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《最新がん予防》「がんになる前に見つける」医師がすすめる“がんリスク検査”のすごい中身

週刊女性PRIME / 2024年11月15日 8時0分

※写真はイメージです

 いまや日本人の死亡原因の1位となっているがん。自治体が実施するがん検診や、個人で人間ドックを受け続けている人も多いが、「がん検診とがんのリスク検査(以下リスク検査)は、似て非なるものです」と教えてくれたのは、医師の田中善先生。

がんになる前の異常な細胞を見つける

「国が推奨するがん検診は、ひと言でいえば『がんを見つける』もの。つまり、発見されるのは“すでにできているがん”ということです。

 これに対してがんリスク検査は、身体の中にある潜在的な『がん細胞』を見つけるもので、まだ腫瘍になっていません。検体中のがん細胞の多さから、今後がんになる可能性がどのくらいあるかを判定します」(田中先生、以下同)

 私たちの身体では、健康な人でも1日に5000個ともいわれるがん細胞が発生している。これをその都度、退治して、がんになるのを防いでくれているのが、体内にあるリンパ球などの「免疫細胞」だ。通常はがん細胞を排除してしまえば問題にならない。

 ところがストレスや糖尿病といった生活習慣病など、外的・内的な要因が加わり続けると、免疫細胞の仕事が追いつかなくなり、がん細胞が残ってしまい、塊の状態になったものが、がんだ。早期がんで見つけ、手術や治療を開始すれば治る可能性が高い。

「とはいえ、早期であってもがんとわかった時点で身体的、経済的な負担は発生します。『リスク検査』によって“がん未満”の段階で見つけることは、そうした負担を軽くすることに役立ちます」

 がんリスク検査には、血液中や唾液中の特定の物質濃度を測るもの、尿中の物質をAIで解析した検査など、さまざまな種類がある。

「痛みが苦手な人は採血ではなく尿や唾液という方法がいいでしょうし、忙しい人には5分程度で終わるような手軽なものもあります。検査メーカーによっては感度(的中率)を公表しているところも。

 種類も増えており一概にはいえませんが、実際に診療にも活用している検査に関しては、以前より精度が上がってきている印象です。リスク検査で引っかかり、精密検査をしたらがんが見つかった患者さんも少なくありません」

がん予防に詳しい医師がいるところで

 がん検診は自治体のものであれば補助金が出るが、リスク検査の場合は自由診療となり、保険が使えない。そのため高額なものも。

「日本の保険診療は『病気を治す』ための医療を対象にしています。そのため病気以前の予防のためには使えないのです。これからさらに高齢社会になることを考えても、もっと予防医学に力を入れるべきと思うのですが……」

 自由診療のため、医療機関によって同じ種類の検査でも費用が異なる場合がある。また、検査の価格と精度とは比例しないので、高い検査ほどいいということでもないとか。

「検査方法以上に大事なのは、がん予防に詳しい医師がいる医療機関で検査を受けることです。自宅で検体を採取して送るという検査方法もありますが、あまりおすすめしません。それで高リスクという判定が出ても自分ではどうしたらいいかわからず、混乱してしまうことも。

 また、それを持って普通の医療機関を受診した場合、医師が予防医学やリスク検査に詳しくないと、『がんになっているわけではないのだから、心配いりません』で終わってしまう可能性もあります」

 リスク検査の最大のメリットは、「がんにならないための対策ができる」という点。

「リスクがあっても必ずがんになるとは限りません。予防医学に詳しい医師なら、そこからがんにならないためのアドバイスや免疫を向上させる治療を提供することができます。実践後に再検査をすると、リスクが劇的に下がっていることも多く、患者さんは健康維持へのモチベーションがさらにアップします」

 予防医学に強い医療機関を見つけるには、「日本先制臨床医学会」のホームページが参考になる。

増え続ける大腸がん、不安な人は受けてみても

 リスク検査はどのような人が受けるといいのだろうか?

「がんはストレスが大きなリスク要因です。ストレスが多いと自覚がある人、がんになった家族がおり『がん家系』を自認している人は一度受けてみるといいかもしれません。家族というのは食事などの生活習慣が似通っているため、遺伝以上に環境要因の近さも、がん発症に関係していると考えられます」

 また、日本人女性の罹患数が40年で4倍に増え、死亡原因の1位となっている大腸がんにも注意を払ってほしい、と田中先生は語る。

「がん検診の便潜血検査だけでは、陰性であっても大腸がんの可能性も。リスク検査の中には大腸がんを調べられるものもあるので、こうした検査と併せて大腸内視鏡検査などを定期的に行うのがいいかもしれません。早期の生活改善で大腸がんの予防につなげてほしいですね」

 今後、研究が進んで一般的になれば、今のリスク検査の値段がさらに下がることも期待できる。

「定期的にがん検診や人間ドックを受けることも大切ですが、医療機関を探して予約し、足を運ぶという心理的なハードルは高い。体調管理の手段としてがんリスク検査を利用するのもおすすめです」

いま注目の「がんリスク検査」

プロテオ(R)レシオ検査
わずか1滴の血液から、血中に浮遊する、がん由来のヌクレオソームという物質を検知。その量でリスクを測る。「ステージ0」のがんから検出できるのが強み。
費用の目安…約6万円

アミノインデックス(R)
5ml程度の血液を採取。健康な人とがんの人のアミノ酸濃度バランスの違いを解析することで、男性5種、女性6種、現在がんである可能性を評価する。
費用の目安…約2万7000円

サリバチェッカー
唾液を採取し、そこに含まれるがんの代謝物を超高感度質量分析装置を用いて測定、解析し、がんリスクを測る。6種類のがんのリスクがわかり、検査時間は5分程度。
費用の目安…約3万円

マイシグナル
尿のRNA(リボ核酸)をAIで解析し7種類のがんリスクを特定。自宅で尿を採取して送り、判定してもらえるので、病院で検査をする時間がない人にもうれしい。
費用の目安…自宅検査 約1万円~、医療機関 約7万円~8万円

マイクロCTC検査
血中にあるがん細胞そのものを検出し、個数までわかる先端技術を用いた検査。血液のがんを除き、検診では見つけにくい膵臓がんなどのリスクもわかる。所要時間は5~10分程度。
費用の目安…約18万円

田中善先生●医学博士。田中クリニック(大阪市)院長。1952年生まれ。2001年に開業し、統合医療やがんの先進治療を提供。日本先進医療医師会理事、日本老化制御医学会常任理事なども務める。


取材・文/遊佐信子 画像提供/味の素株式会社 マイテック

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