では食堂に行って食事をとる時間もないので、お弁当生活を始めたんです。それを見た子どもたちも“お弁当がいい”と言い出して。いまは家族のぶんも作っています。子どもたちも大きくなってきて、夜はそれぞれのタイミングで食べることが増えたんですよね。だから朝と昼に同じものを食べることが、大事な親子のコミュニケーションになっている気がします」
さらに、学生になってからは、朝型にシフトして時間を有効活用しているそう。
「朝起きたらまずお弁当を作って、ジムに行って運動して、家に帰ってごはん。勉強も夜より朝のほうが効率がいいので朝からやっています。夜だと間食したり、夜ふかしは肌のコンディションにもよくないし。睡眠は、6時間はキープしたいので夜は12時までには寝るようにして。ライブ中なんかは寝ないと喉の調子が悪いので、なんとか10時には寝る生活にしています」
歌手活動はもちろん、学業、さらにフィールドワークで全国各地の祭りや神事に参加することもある。息抜きの時間はあるのだろうか。
「いや~、日々疲れてるんですけど(笑)、休むって決めないと休みがないんです。大学院、仕事、子どもとの時間、どれも疎かにはできない。だから、自分の時間がないのは感じていて、ひとりでボーッとしたいなぁとか、南の島へ行きたいなぁとかは思いますよ。大人になってから、南の島へ行きたいなんて思ったことがなかったので、“私、重症だな、病んでるんだなー”みたいな(笑)」
そんな相川さんの癒しの時間は本を読むこと。
「本が好きだから邪魔されずに読みたいんです。ツアーで地方に行ってひとりで泊まれるときは、子どもに話しかけられることもないし没頭できるので、それがささやかな幸せです(笑)」
特に物語が好きで小説をよく読むという相川さん。読後は感想をブログにあげるのも楽しみだという。
「読んで自分がどう感じたかを書くのが好きなんですね。それに、すごくいい本だったけど、どんな内容だったっけ? って思い出せない時に自分のアーカイブから引っ張ってこれるのも便利です」
映画やドラマを見たり、人の話を聞いたり“言葉に出会う”ことが好きと話す。学び直しの原点もまさにそこにあるという。
「書いて死にたい」という思いが強くあった
「40歳を過ぎたころ、このまま年を重ねていって子どもも巣立ち、夫婦2人になったらどうするんだろう、と漠然と不安になったんです。最終的に“私”という人間がどうなっていたいか考えたときに、歌も歌っていたいけど、何かを書いていたい、書いて死にたいという思いが強くあって。ちゃんと書くことを学ぶために大学に入ったところもあります。書くことは70歳でも、80や90歳になってもできますから」
学べば学ぶほど、枝葉が伸びるように探求心が深まると相川さん。実は、大学では神道学専攻であったが、大学院で民俗学へと専攻学科を変更している。
「神道の政(祭り事)を学びたい、地域に生かしたいといった思いがあったのですが、それって、人がつくっているわけですよね。ということは、その地域それぞれの民族的特徴があって、それを生かした伝承でなければさらに根づいていかないわけですよ。
一つを学べば、違う角度からも学びたくなるし、さらに出会いも広がる。それが刺激的です。新しく何かを始めたいなら急がなきゃって。だって、今が一番若いわけだから。人生は長い。やりたいことは今始めればいいんですよね」
とにかく多忙な相川さんにとって、お子さんの存在は大きな支えとなっている。
「子どもたち3人は6歳ずつ年が離れているんですけど、成長して自分でできることが増えたのでずいぶん助けられています。前は“ごはんまだー?”って待ってるだけだったのが、“ママ、今日はごはん作れない”なんて日には“じゃあなんか作るよ”って焼きそばを作ってくれたり、たまった洗濯物を畳んでくれたり。自分がいつまでもやってあげなきゃ、って思っていたのが、いつの間にかお世話されていて……。ありがたい存在です」
順調な子育ての様子がうかがえるが、苦労したことはなかったのだろうか。
「年が離れてるからか、そんなに激しいケンカもしないし、とても仲がいいんです。上2人が男の子で、下が女の子なんですが、長女がいちばん強くて、上2人が長女の機嫌をとってる感じ(笑)。思春期や反抗期ももちろんあったんですけど、凄まじいほどではなくて」
相川さんの10代を振り返るとむしろおとなしいくらいだという。
「私自身が当時、凄まじい反抗期で、家出も何回もしたし、反抗的なこともしたので(笑)。今思えば、私が反抗してたのは、母親に自分の気持ちを理解してもらえなかったフラストレーションがあったから。だから子どもがそうなったときは、徹底的に話し合うことにしています」
自分のころと比べると、子どもたちはとても大人だと笑う相川さん。
「ちょこちょこ反抗的なときもありますけど、“わかるよその気持ち、私も同じことをお母さんにやったから”って思えるんですよね」
パワフルに過ごす相川さんだが、50歳を目前にして体調の変化はあるのだろうか。
「ありますよ! もう目がぜんぜん見えなくなっちゃって。辞書なんかは老眼鏡をかけても見えにくくて、最近は写真を撮ってそれを拡大する方法を覚えました(笑)」
ファンをガッカリさせたくないし自分もガッカリしたくない
不可抗力なこともあるが、体力の維持には余念がない。
「勉強で頭ばっかり使っているので、なるべく身体は動かすようにしていて。『フィールサイクル』(暗闇で行うバイクエクササイズを行っているフィットネスジム)にはもう8年ぐらい通ってます。全国にあるのでツアー先でも行けるし、私には合ってるみたいです。年々、体力も落ちてはきているのですが、ステージでのパフォーマンスは絶対に落としたくなくて。年齢に合った体力づくりは常に模索していますね」
また、代謝が悪くなって以前よりやせにくくなったため、昨年は食事で体質改善を行ったという。
「日々体力勝負。食べないでやせるのはムリなので、糖質を減らしてタンパク質メインの食事に変えたんです。タンパク質って鶏肉とか卵とかのそっけないイメージがありますけど、タイやカツオ、イカなんかのお魚にも豊富で。ブロッコリーやカリフラワーとか野菜にも含まれているものがあるので、その辺をうまく組み合わせて、食べて運動してやせることを心がけました」
そのかいあって体重は2年で4kgダウン。しかも体調もすこぶるいいという。
「きれいにやせられただけじゃなく、減ってきたなぁと思っていた髪のボリュームや爪なんかもずいぶん元気になって。人間の身体ってタンパク質でできてるんだなと、改めて思いました」
8月からは全国ツアーも始まる。そして来年はデビュー30周年を迎える節目の年。
「歌えなくてファンをガッカリさせたくないのはもちろん、自分もガッカリしたくないんです。そのためにも運動やトレーニングを積み上げて、内容の濃いロックをお届けしたいと思います」
「相川七瀬Live Emotion 2024」
8月3日(土)Zepp Fukuoka、10日(土)Zepp Nagoya、11日(日)Zepp Namba、17日(土)SENDAI PIT、24日(土)Zepp Sapporo、31日(土)Zepp DiverCity TOKYO
取材・文/荒木睦美
相川七瀬さん 1975年大阪生まれ。1995年にデビュー以降、次々にヒットを連発。ファーストアルバム『Red』は270万枚を超すダブルミリオンを記録。大・高・小学生の2男1女の母。
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