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「イシバノミクスと言われたくない」石破茂新総裁誕生で加速する“増税ニッポン”

週刊女性PRIME / 2024年10月1日 6時0分

石破茂

 新首相となる石破茂氏は、自民党総裁選のさなか、消費税の増税について「現時点では考えていない」と否定する一方、「党の税調(税制調査会)で議論する」と含みをもたせていた。

 政治評論家の有馬晴海さんが、その言葉の裏を読む。

「石破さんは候補者9人の中で唯一、『防災省の設置』を打ち出しました。能登半島地震や豪雨被害の対応などの反省を踏まえ、新しい省をつくって備えなければいけないとの思いを強くしたようです。地震大国にあって、災害発生後に行き当たりばったりで対応していては遅い。仮設住宅を造るのに何か月もかかるようでは被災者が困る。すぐに対応できる即戦力として『防災省』をつくりたいのでしょうが、設置にはお金がかかりますので、今ある予算から何かを削減するか、新たに国民の負担を増やすことになります」

石破政権の未来地図

 防災省設置だけではない。岸田政権下の2年前、防衛力の抜本的な強化のため、法人税・所得税・たばこ税を増やす“防衛増税”を実施すると決めた。開始時期は先送りされているが、それは政治資金パーティー収入の裏金問題に国民から厳しい視線が向けられているため。ほとぼりが冷めれば、いつゴーサインが出てもおかしくない。

 防衛相を務めたことのある石破首相は防衛増税に賛成しながら、戦闘機や戦車などの武器を調達しても「乗る人がいなければどうするのか」と自衛隊員の育成にまで目を向けている。

「防衛増税ゼロをうたった総裁選候補者は、経済成長によって税収が増えれば増税は必要なくなるとか、まず経済をよくするのが先などと言いながら、どのように経済成長させるのか具体的な根拠を示しませんでした。お金を使って税収を増やすという財政出動型に対し、石破さんは、出ていく金はどこからか補てんしないといけないという収支均衡型に近いといえます。

 防衛を強化するのに“負担はしなくても済みますよ”と言うとウソつきになってしまいます。“増税します”と言い切れなくても、この国をメンテナンスしていくには国民に負担をお願いする可能性はあると考えているはず。負担に見合った国のかたちができればいいということでしょう。議論して、場合によっては国民の負担増も検討しなければいけないということだと思います」(前出・有馬さん、以下同)

 負担とはすなわち税金。私たち大多数の国民からすれば、生活が楽になっているわけではないから増税は受け入れがたい。

「イシバノミクスは何ですか?」

 どこからその税金を取るかについて、石破首相は株式の売却益など金融所得への課税強化を訴えていた。

金融所得への課税強化は無理です。3年前に岸田前首相が打ち出して株価が大幅に下落する事態を招き、撤回した経緯があります。例えば企業の合併は株の売り買いですから、売却益が減ると合併するメリットがなくなってしまう。個人投資家にしても、儲けを確保するまで株価の動向を見守ることにつながるので売買自体が減ります。これでは市場が活性化しません」

 かつて有馬さんは、石破首相に、

「イシバノミクスは何ですか?」

 と、経済対策を質問したことがある。それに対して、

「オレはね、そのナントカミクスっていう言い方が嫌いなんだよ」

 と答えたという。

 石破首相は、国会での論戦を経たうえで、なるべく早い時期に解散・総選挙で国民の審判を仰ぐ意向を示している。選挙後に増税ラッシュとならないよう注視する必要がありそうだ。

有馬晴海 政治評論家。国会議員秘書を経て独立し、テレビ、新聞、雑誌などで活躍。著書に『「有馬理論」総理大臣になる方法』『政治家の禊』など

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