石破首相の「おさえ込み内閣」増税・子育て・憲法改正で、暮らしはますます困窮する
週刊女性PRIME / 2024年10月30日 8時0分
「石破さんの動向次第では、来年の参院選でねじれ現象が生まれる。だから当分は石破カラーも出さずに、無難な方向で進んでいくんじゃないでしょうか」
ジャーナリストの渋井哲也さんが石破政権の今後を分析する。
10月27日に投開票が行われた衆院選。週刊女性はその2日前に新たな石破内閣が誕生したと仮定して取材を敢行。
「もしも新たな石破内閣が誕生したら」私たちの暮らしはどう変わるのだろうか。気になるポイントを専門家に予測してもらうと─。
「税金・物価」はどうなる?
《経済あっての財政》と政策に掲げている石破首相。まっとうなことを言っているけれど、
「極端な増税はしないのではないか。というのも今回、減税や消費税廃止を訴えた政党がそれなりの支持を得ている。来年は参議院選挙がある。衆院選で政権が不安定になっていることから今すぐの増税はない。増税があるとすれば参院選後になるのではないか」(渋井さん)
「石破さんが首相になった途端、日経平均先物取引も夜間取引で2000円以上急落しました。この状態が続くと物価の上昇は抑えられても、賃金も抑制されてしまう。増税も減税もしない現状維持でも国民の暮らしは苦しい状態が続く。国民の買い渋りや資産の目減りが続くと経済も回らなくなる。
石破さんは公明党が嫌いなので自公の連立がなくなり、他の政党と組む可能性が高い。どこと組むかによっても変わってくる。もしも立憲民主党と組んだら15%増税はあり得る」(ジャーナリスト・当山みどりさん)
当面の増税はないものの、暮らしが良くなる気配はないようだ。
「子育て・福祉」はどうなる?
こども政策担当大臣に「子ども手当をなくすべき」と過去に発言した三原じゅん子氏を起用するなど子育て政策に関してやる気が感じられないが─。
「石破政権のウイークポイントではないか。岸田政権と比べても子育て政策に関する言及が少なく、力を入れていないように見える。岸田さんはどちらかというと立憲民主党が主張するような福祉政策・子育て政策を取り入れていたので、暮らしに関わる政策は軽視せずに取り組んでいた。
石破さん自身は生活分野や福祉に明るくないので、それこそ専門家を置かないといけないところに三原さんですからね」(渋井さん)
「子育て支援に関しては手当よりも医療や学費などの無償化を表明している石破首相ですが、実効性がある対策ではない。財源の確保もできていないのにとりあえず言っている感が強い。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化について、石破さんはこれまでの政府方針を引き継ぐと言っているので現行保険証の新規発行は12月で終了します。このあたりももっと説明していく必要があるのではないでしょうか。福祉や子育てについて説明不足でどうしたいのか見えてこない。おそらくあまり関心がないのでしょうが、首相になったんだから関心がないでは済まされない」(当山さん)
第3号被保険者制度の見直しについても宙ぶらりんのまま。
「さまざまな理由をつけて年金額を減らしていく方向です。これは石破さんに限らず自民党政権であるうちは既定路線。すると国民は貯金のためにお金を使わなくなり、経済が回らないという負のスパイラルなんですよね」(当山さん)
「憲法改正」はどうなる?
自衛隊を「国防軍」にするというのは石破首相がかねて口にしていたこと。憲法改正に関し、戦力不保持をうたう9条2項を削除する方針のようだ。
「社民党の福島瑞穂さんなどが《憲法9条変えさせない!》をスローガンに掲げていますが、9条を変えるということは戦争ができる国につながるからなんです。石破さんは『日本人は日本国を自分で守るんだ、という当たり前のところに安全保障政策を戻したい』と著書や講演などで常に言っています。
石破さんはアメリカに守られている状態のどこが独立国なんだという思いが強い。自分の国は自分で守るんだというのは至極まっとうな話ですが、憲法9条を変えてしまうのは時期尚早。まだ議論の必要があります」(当山さん)
「改正があるとすれば自衛隊を明記するかどうか。そこは国会議員の3分の2が賛成するかもしれない。あとはまだ議論が成熟していないように思います」(渋井さん)
「女性・女系天皇」はどうなる?
皇族数減少の危機が指摘されながらも、先送りにされ続けてきた皇位継承問題。小室眞子さんの結婚や悠仁さまの進学問題をめぐって秋篠宮家が批判を浴び、愛子さまを次期天皇に、という声が高まっている。
「8月のインターネット番組で、石破さんは女系天皇の可能性を排除すべきではないという考えを示していました。首相になってからは個人的な考えを言うのはやめたいと皇室制度について言及を控えています。一部では《石破首相で愛子天皇の実現に一歩近づいた》と報道されましたが、石破さん本人はこの点において優先順位が低いというか、自分の代でなんとかしようとは思っていないように見えます。先送りにされてしまうんじゃないか」(当山さん)
国民の生活をおさえ込む《おさえ込み内閣》
「石破内閣に名前をつけるとしたら《おさえ込み内閣》と名づけますね。石破さんは自民党にいながらも独自の政策・考えを持っていたため《党内野党》と呼ばれていました。その石破さんが“らしさ”をおさえ込まれている。国民の生活もおさえ込まれ、両者ともに得をしない状況です。
閣僚の顔ぶれを変えたら支持率は上がるだろうけど、党内基盤が弱くなるため、できない。来年の参院選までが石破政権の限界だろうと思います」(渋井さん)
投票日直前に発覚した非公認候補への資金援助問題。はたして新石破内閣は誕生しているのだろうか─。
このまま国民をないがしろにしていると、来年の参議院選までの『短命内閣』となるだろう─。
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