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《都知事選で見えたヤバい面》“出演者を下に見てきた”テレビの打たれ弱さと石丸氏の“バチェロレッテ”戦法

週刊女性PRIME / 2024年8月3日 6時30分

元安芸高田市市長の石丸伸二氏、街頭演説の様子

世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。 

第37回 石丸伸二 

 東京都知事選において、蓮舫氏をしのいで約165万もの票を獲得した石丸伸二氏。投票率も前回より上がり、政治を変えようと立ち上がる若い人がいることは喜ばしいことですが、よーく見てみると、いろんな意味でヤバい面が見えてきた気がしてならないのです。

1.テレビは攻めに弱すぎる

 敗れはしたものの、大臣経験者である蓮舫氏より票を撮ったわけですから、「有意義な負け」であったのではないかと私は思います。こうなると、国政に打って出るのかなど、石丸氏の次なる動きに注目が集まるのは当然のことでしょう。

  石丸氏にはテレビやラジオの取材が殺到します。疲れていたでしょうし、同じ質問ばかりでうんざりしていたのかもしれませんが、選挙特番でTBSの篠原梨菜アナウンサーから、選挙戦を振り返っての感想、勝利に届かなった理由をどうとらえているかと聞かれた石丸氏は「勝ち負けと言う表現が、実にこの選挙にそぐわないとかねてより思っています」とし、その理由を「結果はあくまで都民の総意が可視化されただけであって、都民において勝ちも負けもないですよね」というのがその理由。いや、篠原アナウンサーは、石丸氏について聞いているのであって、都民の話はしていないのでは……。続いて、スタジオ内のJX通信社・米重克洋氏が蓮舫氏より票を取ったとされることについて、善戦したと思っているのか、それとももっと上に行きたかったのかと聞かれた石丸氏は、「何という愚問ですか。選挙に出る以上、一番上を目指さなくてどうするんですか。アントニオ猪木に怒られますよ。負けることを考えるバカはいないって」と声を立てて笑ったのでした。あれ、石丸さん、さっき「選挙は勝ち負けじゃない」って言ってませんでしたっけ・・・。こういう時、聞き手には常識の範囲で軌道修正をしてほしいのですが、TBSに限らず、“テレビの中の人たち”は日本テレビの中継に出演した社会学者・古市憲寿氏以外はタジタジして、石丸氏に対してビクビクしているように見えました。

 なぜここまで及び腰になったのかと言うと、テレビの中の人は出演者にケンカ腰で答えられたことがほとんどないために、どう対応したらいいのかわからなかったからではないでしょうか。それでは、なぜ、テレビの中の人に感じ悪くふるまう人がいないのか。石丸氏はNHKに選挙の敗因を聞かれて、「NHKをはじめ、マスメディアが当初全く扱わなかった」と答え、「そういうところ」と質問者を指さし、支持者からは拍手喝さいを浴びました。つまり、候補者にとって、テレビに出ること、もしくはテレビで自分を取り上げてもらえるかどうかは非常に重要なわけです。テレビに出られるかどうかで当確が決まるなら、候補者は自然と「テレビに出していただく」立場になりますから、テレビの中の人に失礼な態度を取る人はいないわけです。テレビの中の人が石丸氏に強く出られないというのは、それだけ長いこと、出演者を下に見ていた、ふんぞり返っていた証拠とも言えるのではないでしょうか。石丸氏の高圧的な物言いは、ある層には「マスコミを論破した! テレビに大勝利!」と受け止められるでしょう。女性層にはモラハラと感じられて、一時的にはイメージダウンかもしれません。しかし、今の時代、「いい話」よりも「人をイライラさせる話」がエンタメの中心になりつつあります。石丸氏にモラハラ説が持ち上がるほど、物語の続きが気になるように「今度は何をしたの?」と人々は石丸氏を見たくなってしまうのだと思うのです。

 

2.政策論争をしないのではなく、できない?

 石丸氏の参謀で、選挙の神様と言われた藤川晋之助氏は朝日新聞のインタビューに対し、石丸氏が街頭演説で政策について触れないことについて、当初はマイナスではないかと危惧していたそうです。しかし、大衆が「今までの政治家は政策を守ったことがあるのか」「公約守ったことがあるのか」という不信を抱えていることに気付き、政策の話を「あえてしない」ことにしたそうです。が、選挙が終わり、石丸氏に注目が集まり、政策の話をしているのを聞くと、「しない」のではなく「できない」んじゃないかと思えてきます。7月14日放送の「そこまで言って委員会」(読売テレビ)では、少子化解消策として「一夫多妻を導入するか、遺伝子的に子どもを生み出す」と発言しています。「そこまでやらないと、人口減少は止まらない」とこれらの提案が極論であることは認めていますが、「こんなにヤバい人だったんだ」と世の中はドン引き。少子化対策って、政治家にとって基本的な問題ではないでしょうか。もっとも、政策の話をしないのは石丸氏だけでなく、小池都知事も一緒です。蓮舫氏に公開討論会を申し込まれたものの、小池氏は公務を理由に断っています。公約を達成していれば、討論会で自分の手腕をアピールできるでしょうが、そうでない場合、不備を突かれたり、見識の甘さを指摘されてイメージダウンになりかねない。公開討論会の参加は義務ではありませんから、それなら、出ないほうが賢明と考えても不思議ではありません。

 石丸氏の来し方を見ていると、常に“敵”がいるのがわかります。安芸高田市長時代、石丸氏は居眠りしている議員をX(旧ツイッター)に投稿し、居眠り議員に対して「恥を知れ、恥を!」と発言して大バズりしました。居眠りを指摘された議員は脳梗塞を患っていたそうですが、そういう細かいことはXでは伝わりませんし、SNSは概して弱い者の味方です。エリート銀行マンの地位を捨て、しがらみのないフレッシュな政治家が既得権益にまみれた市議会議員や議会と戦う形は、善人VS悪者、弱い者が強い者に一矢報いるというSNSが一番喜ぶ形で、それがまた動画となって一気に拡散される時代です。テレビに対して皮肉を言いながらも、テレビに出るのを不思議に思う人もいるでしょうが、「敵をやっつける、テレビという権力を踏みつける姿」を自分の支持者に見せつけて喝采を浴びれば、「すごい人だ、これまでの政治家とは違う」と印象づけることができて、政策の話をする必要がない、故に石丸氏には常に敵が必要である。そんなうがった見方をしたくなってしまいます。

3.石丸氏とリアリティショー

 こう考えていくと、石丸氏って恋愛リアリティショーの登場人物みたいだなと思うのです。一人の女性を射止めるため、多数の男性がしのぎを削る「バチェロレッテ・シーズン3」をご存じでしょうか。今回は男性の出演者が「僕を選ばないでほしい」とバチェロレッテに辞退を申し出るという、異例の展開を迎えました。これではバチェロレッテに魅力を感じなかったと言っているも同然なので、番組の前提が崩れてしまいます。つまり、リアリティショーで男性出演者に求められるのは、番組の趣旨から逸脱しない範囲でもめ事を起こして視聴者をハラハラさせ、けれど、自分からは決して降りようとしないという態度になります。これってまさに石丸氏ではないでしょうか。

 恋愛リアリティショーで知り合ったカップルには、離婚することも少なくない印象です。番組が放送されているときはよかったけれど、誰も注目しなくなったら、結婚生活という地味な作業が急に色あせて見えるものなのかもしれません。石丸氏も今がピークなんてことがないように、「最初はヤバいと思ったけれど、いい政治家がやっと出てきた」と思わせてほしいものです。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」

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