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岸田首相の退陣表明は「保身に動いた」だけ…消えない派閥と裏金体質の実態

週刊女性PRIME / 2024年8月16日 7時30分

退陣を表明した岸田首相

「組織の長として責任をとることに、いささかのちゅうちょもない」

 こう語り、岸田文雄首相が8月14日、総裁選に出馬しないと表明した。9月末の総裁の任期満了により、岸田政権は退陣する。

もっと早くに辞めるべきだった」

 自民党議員の裏金問題が噴出し、内閣の支持率は下落の一途を辿り、一部の調査では10%台という数字に……。

 これまで“増税クソメガネ”や“錯覚メガネ”など、国民から不名誉なあだ名をつけられた岸田首相。今回の退陣表明についてSNSでは、

《岸田首相、メガネを置く》

《岸田メガネやめるのか、コンタクトのほうが絶対いい》

《岸田総理が不出馬なら、次の候補は減税優秀コンタクトで頼む》

 などと、変わらず“メガネいじり”をされている。旧統一教会問題や裏金事件の責任をとって身を引くとしたうえで、

「自民党は変わらなければならない」

 とも語った。次期総裁の座には誰が就くのか気になるところだが、裏金作りの温床となっていた派閥解消は一向に進んでいない。

 ある政治ジャーナリストは、こう解説する。

派閥の解散はしないと宣言している麻生派(志公会)以外で、実際に総務省へ解散届を提出したのは森山派(近未来政治研究会)だけ。岸田派(宏池会)は9月上旬に解散届を提出する予定のようですが、二階派(志帥会)、安倍派(清和会)、茂木派(平成研究会)は、解散時期の見通しは立っていないよう。一方、総裁選に向けて派閥メンバーが集結する動きは活発化しています

 政治資金収支報告書に不記載だった派閥のパーティー券の売上げ、約6億円が裏金として、派閥から議員側に渡されていた。派閥の解消が進まなければ、また同じことが起こるのではないか。

岸田首相も責任をとると言うなら、もっと早くに辞めるべきだったと思います

 こう指摘するのは、裏金問題を東京地検特捜部へ刑事告訴し、捜査のきっかけを作った神戸学院大学の上脇博之教授だ。

なにより、岸田首相が辞めたからといって、国民が納得するとは思えません。裏金をもらった議員全員と一緒に辞める、もしくは次の選挙には出馬させないとでも言わないと責任をとったことにはならないでしょう

 上脇教授は、岸田首相には総裁選に出馬しても再選できないという判断があったのでは、と見ている。

数日前には憲法改正について積極的なことを言っていたのに、急に辞めるというのは整合性がつかない。ということは、自分が責任をとると言って、党内での立場を維持するための保身に動いたのではないでしょうか。仮に出馬して負けたら立場がないですから」(上脇教授、以下同)

 派閥の解消については、どうだろうか。

岸田さんは確か、派閥は解消して政策集団にすると説明されていましたが、呼び方を変えるだけの話です。事実上、派閥はなくならないということでしょう。要するに口先だけなんですよ

裏金を作れないように制度を整えるべき

 そして今回の総裁選においても、派閥が重要な役割になるはずだと続ける。

総裁選をやる限り、自民党にとって派閥は必要なんです。要は、誰を総裁にするか、その勝ち馬に乗るかどうかで、党内の役員ポストや大臣ポストが決まる。そのため、派閥と呼ぼうが、そうでなかろうが、事実上の派閥が重要な役割を果たすことは間違いない。ただ、私としては派閥を解消しようが残そうが、どちらでもいいんです

 派閥があることで、組織としての不正が生じるようにも思えるが、上脇教授の考えは違う。

裏金を作れないように制度を整えたらいいんです。しかし、政治資金規正法が改正されましたが、裏金を作れる“抜け穴”は残したまま。なぜ政治資金パーティーで裏金が作れたかというと、企業が大量のパーティー券を買っていても誰もチェックできないためです。派閥がこれだけ買ってもらったと言っても、企業は収支報告制度がないので誰もチェックできない。だから簡単に裏金が作れたのです

 これまでパーティー券1回あたりの購入額20万円超から購入者の氏名が公開されていたが、法改正によって基準額が5万円に引き下げられた。ただ、5万円というのは1回あたりの金額であり、回数の制限はない。パーティーの回数を増やすだけで、再び裏金は簡単に作れてしまうのだ。

ということは、政治資金パーティー自体を禁止するか、あるいは企業や任意の団体がパーティー券を購入することを禁止するしかないんです。そう考えると、誰もチェックできない企業献金も同じ。つまり、裏金体質は残ってしまうということです

 さらには総裁選で“カネ”が飛び交うのではないかと、裏事情を予測する。

総裁選は公職選挙法の適用がないですから、買収し放題なワケです。それは議員票を“買う”だけでなく、地方票の買収にも使われると考えられます。こうした事情については最近、総裁選で“カネのバラマキがあった”と石破茂さんが話していました

 自民党の石破茂元幹事長は、7月4日に福岡市内で講演し、

自民党総裁は公職ではない。だからカネをバラまくというのがある。おかしくないですか

 と発言したうえで、過去4度にわたって総裁選に出馬した自身のことについては、

(カネを)まいたことはない

 と明言していた。

ちなみに、二階俊博元幹事長が受け取った政務活動費50億円の使途が明かされず追及を受けていましたが、党のために使うという名目で、石破さんも幹事長時代には受け取っていましたし、現在の茂木敏光幹事長も同じです。だから今回の総裁選でも、裏金が動くだろうと私は考えています。そうなると“裏金はやっぱり必要だね”という人たちでまとまってしまう。岸田首相の言う“ドリームチーム”なんてできるわけがない

政治家が一番恐れていることは

 さしずめ“裏金作りのドリームチーム”ということか。では、再び不正が起こらないようにするためには、どうすればいいのか。

政治資金パーティーや企業献金を禁止し、使途を明かす義務がない政策活動費もなくすべき。内閣官房機密費も、将来は使途を公開する。各国会議員に毎月100万円が非課税で支給される調査研究広報滞在費(旧文書交通通信費)も、使途の報告制度をちゃんとする。こうした改革が必要だと考えます

 そのうえで、選挙制度についても言及する。

問題が明るみになったときには、個人の責任だけでなく、党の責任となるよう『無所属も立候補できる比例代表制』だけにすべきだと思っています。不正があったら得票数が大幅に下がるわけですから、自民党も変わらざるを得ない。すると簡単に裏金は作れなくなる。こうした変化を起こすためには、有権者が棄権せず投票する必要があるんです

 けれども、自分1人が投票しても何も変わらない、そう思っている人も多い。

政治家が一番恐れているのは、諦めていた国民がダメ元でもいいから投票に行くこと。以前、森喜朗元首相が“選挙に無関心な人は寝ていてくれればいい”と発言しましたが、そうした意見は自民党内で根強くあったわけです。投票率さえ上がらなければ、政権交代はしないんだ、と。有権者からするとたった1票ですが、その1票を政治家は恐れている。ですから、決して諦めてはいけません。その1票は大きな力を発揮するんです

 変わらなければいけないのは自民党だけじゃない。私たち、国民も――。

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