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「時代のせい?」安藤美姫、“妊娠のアウティング”トークでの発言に見た“ヤバさ”の真髄

週刊女性PRIME / 2024年10月26日 13時0分

安藤美姫

「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。

第105回 安藤美姫

 オリンピック選手というのは、引退後の人生ではそれなりに苦労するものなのかもしれません。霊長類最強女子として、アテネ、北京、ロンドンオリンピックで金メダルを獲得し、国民栄誉賞も受賞した吉田沙保里さんは引退後、髪を伸ばし、ゆるふわなフェミニンファッションを楽しんでいたら、似合うとか似合わないとかバッシングされてしまいました。元卓球選手の福原愛さんは、不倫報道があって離婚しますが、長男連れ去り報道の影響もあり、イメージを回復できていません。

 スゴい選手としてもてはやされた人ほどヤバいカテゴリに転落しがちなのは、アスリート時代のイメージが良すぎることが、仇になっているのではないでしょうか。オリンピアンとて人ですから、人生においては、ままならないこともあるでしょう。彼女たちからしてみれば、どうして今までは応援してくれたのに、急に叩かれているのか、わからないのかもしれません。

母親の目が届かないところで手をつなぐ

 フィギュアスケートの安藤美姫さんもお騒がせオリンピアンの1人と言えるのではないでしょうか。

 7月4日号『週刊文春』によると、安藤さんは自分の教え子である16歳の少年とその母親と3人でUSJに出かけ、母親の目のないところで少年と手をつなぐなど、親密な様子だったというもの。未成年相手に何やってんだと口あんぐりですが、『文春』の直撃を受けた安藤さんは恋人関係を否定し、「他の生徒でもこんな感じで。距離感」と、生徒全員に平等にスキンシップしていると主張していますが、もしそうなら、ますますヤバいのではないでしょうか。

 アメリカ体操協会に所属し、チームドクターとしてオリンピックにも同行していた男性医師が、女子選手たちに治療と称して性的虐待を繰り返していた事件をご記憶の方も多いことでしょう。この事件がなぜ長い間隠ぺいされてきたかというと、不祥事を表に出したくない協会の体質と、選手と協会の間に明確な上下関係があり、オトナに楯突くと試合に出られなくなるかもしれないという恐怖心のためと思われます。

 選手生命が絶たれてもいい。それくらいの気持でなければ、自分よりはるかに権力のあるオトナを告発することはできないと思うのです。もちろん、安藤さんは性的虐待はしていないとは思いますが、教え子たちやその親御さんはスキンシップが嫌だとしても、安藤さんの機嫌を損ねないため、はっきり抗議することはしにくいでしょう。

 こうなると、コーチという優位な立場を利用したセクハラとみなされても致し方ないと私は思います。安藤さんと言えば、女子選手で初の4回転ジャンプを成功させ、表現力にも定評があった選手です。日本のみならず、海外の選手でも、彼女の指導を受けたいと思っている人はいるはず。日本の有名選手の門下生になるためには、セクハラを覚悟しなくてはいけないという間違った噂が世界に広まらないためにも、きちんと釈明するべきだったのではないでしょうか。

大事な部分をカットして話す

 もし、男性オリンピアンが16歳の女子選手に同じことをしたら、ハチの巣をつついたような大騒ぎになると思いますが、この件は男子選手が被害を訴え出たわけではないこともあって、それほど燃えませんでした。

 しかし、9月9日放送の『ABEMA Prime』に出演していた安藤さんを見て、ヤバさの真髄を見た気がしたのでした。

 この日のテーマは、妊娠のアウティングでした。アウティングとは、本人の了承なく、外野が妊娠を公開してしまうこと。そもそも妊娠はプライベートなことですし、特に妊娠初期は何が起きるかわかりませんから、仮に気付いた、もしくは打ち明けられても、そっとしておいてあげてほしいもの。しかし、仕事の引継ぎなどの都合から、第三者が勝手に上司に報告することがあるそうです。

 2013年に出産した安藤さんですが、妊娠を隠し続けていました。同番組に出演した安藤さんは、当時を振り返って、「今はアスリートが赤ちゃんを産んで復帰すると、すごくリスペクトされる時代だと思うんですけど、10年前は、アスリートはボーイフレンドがいてもダメだった。時代によってちょっと違うのかな」「絶対に批判される。私は、絶対バレないようにしないといけないって……」と語っています。

 不自由な時代のアスリートだったんだ、気の毒だなぁと思う人もいるでしょうが、私に言わせると、安藤さんは「大事な部分をカットして話す人」だと思います。

 安藤さんが妊娠を隠したのは、その時代の女性アスリートに交際相手がいるのがNGだったとか、現役選手の妊娠そのものが喜ばれなかったからではなく、彼女が独身だったからではないでしょうか。

 結婚しなければ、子どもを生んではいけないという法律はないわけですから、独身のまま出産することは何の問題もない。けれど、あれだけの人気選手が現役中に結婚せずに出産するには、相手が既婚者だからなど何か深―いワケがあるのではないかと騒がれるのは目に見えています。だから、騒ぎを大きくしないためにも妊娠を公開するわけにいかなかったのだと思います。つまり、「時代のせい」ではなく、「個人的な事情」ではないかと思うのです。

 同様に「アスリートはボーイフレンドがいてもダメだった」というのも、大事な部分を端折っている気がします。正しくは「成績が悪いアスリートは、ボーイフレンドがいることを批判された」のではないでしょうか。

自分で交際宣言をしておきながら…

 「勝てば官軍、負ければ賊軍」という諺があるとおり、アスリートや芸能人は結果を出せば過剰なまでにほめそやされ、出せなければ、あそこが悪かった、こういうところで明暗を分けたと勝手に決めつけられてしまうもの。

 負けたんだから、何を言われても我慢しろという意味では決してありませんが、ボーイフレンドがいることがダメなのではなく、成績が悪かった場合、原因として思い当たるのがボーイフレンドの存在ということだと思います。

 ボーイフレンドと言えば、2018年に安藤さんが出演したトークショーで、スペイン人のフィギュアスケーター、ハビエル・フェルナンデスさんとの破局説を受けて、マスコミが「彼にチョコをあげますか?」と質問を繰り返していました。これに対し、安藤さんは「本当にしつこい!」と不快感をあらわにしていたことがあります。

 プライベートなことを根掘り葉掘り詮索されて気の毒だと思う人もいるでしょうが、ここでも例の「大事な部分をカットする癖」が出ているのではないでしょうか。

 ハビエルさんとの交際は、SNSで安藤さん自身が宣言したものですし、その後も、SNSでハビエルさんとの“愛の日々”をたくさんアップしています。自分から積極的にプライベートをオープンにしているわけですから、破局したかどうかを聞かれるのも致し方ないのではないでしょうか。

 どうも安藤さんは「自分のハッピーのためには躊躇なく有名人パワーを使うけれども、自分が傷つくと途端に被害者ポジションに座る」という傾向があるように思えてならないのです。

10代20代の現役時代の基準で止まっている

 ハビエルさんだけでなく、安藤さんは専属コーチだったニコライ・モロゾフ氏とも交際しており、モロゾフ氏は結婚も考えていたことを明かしています。当時の安藤さんは立派な大人ですから、コーチと恋愛関係にあったとしても何の問題もないでしょう。

 けれども、時代は変わり、ハラスメントはいけないという考えが国際的にスタンダードとなりつつありますから、たとえ成年に達していたとしても、今後はコーチと選手の恋愛に対して、否定的な意見が出てくるかもしれません。

 常識というのは時代と共に変化していきますから、昔許されていたことが、今はアウトということはよくある話です。一方で、安藤さんはすべての感覚や行動が10代20代の現役時代の基準で止まっているように思えるのです。

 現役時代、ある芸能人がテレビ番組で安藤さんをエロいと評するなど、安藤さんをアスリートではなく性的な対象としてとらえる人がいたのは事実で、その視線に安藤さんはたくさん傷ついたことでしょう。

 安藤さんの被害者マインドも、この時の傷が癒えていないからなのかもしれません。もしそうなら、そういう経験をした安藤さんだからこそ、子どもたちを守るためにできることがあるのではないかと思うのです。

 現役時代はすごい選手だったけど、異性関係はヤバいオリンピアンとして人々の記憶に残るのか、それとも、名コーチとなって現役時代以上の活躍を見せるのか。すべては、安藤さんのこれからにかかっていると思います。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」

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