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「すぐに書いてくださった」仲間のために動き続けた役者人生、西田敏行さんの直筆メッセージ

週刊女性PRIME / 2024年10月23日 15時0分

西田敏行さん

「生きる情熱!」

 演じること、作品を作ることに情熱を注ぎ込んだ。その情熱はきっと“生きる”ことそのものだったかもしれない。

 10月17日、俳優の西田敏行さんが急逝。翌18日に所属事務所が虚血性心疾患が死因だったことを発表。76歳だった。

他人のために動き続けた西田敏行さん

「葬儀・告別式は家族のみで執り行い、お別れ会は後日行われる予定となっています。多くの著名人、番組が追悼のメッセージを発表。突然の訃報は大変悲しいことですが、各所から哀悼の声が相次いでいて、本当に“誰からも愛された”という表現が当てはまる、西田さんの人柄が伝わってきますね」(スポーツ紙記者)

 映画『釣りバカ日誌』シリーズで共演した浅レ田美代子、ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』の米倉涼子、映画『アウトイジ』シリーズで監督を務めた北野武、映画『学校』の山田洋次監督、長らく局長を務めた番組『探偵!ナイトスクープ』……。多くの共演者、監督、制作陣が悲しみに暮れる突然の死だった。

「これだけ愛される理由は、西田さんの人柄、特に自分だけでなく他人のために動き続けたところにあるのではないでしょうか。表に出ているものも、出ていないものも……」(芸能プロ関係者)

 2020年。まだ世界各地でコロナウイルスの感染者が“万”単位で増え続けていたころ、日本の芸能界でも映画やドラマが撮影中止になり、イベントなども開催中止など多大な影響が出ていた。

「CMや番組に出演しているような俳優さんであれば、もちろん影響はありますが、生活が揺らぐほどのものではなかったと思います。ただ、例えば舞台を中心に活動している人などであれば、公演が飛んでしまえばギャラも無くなってしまう。そんな状況に立ち上がったのが西田さんでした」(前出・芸能プロ関係者、以下同)

日本俳優連合理事長として要望書を国に提出

 2020年3月、『日本俳優連合』は首相・官房長官・厚生労働大臣宛に『新型コロナウィルス感染防止措置に伴う公演などの中止に伴う声明 及び働き手支援についての緊急要請』という要望書を提出。西田さんは日本俳優連合の理事長だった。

《私たちは今般の政府のご意向に添い、不特定多数の人々が集まるイベントなどの開催自粛を受けて、俳優は、映画・演劇・イベントなどの主催者の指示に従い、中止(キャンセル)を受け入れております》
《しかし出演者へのキャンセル料等の話し合いには到底至らないケースが多く、生活に困窮する事態が見えています》
《私たちにとっては仕事と収入の双方が失われ、生きる危機に瀕する事態です》
《どうか雇用・非雇用の別のないご対応で、文化と芸能界を支える俳優へご配慮下さいますよう要望いたします》

「2020年当時は“コロナなんだから中止にせざるを得ない”という状況で、感染拡大を考えればそのとおりではあります。ただ、個人事業主で働いている俳優などはキャンセル料の交渉などがまったくできない状況でもあった。それを憂いて動いてくれたのです。もちろん国として芸能界、俳優だけ何か特別な措置を取るということは難しかったですが、西田さんらが動いてくれたことは、俳優たちには非常に心強かったと思います」

 芸能界のために西田さんが動いたのはコロナ禍のこのときだけではない。冒頭の「生きる情熱!」とは西田さんの弁。1999年に神奈川県鎌倉市にある『松竹大船撮影所』の閉鎖・売却が発表された際の話だ。

「大船撮影所は60年以上の長い歴史を持つ撮影所。『男はつらいよ』シリーズなど名作がここで撮影されてきました。閉鎖には反対の声も多く、存続を訴える運動が松竹の労働組合を中心に巻き起こった。その運動に対し、熱いメッセージを送ったのが西田さんです」

 そのメッセージが以下。

《生きる情熱! 映画への熱情! 失うことなく働ける現場を確保して下さい 皆さんの仲間 俳優西田敏行》

 松竹労働組合の中央書記長だった梯(かけはし)俊明さんは当時をこう振り返っている。

「大船撮影所の売却の問題は、『釣りバカ日誌11』の撮影中でした。監督だった本木克英は当時、松竹労組の組合員で、大船撮影所の売却に反対することに対して、“全面的に協力する”ということで、『釣りバカ11』スタッフ全員が“大船をなんとか残そう”という雰囲気になっていたんですね。

 そのなかで西田さんに激励のメッセージをいただけないかとお願いしたら、すぐに直筆でメッセージを書いてくださった。西田さんのメッセージがきっかけになって、大船撮影所にゆかりのある俳優さんや著名な方から瞬く間に多くのメッセージが集まりました」

 大御所と呼ばれる俳優になっても、“仲間”のために動き続けた役者人生だった。

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