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「ロン毛にマニキュア」高校球児“ビジュアル変化”の裏事情「丸刈りはただの伝統」

週刊女性PRIME / 2024年8月9日 6時0分

昨年、日焼け止めを使ったことで“美白王子”と呼ばれた慶應義塾高校の丸田湊斗選手

 日本の夏の風物詩ともいえる『全国高等学校野球選手権大会』。今年も全国の地方大会を勝ち上がってきたチームが、8月7日から甲子園球場で優勝を目指して白球を追いかける。そんな中、

「高校球児のマニキュア使用が認められるようになったとニュースで見たのですが、ずいぶんと高校野球も緩くなってきたんですね」(都内在住の60代主婦)

 という声が『週刊女性』に届いた。昨年、夏の甲子園を制した慶應義塾高校の選手たちの髪形が、丸刈りではなく長めの髪だったことも話題になった。今どきの球児たちは、指先のおしゃれも気にするようになったのかと思ったら……。

「“心技体を鍛える”時代ではない」

「いえいえ、キャッチャーの手元で出すサインが、ピッチャーに見やすいようにする処置としてマニキュアの使用が認められたということです」

 と語るのは、高校野球に詳しいスポーツジャーナリストの飯山満氏。

「もともと日本学生野球憲章には、球児は丸刈りでなくてはいけないなんて書いてありません。過去の先輩たちがそうしてきたから当たり前、という“伝統”に縛られていただけなんです」(飯山氏、以下同)

 確かに練習中は水を飲むのは禁止されていたし、丸刈り以外の髪形なんてご法度というのが常識だった。

「昔やっていたことがケガのもとだということが、ようやく浸透してきたんです。以前は痛めている肘などに、サポーターをするだけで叱責されましたから。弱いところを見せたら、お互いにフェアな勝負はできない。そういうことを学ぶ場が、高校野球という考え方でした」

 今、才能を持った選手たちは幼少期からリトルリーグなどで腕を磨き、国際試合なども経験している。その場で海外と日本のチームの、野球に対する考え方の違いを知る。

「わかりやすいのが、早稲田と慶應の両大学が掲げているモットーの違いです。早稲田は“一球入魂”ですが、慶應は“エンジョイ・ベースボール”。早稲田が悪いというわけではありませんが、今どきの高校生に受け入れられるのは慶應のモットーのほうでしょうね」

 競技として楽しむ野球と、教育として人を育てるための野球。また昔のような先輩が絶対の縦社会ではなく、学年間での上下関係が緩くなってきていることもあるという。

「これまでの常識とされてきた昭和カラー、いわゆる戦前の軍隊教育のようなチームの管理方法は、これからますます薄れていくでしょう。

 今は限られた高校生活を充実させるため、いかに挫折をさせないように選手を指導するか、に変わってきています。もう野球で“心技体を鍛える”時代ではなくなっているといえます」

 “高校生らしく”をモットーに、100年以上続いてきた高校野球という世界。

 テレビの前で見る側も、選手たちの代わりざまを「昔の球児はこんなではなかった」なんて呟くと、「老害」と言われてしまうかも……。

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