「同じネタを20年」再ブレイク中の“一発屋芸人”たち、不倫報道から奇跡の逆転を果たした者も
週刊女性PRIME / 2024年11月24日 17時0分
かつて「一発屋」といわれた芸人たちが、芸風を変えたり、YouTubeを始めたり、地方営業を地道に続けたりとさまざまな形で再ブレイク中! 一発の芸で売れたけど、それだけじゃ終わらなかった逆転人生ぶりとは―?
安村は「ゴット・タレント」で話題を集め再ブレイク!
かつて“一発屋”と称されたお笑い芸人たちの、セカンドブレイクが相次いでいる。今年の夏、週刊誌に“3.5億円詐欺疑惑”を報じられたなかやまきんに君もそのひとり。
'00年に“筋肉芸人”としてデビューし一気に人気を博したが、その後は浮き沈みを経て'21年末に吉本興業を退社。独立後は仕事量が約7倍に増え、年収3億円とも噂されている。
「最近の華々しい再ブレイクといえばやはり、とにかく明るい安村さんでしょう。『ブリテンズ・ゴット・タレント』での活躍ぶりは大きな話題となりました」
と、コラムニストで芸能評論家の宝泉薫さん。イギリスの公開オーディション番組で、持ちネタである全裸ポーズを披露。会場を大いに沸かせ、決勝に進出した。
芸歴20年を超える安村。もともとコンビで活動していたが、'14年に解散。ピン芸人となって間もなく全裸ポーズで大ブレイクを果たすものの、'16年の不倫報道で一気に失墜。テレビから消え、このまま一発屋の道をたどるかに見えた。
「それを救ったのが有吉弘行さん。『有吉の壁』(日本テレビ系)では、安村さんの捨て身の芸に毎回笑いが集まりました」(宝泉さん、以下同)
有吉自身も一発屋として辛酸をなめた過去がある。不遇の時代、内村光良がメインを務める『内村プロデュース』(テレビ朝日系)で再び注目を浴びたことが、再起のきっかけとなった。
「芸人にとって『有吉の壁』は最重要番組。くすぶっている者たちを何とかしようとする大物と、そこに望みをかけて再起を狙う芸人という、美しい構図があるんです。安村さんは裸芸で世に出ましたが、持ち前のワードセンスや人間的魅力を『有吉の壁』でいかんなく発揮できた。それも復活の一因でしょう」
意外な博識ぶりで再注目されているのが、ピン芸人の永野。平成後期のお笑いブームに「ゴッホより普通にラッセンが好き♪」のリズムネタでメジャーに。
その後、徐々にテレビ露出は減っていったが、'21年に音楽専門出版社から初の著書『僕はロックなんか聴いてきた〜ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!〜』を上梓。洋楽ロックへの造詣と深い洞察力が話題を呼んだ。
「最近、業界内では、YouTubeや動画配信番組に永野さんが出演すると“バズる”と評判。本人が言い出した“令和の配信王”の称号も定着しつつあります」
実は田中みな実と仲良しだったり、同じ事務所の女後輩芸人から慕われたりと、周囲の女子からの支持も厚い。
「引き出しが多く、ミステリアスな部分も持っている不思議な芸人です。今後も消えることはないでしょうね」
再起を図る多くの芸人が、自らが一発屋であることをネタにする中、頑なに「一発屋と呼ばれたくない」と公言するのがヒロシ。
テツandトモや小島よしおは営業で引っ張りだこ
約20年前の大ブレイク時には最高月収が4000万円だったことを明かしているが、極度のあがり症などが原因で絶頂期は長く続かず。何年も表舞台から姿を消していたものの、'15年ごろに再び“キャンプ芸人”の先駆けとして脚光を浴びた。
「一発屋芸人同士でつるまず、慣れ合わない。非常に珍しいタイプですが、芸人とは本来こういうもの。プライドの高さ、意固地さ、生きづらさが独特の個性となり、プラスに作用しているように感じますね」
ソロキャンプに密着するレギュラー番組は、6年目を迎える長寿番組に。ロックバンド「スパイダーリリー」のベーシストとしても活動中だ。
「自身の生きづらさをごまかさず、やりたいことしかやらない方針を貫いて、たまたまうまくいったのがヒロシさん。非常に危うい人生ですが、そこが彼のすごさ。一発屋と呼ばれる芸人の中で、最も成功しているのが彼なのではないかと個人的には思います」
一発屋のようで実は一発屋ではない、そんな不思議なコンビがテツandトモ。'98年にコンビ結成後、「なんでだろう~♪」のリズムネタで一躍売れっ子に。
当時大人気だったネタ番組『爆笑オンエアバトル』(NHK)や『エンタの神様』(日本テレビ系)の常連になるものの、共に'10年に番組は終了。と同時に、テレビから姿を消したかに見えた。
「実際は地方のお笑いライブや営業に、20年以上ずっと引っ張りだこ。テレビで顔を売ってから全国を回る、演歌歌手のようなスタイルで息の長い活動をされています」
同じネタを20年以上やり続け、飽きられない秘密は?
「ネタの着眼点も素晴らしいですが、なんといっても2人が出てくるとステージが一気に華やぐ。遠くからでも動きや声がはっきりと伝わるんです。50代半ばになってもパフォーマンスがまったく衰えない、その努力も素晴らしいですね」
小島よしおもテツトモ同様、一発屋のように見えて息の長い芸人のひとりだ。
「子ども向けの芸風に完全にスイッチしたのが、彼の頭のいいところ。飽きられても子どもたちは次々に生まれますから仕事は途切れない。同じ芸でも、見せる相手を変えれば何度でも通用するいい例です」
「小島よしおのおっぱっぴー小学校」という子どもに算数を教えたりするYouTubeチャンネルを持ち、チャンネル登録者は16.3万人と好調だ。今年待望の第1子が誕生し、パパ芸人としても新たな境地を開いている。
「早稲田大学出身のインテリで、芸は下品でも本人は決して下品じゃない(笑)。テツトモと同じく、20年たってもパフォーマンスや体形は変わらず。もはやアスリートです」
ネタ番組が次々と終了し「一発屋すら生まれない」といわれる厳しい時代に、二発目、三発目を狙うかつての一発屋たち。次なる再ブレイクを遂げるのは、はたして?
ほうせん・かおる アイドル・二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)
元祖一発屋芸人 ダンディ坂野の逆襲
ありがたいことに“元祖一発屋”としてお声をかけていただくことが多いんですが、自分自身としてはそれほど浮き沈みがあった感じはないんです。もともとコンビとして活動していたものの芽が出ず、ピンでお仕事をいただけるようになったのが2003年ごろ。
「意外と苦労してない」
当時大人気だったネタ番組『爆笑オンエアバトル』(NHK)に出ていたころです。持ちネタの「ゲッツ!」が話題となり、一気にお仕事が増えたのは事実。その後メディアの露出が減って、「消えた」と言われたこともありましたが、地方の営業など、たくさん仕事はいただけてました。
テレビに出てないと、どうしても仕事がなくなったと思われがちですが、実際は変わらず忙しくさせてもらってました。だから一発屋芸人ばかりを集めたトーク番組の企画では、「せっかく呼んでもらったんだし面白い苦労話でもしなきゃ」という思いと、「ウソをついてまで話を盛りたくない」という思いのせめぎ合いです(笑)。
僕は、見ている方々に「ダンディはいつも元気いっぱいだな。黄色いスーツで相変わらずだな」と思ってほしい。だから脚色交じりの苦労話を披露して、自分に悲愴感が漂ってしまうのは嫌なんです。「意外と苦労してないんですよ」なんて言っちゃうと、番組が盛り上がらないのはわかってるんですけどね(笑)。
今も、CMは地方のものやネット広告も含めると年間15本程度、営業のお仕事も40~50本ほどはいただいています。一発屋と呼ばれながら20年以上がたち、今年はスギちゃんと一緒に「粘り強さ・オブ・ザ・イヤー2024」を受賞しました(笑)。
現在57歳ですが、これからもなんとか体形を維持しつつ、コツコツとやっていきたいですね。
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