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「年金は月に5万円」73歳ブロガーの“食費は月1万円”、ガマンはしない老後不安を跳ね返す充実生活

週刊女性PRIME / 2024年8月25日 11時0分

ブロガーの紫苑さん

「月1万円程度の食費があれば大丈夫。こんなに美味しくて健康的な食生活が送れるということを、もっと多くの人に知ってほしい」

 そうハツラツとした笑顔で話すのは、おひとり様の年金暮らしを発信している人気ブロガーの紫苑さん、73歳。シングルマザーとして2人の子どもを育て上げたあと、64歳で都市近郊に中古住宅を購入して暮らす。

 ここ数年は物価高騰による煽(あお)りを感じながらも、安くて栄養価の高い食材を上手に選び、工夫を凝らした自炊をすることで月1万~1万3000円の食費をキープ。

 ブログでは、彩り豊かな食卓の様子を中心に、月5万円の年金だけとは思えない自由で健やかな毎日をつづり、多くの人が抱える老後の不安に対する一筋の光となっている。

 しかし、そんな彼女もしっかりと準備をして年金生活をスタートしたわけではない。コロナ禍で仕事がなくなり、思いがけず収入が年金だけに。

 月に2万~3万円の予算があった食費は、半分から3分の1ほどにサイズダウンすることを迫られた。突如として“節約しなければ生活が破綻する”という切羽詰まった状態に放り込まれたのだ。

肝は食材選びと自炊!1万円でも豊かな日々

「それでも、安いからといってキャベツやもやしばかりをガマンして食べ続けるような食生活にはしたくありませんでした。無理なく、楽しんで食べられる節約料理でないと続かないと考えたからです。だって、年金生活はこの先も長いわけですから

 4日に1度の買い物で使える予算は1500円程度。それを守りながら満足のいく食卓にするために、旬の野菜や鶏むね肉、イワシといった低価格&高栄養の食材を選ぶことを重視した。

「豆腐や卵を合わせても予算内。それで十分、滋味豊かな食事ができるとわかると毎日の食事が楽しくなりました。お金がなくて食べたいものが食べられないといったガマンを感じることはないです」

 また、買った食材を無駄にしないことにも尽力。肉や魚は買ったその日に塩麹に漬け、葉物野菜などはさっとゆでて使いやすい大きさに切って保存する。

「少し手間をかけておけば、美味しくいただける日数が延びますし、食材が使いやすくなるので忙しい時でもパパッと自炊できます」

以前は食費の4割がお菓子に消えていた

 とはいえ、節約生活への移行でつらかったこともあった。それは“お菓子断ち”。

「スイーツはもちろん、ポテトチップスなどのスナック菓子が好きで、小腹がすいたときにつまむのが習慣になっていました。今振り返ると、ほとんど中毒だったと感じます。お菓子を食べるとお腹が満たされてしまい、食事があまり食べられないという悪循環。体調を崩しやすい原因にもなっていたと思います」

 1回の買い物で、菓子代に500円程度かけるのが常態化。ジャンクフードも好きで、合わせて食費の4割を占める月もあったと振り返る。それを一気にゼロにした。

「節約生活を始めた当初は、気づいたら食べたい衝動に駆られました。でも、“やめないと私の生活は崖から落ちる”と言い聞かせ、買わないことを自分に課しました」

 するとだんだん体調がよくなることを実感。間食のせいで食事を抜くこともなくなり、美味しくごはんが食べられるようになった。

今では、むしろ“食べたくない”と感じるほどに変わりました。スナック菓子だけでなく、レトルト食品も避けるようになっています。

 100円程度のレトルトカレーやお菓子は、高価な買い物ではありませんが、積もり積もって食費を圧迫しますし、そのお金で旬の野菜を買ったほうが美味しくて身体にいいと、自然に思えるようになりました」

 コロナ禍で意図せず変化した食生活。そこから約4年。節約生活の基盤を維持するだけでなく、試行錯誤しアップデートし続けている。

「安くて高栄養の鶏むね肉ですが、それだけに固定してしまうと飽きるので鶏手羽元を買うことも増えました。きのこ類も以前は干してから冷凍保存をしていましたが、最近はそのまま冷凍に。より気軽に今の食生活が維持できるように変化させています」

 塩麹や甘酒の手作りもしていたが、今はお休み中。節約のために始めたことでも“これでなくてはダメ”“続けることが正義”と決めつけず、その都度、今の生活に合っているか考えて変えることが、長く楽しく続ける秘訣だ。

 新たに始めたこともある。凝っているのは自家製調味料作り。にんにくオイルやはちみつしょうが、玉ねぎ麹といった料理の幅を広げてくれる調味料を手作りする。

「日々の食卓がマンネリ化せず、自分が食べたいなと思える料理作りに一役買ってくれています」

 そんな心豊かなプチプラの食生活を継続する紫苑さんが、物価高騰の今こそ心がけていることとは。年金暮らしでも満足できる食卓のコツを教えてもらった。

ゆるく続けるための食費節約ルール7か条

自分の“定番食材”を決める

 紫苑さんの買い出しは、主に近所にあるお気に入りのEDLP(エブリデーロープライス)スーパー。お目当ては、100円程度で買える旬の野菜を数種類、肉か魚、豆腐、牛乳・卵で、毎回、買う物はほぼ固定化している。

「特に、旬の野菜は安いし、美味しいし、健康によいし、いいことずくめ。定番食材だけそろえておけば、十分に満足できる食卓になります。あとは、常備しているかつお節や桜エビといった乾物やトマトやサバの缶詰類、コーヒーが切れていたら買い足すくらいで事足ります」

 買う食材が決まっているから、余計なものを買うことがない上、買い物の時短にも大きく貢献している。

「安くて栄養があることに加え、自分が調理しやすい食材を定番にしておくのがおすすめ。そうすると、メニューが自然と思いつきやすく、自炊のハードルがグッと下がりますよ」

2週間で使い切れる量しか買わない

「冷凍保存が可能な野菜などは、数日以内に食べる量以外をできるだけ買ったその日に冷凍」と決めている紫苑さん。例えば、ブロッコリーは、さっとゆでてからその日に使う分以外を即冷凍。いつでも使えるようにスタンバイしている。

「とはいえ“冷凍しておけばいいや”と大量購入することはありません。安売りのときは少し多めに買う場合もありますが、基本的に買うのは1袋や1束のみ。冷蔵庫に詰め込みすぎると食べ切れずに無駄にしてしまうことが増えますし、庫内で迷子になっているうちに美味しさを損なわせてしまう可能性もあります。

 そうなれば、どんなに安くてお買い得で買っても結果としてマイナス。2週間以内に食べ切れる量以上を買うことはしません」

レシートを見て買い物の傾向を知る

 買い物が終わったら、レシートを確認するのは、節約の基本。

「チェックすると、“これは買わなくてもよかったな”という反省点が出てくると思います。でも、それをすぐに無駄と決めつけて罪悪感にとらわれる必要はありません」

 大事なのは、レシートの確認を繰り返し、冷静に自分の買い物のクセを知ることだ。

「野菜より肉類が多い、加工食品や惣菜を買うことが多いなど、自分の食生活はそのまま買う頻度として表れていると思います。それを自分が目指す食生活と照らし合わせ、改善するべきかどうかを考えることが重要なのです。

 たとえ、テレビや雑誌で見た調味料をつい買うことが多くても、それは単純に“買い物の無駄”とはいえません。自分の食生活が豊かになっていると感じればOKなのです」

手作りすれば、10分の1の値段に!

 節約と健康の両方を兼ねて、作れるものは“なるべく手作り”している紫苑さん。前述のとおり、にんにくオイルや玉ねぎ麹などの調味料のほか、ヨーグルトやパンもお手製。

「特にパンは節約効果が高いと感じています。今は、物価の高騰もあり、ベーカリーでパンを買おうものなら、あっという間に2千円超え。こだわりの食パンなら1斤で千円というのも珍しくありません。

 でも、自分で作れば、全粒粉やライ麦粉を使っても、その10分の1程度のコストで作れます。シロカの1万円ほどのホームベーカリーを使っていますが、すでに元は取れたと思っています」

 もともとパン好きだったこともあり、3~4日に1度はパンを焼いている。

「パン焼き器を使えば、材料を入れるだけなので本当に楽チン。安価で手軽に焼きたてが食べられるのですから、作らない手はありません!」

魚は冷凍や缶詰も活用!

シニアは、肉と魚を交互に取ることが理想だといわれていますが、魚の調理が苦手で避けている人も多いと思います。そんなときは、切り身や処理済みになっている冷凍、缶詰を積極的に使うのがおすすめです」

 生魚よりも冷凍や缶詰のほうが安価で、使いたいときに使えるのでとにかく便利。なかでもサバの缶詰が紫苑さんのお気に入りだ。やわらかいので食べやすく、骨や皮の栄養成分がそのまま取れる、とメリットが大きい。

 もともとサバは苦手だったが、缶詰を使うようになって、むしろ好きになったと話す。

「冷凍サバをまとめ買いすることも。サバ飯やトマト煮、卵とじも美味しいですし、片栗粉をまぶしてさっと揚げても。残り野菜と一緒にカレーにしても美味しいです!」

レシピ名には、“こだわらない”

 定番食材を中心に調理をしながらも、メニューがワンパターンにならない紫苑さんの食卓。秘訣は、レシピの材料に縛られないこと。

「“にんじんがないから肉じゃがが作れない”というのは単なる思い込みです。にんじんがなくても、玉ねぎがなくても大丈夫。たまには“肉じゃが”の肉がなくてもいいじゃないですか。

 あるもので作ればいいやという、いい意味での適当さが新たなメニューを生むきっかけになります。逆にレシピこだわることで選択の幅はどんどん狭まってしまうと感じます

 もう1つ、紫苑さんの食卓の幅を広げるポイントとなっているのが調味料。キッチンには、使い切りサイズのクミンやパプリカパウダー、ターメリックなどエスニックなものも並ぶ。

「塩、砂糖、しょうゆといった基本の調味料だけでも料理はできますが、アクセントとなる調味料があれば、一気にバリエーションが広がり、本格的な味に仕上がります。いつもの食材だけでも飽きがこない食卓になりますよ」

節約は“自分軸”で考える

“自分を豊かにする節約”をするためには、どんな局面でも誰かのマネではなく、自分がどんな生活を送りたいかと向き合うこと。

「私は美味しくて健康になれるものを食べたいという思いがあるので、そのために何を買って、どんなふうに食べたいかを第一に考えます。それを予算内で叶えるために試行錯誤することが節約の醍醐味かなと思うのです

 紫苑さんの軸からは外れている加工食品だが、調理をなるべく時短で済ませることが豊かな生活につながると考えるならば、その人にとって加工食品もアリだ。

「あくまでも“自分にとってどうか”の視点を大切に。誰かにとって不要なものでも、自分にとって必要なものかもしれません。他人軸で決めてしまうと、節約も嫌になりますし、たとえ続いたとしても幸福感は生まれないと思います。それは、衣食住のどんな場面でも同じです」

“節約生活をしてよかった”と、はっきりと語る紫苑さん。年金暮らしの節約は、ともすれば老後にガマンと侘(わび)しさをもたらしてしまうのではと懸念するが、むしろ節約をしたことでより豊かな70代を過ごしていると話す。

「まず一番に、心身の健康を維持できているのは、今の食生活のおかげだと思っています。それに、節約生活にかなう食材を選ぶために、それまであまり選ばなかった食材を食べるようになったり、パンを手作りするようになるなど、この年齢になって新たな食の楽しみを知りました。

 確かに年金内に出費を抑えなければ生活は破綻してしまうので、そこはシビアな問題。でも、それは自分にとって幸せな暮らしに近づくために無駄をそぎ落とす行動だと考えれば前向きになれます。これからも変化を加えながら今のプチプラ生活を続けていきたいと思います」

教えてくれたのは……紫苑さん●月5万円の年金生活をつづったブログ「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」が話題に。近著に『73歳、月5万円でますます快適!「ちょうどいい」を自分で創る ごきげんプチプラ生活』(廣済堂出版)


取材・文/河端直子 画像提供/紫苑さんブログより(プロフィール、定番食材を除く)

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