元AKB48片山陽加さん、PC使えなくても「会社員向いているかも」と思えたワケ
週刊女性PRIME / 2024年9月29日 10時0分
アイドルや芸人、アスリートとして活躍したあと、セカンドキャリアの道を選んだ人に話を聞く不定期連載。記念すべき第1回は国民的アイドルAKB48の第3期メンバーとしてデビュー。卒業後は俳優として活動するも、コロナ禍をきっかけにゲーム会社の広報に転身した片山陽加さん。後編ではセカンドキャリアを考えるきっかけから現在の活動、今後の目標について聞いた。
コロナ禍で1回人生をリセットしようと思うように
――舞台では主演も経験するなど順調にキャリアアップをしていた印象ですが、セカンドキャリアを考えるようになったきっかけは?
毎回舞台を見に来てくれるAKB48時代から応援してくれているファンの方もいて、すごく充実した8年間でした。そんな中、新型コロナの感染が拡大して舞台だけでなく、エンタメ業界がストップしたのがいちばん大きかったですね。それまではお仕事を頂けるうちは、俳優を続けていこうと思っていたので。
――特に舞台は厳しい状況でしたよね。
感染者が1人でも出たら即中止になる状況だったので。稽古をしたのに開幕前に感染者が出て、公演がすべて中止になったという話も周りから聞いていたので。
私自身はコロナ禍になっても出演する舞台が中止になることはなかったのでそういう点では恵まれていましたが、中止になるかもしれない……という状況で稽古などをする日々に気持ちが疲弊しちゃって。そんな時にワーキングホリデーの制度を知って、短期間で台湾に留学に行ったんです。
――台湾は行動制限がなかったんですか?
結局、台湾に行ってもオンラインで授業を受けるという日々が続いたのですが、それでも日本語が聞こえず雑音が入ってこないという環境に身を置いたことで、自分を見つめ直すことができたのは大きかったです。
その時に、“このままでいいのかな”と考えるようになって。結局、答えが出ないまま帰国したのですが、モヤモヤは残っていて。舞台はとても大好きだったのですが、コロナ禍で精神的に疲弊していたこともあり、1回人生をリセットしようと思うようになりました。
――今は兼業タレントもいますが、芸能界を辞めようと思った理由は?
性格的に次の道に進むなら、芸能界はキッパリ辞めないと無理だと思ったんです。ただ芸能界以外で働いたことがなかったので、自分に何ができるかもわからないので、知り合いに片っ端から“ジャンルにはこだわらないので正社員で雇ってもらえる場所はないですか?”と聞いてまわりました。
社会人として何の知識も取り柄もない私を雇ってもらえる場所なら、何でもチャレンジしてみようと思っていました。
――現在の会社も知人の紹介だったんですね。
飲食店をやっている知り合いに聞いたら、現在の会社の社長が来ていたらしくて。人手を探しているという話を思い出してくれて、紹介してもらいました。それで面接していただいたのですが、元AKB48という肩書きに興味を持ってくれて。元AKB48のキャリアも使えそうということで、広報で採用してもらいました。
――最初はパソコンも全く使えない状態だったとか。
自分が何を知らないことも知らなくて。だから必要になったその都度、学んでいくという感じでしたね。弊社はすべてリモートワークなのですが、“パソコンを送る”と言われて届いたのがゲーミング用のパソコンだったので、組み立てることもできなくて(苦笑)。電話で上司に聞きながら、何とか組み立てるところからのスタートでした。
――そんな状態から、現在は1人でYouTubeの編集もできるように。
触りながら覚えるという感じだったので、動画編集もYouTubeなどを見ながら独学で学びました。でも好奇心はもともと旺盛だったので、毎日が刺激的で楽しかったですね。それで会社員向いているかも! と1年目からやりがいを感じていました。
番組企画で吉本芸人にプロポーズされるも……
――社会人として仕事ができるようになったなと思うようになったのは、いつ頃ですか?
最近です(笑)。1年目はゲーム部門にいたのですが、ゲーム部門が吸収されたので親会社の『Clouds』に異動する形になって。現在は社員満足向上のリーダー的役割を担当しているので、社内広報みたいな感じの活動を行っています。
社員のみなさんが円滑に気持ちよく仕事がするために、社内イベントを開催したり、個々で話を聞いたりしていますね。
――Cloudsはどのような業務をされている会社なんでしょうか。
一般の方には馴染みがないかもしれませんが、会社で出社した時にICカードで打刻ができるシステムなどを作っています。ゲーム部門にいた時のように、メディアなどに出て広報活動をする機会はなくなりましたが、元AKB48という肩書きを使って弊社をアピールしていければと思っています。
――過去の話されるのが嫌だとかいう元タレントもいますが、片山さんはまったくないんですね。
AKB48がすべての始まりなので、求められたりその経験が生かせるのであれば使っていきたいと思っています。広報としてはまだ一人前ではないので、今の私の強みといえるのはそれぐらいしかないので。
――芸能活動が今のお仕事に役立っていると思う部分は?
コミュニケーション能力を培えたことですね。AKB 48に加入したばかりの頃は人見知りな性格だったんです。でも握手会でいろんな方と接するうちに鍛えられました。最初の頃なんて“ありがとうございます”しか言えなかったですから(笑)。
――握手会に参加される方は年上の方が多いですしね。
それまでは学校の先生以外と年上の方と話すことがなかったので、何を話していいのか戸惑いましたね。多くの方と接するうちに、その場の空気感を察することができるようになったり、初対面の人とも堂々と話せるようになったのは握手会のおかげです。今の会社の社長にも、そのコミュニケーション能力はすごいことだよと褒めていただきました。
――現在のお仕事も充実している感じが伝わってきます!
仕事、プライベートのトータルでは、今が人生でいちばん充実していると思います。AKB48時代は毎日が刺激的でしたが、プライベートを楽しむ余裕がなかったので。週末は休めるので、ゴルフと着付けを始めるなど趣味も増えました。
――ちなみに結婚願望は?
結婚はしたいのですが、本当に相手がいなくて。モテ期って3回訪れると言われますが、AKB48時代に全部使った? ってぐらい縁がなくて(苦笑)。卒業してから恋愛は経験しましたが、結婚したいと思える人にはまだ出会えていないんです。
元メンバーで結婚している人も多いですが、みんなどうやって出会ったの? と聞きたいぐらい(笑)。まだ社会人2年目なので、今は仕事の方をもっと頑張りたいというのも大きいかも。
――昨年3月にABEMAで放送された『愛のハイエナ』では、片山さんに会いたいから芸人になったという吉本興業所属のお笑いコンビ『ブルーレディ』田中凌さんにプロポーズされる企画が放送されました。
お話をいただいた時は本気だと思っていなかったんです。でも企画を通して本気っぷりが伝わってきて、こんな私でも誰かの人生に影響を与えることができていたんだと嬉しくなりました。プロポーズ自体は断ってしまったのですが、AKB48時代は大変なことも多かったけど、活動していた期間は無駄じゃなかったんだなと思えました。
AKB48だけでもものすごい人数のメンバーがいて、卒業と加入を繰り返しているのでもう片山陽加というメンバーがいたこともみんな忘れているんじゃないか……と思っていたので。
――AKB48の活動を通して得るものが本当に多かったんですね。
今は元AKB48が私の代名詞ですが、社会人としてもっと頑張ってそれを超える私の代名詞を作るのが目標なんです。それが花開くまでは結婚は二の次になっちゃいそうです。でも本音を言えば、仕事も恋も両方充実させたいですけどね(笑)。
「DMを送ってくれれば相談に乗ります」
――今後の目標は?
弊社の社長がよく“Cloudsという会社をバズらせたい”と口にしているので、その手伝いができればと思っています。社会人として何の実績もない私を採用してくれたので、知名度アップに貢献できたらいいですね。
――現在、芸能活動をしている方だけでなく、セカンドキャリアを考えている読者にアドバイスをお願いします!
今の時代は何でもアリの時代なので、やりたいことは1つに絞らなくてもいいのかなと。私がそうだったように現在の状況にモヤモヤしているなら、新たな道に進むタイミングなのかなって思います。1人で悩みを抱え込んで解決しない時は、いろんな人に相談してみるのも手ですね。
もし相談相手がいないという方は、DMを送ってくれれば相談に乗りますよ! 今は会社員でなかなかみなさんの前に出る機会はありませんが、会社員として頑張っている姿をSNSなどで発信していくので、今後は“Cloudsの片山陽加”として応援してもらえると嬉しいです!
かたやま はるか、1990年5月10日生まれ。愛知県生まれ、千葉県育ち。2006年、『第三期AKB48追加メンバーオーディション』に合格。翌年4月、チームBメンバーとしてデビュー。2014年、AKB48を卒業。卒業後は舞台を中心に活動。2022年、芸能界を引退。同年、CloudsPlayCompanyに入社。現在は親会社であるCloudsの広報を務める。
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