老けない人が食べている“最強食材”と、見た目に差が出る“最新データでわかった至高の組み合わせ”
週刊女性PRIME / 2024年12月2日 6時0分
中年期を過ぎると、身体の衰えに伴い、「老い」を実感する場面が増えていくもの。
「加齢とともに同じ年齢でも老ける度合いが変わってきます。その度合いは、食事や食習慣と深い関係があります。毎日・毎食、どういう食事をするかによって、決定づけられるのです」 と話すのは、管理栄養士の森由香子さん。例えば、ビタミンCは抗酸化物質で活性酸素を消去する能力もある栄養素のひとつ。
「活性酸素は血管を硬くして動脈硬化を引き起こしたり、シワやシミの原因になったりと、エイジング(老い)を加速させます。抗酸化作用を持つビタミンCは老化防止に役立っていますが、体内でつくることはできません。
また、お酒をたくさん飲む人ほどビタミンCが多く消費され、不足しやすいものでもあります。普段の食事からしっかり補給できているかが大切です」(森さん、以下同)
タンパク質など食べ方の間違い
ビタミンC以外にも、食事からしか得られない栄養素は多い。老けるかどうかは普段の食事で大きく差がつくということだ。 ちなみに、酒は百薬の長といわれてきたが、最新の研究により少量でも各種疾患の発症リスクが上昇し得ると示されている。飲酒量は健康に配慮して、飲み方を考慮したい。
森さんは普段の食事で、食べ方も大切だという。例えば、タンパク質は筋肉、皮膚、髪、歯など、身体の組織を合成させる役割を担い、積極的に摂取したい栄養素だが、注意したい点がある。
「近年、タンパク質ブームが起き、肉や魚、卵、大豆などのタンパク質ばかり食べて、ご飯などの炭水化物や脂質の摂取を抑える食生活を送る人が増えています。これはすぐに改善すべきですね。
なぜなら、若々しさを保つどころか、逆に“老けた人”になってしまう可能性があるからです。私たちの身体は“エネルギーファースト”でできています。ご飯を抜いたりすると、身体を動かすエネルギー源の糖質が足りなくなります。
その状態で食事からタンパク質をとっても、筋肉や皮膚をはじめとした組織の合成にまわらず、不足したエネルギーを補うために使われてしまうのです。老けないためには、毎食、タンパク質だけでなく、ご飯やパンといった主食と、適度な脂質をとることが大切ですね」
勘違いされているコラーゲンの効果
また、老けないためにはカルシウムの摂取も必要不可欠。骨の老化によって起こる骨粗しょう症は加齢に伴う骨量の減少が引き金になるのと、女性は閉経後、ホルモンバランスの影響などで発症する例も増えている。予防のためにもカルシウムの摂取が有効だが、「カルシウムだけとっていれば安心」というのは間違い。
「カルシウムを十分とっていても、身体に吸収されなければ骨は弱くなり、動脈硬化を招いたりします。そこで必要なのがビタミンD。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨となるのを助ける働きをします。
ですからカルシウムだけをとるのではなく、ビタミンDが豊富なサバやイワシなどの魚、キクラゲやマイタケなどのキノコ類を一緒に食べるといいでしょう」
そのほか、女性に人気のコラーゲンについて、コラーゲン鍋などを食べると「肌がぷりぷりになる」などともてはやされているが、これは事実に反するとのこと。
「コラーゲンを食べても、劇的な美肌効果は望めません。食べ物として身体の中に入ったコラーゲンは、消化の過程でアミノ酸に分解されてしまうからです。美肌との関係性が薄いのは栄養学の世界では常識。コラーゲンはタンパク質の一種なので、食べて悪いわけではありません。ただ過度な期待は持たないようにしてください」
また、健康油として知られる亜麻仁油やエゴマ油についても取り扱いに警鐘を鳴らす。
「どちらの油も身体にいいのは確かですが、使い方を間違えるとかえって悪影響を及ぼします。というのも、亜麻仁油とエゴマ油はとても酸化しやすく、酸化すると老化を早める過酸化脂質になるので身体によくありません。酸化を防ぐには加熱調理では使用せず、サラダなどにかけていただくこと。空気にふれると酸化するため、早く使い切ることも大切です」
では、どんな食品を食べれば見た目も身体もアンチエイジングできるのか。森さんが「アンチエイジング食材のスーパースター」と太鼓判を押し、筆頭に挙げるのはおなじみのあの食品だ。
老化抑制につながる筆頭食材は納豆
「納豆です。納豆には良質なタンパク質をはじめ、ビタミンB群、ビタミンK、鉄、カルシウム、食物繊維など、身体の老化を抑制してくれる栄養素がたくさん含まれています。毎日、積極的に食べることをおすすめしたいです」
納豆に含まれるタンパク質やビタミンB群は美しい肌や筋肉の合成に欠かせない。共に肝臓を元気にする働きもあり、アルコールやたばこなどの有害な物質から身体を守ってくれる。
「ビタミンB群は肌の新陳代謝を活性化させます。特にビタミンB2は細胞の再生をはじめ皮膚や粘膜の成長を促進するため、若々しい肌が保たれます」
納豆には整腸作用があるのもパワーの源に。食物繊維や納豆菌がその役割を担う。
「腸は食べ物に含まれている栄養を吸収する臓器です。腸を元気に保つことは老化を抑える第一歩。実際、腸内が元気で便秘もない人には、見るからに若々しい人が多いです」
若々しい人が必ずといっていいほど食べている食品をもうひとつ。ズバリ、卵だ。特別なものではなく、スーパーなどで売られている、ごく普通の鶏卵とのこと。
「卵には体内でつくることができない必須アミノ酸が豊富に含まれています。若々しい肌と、健康な身体でいるために、この必須アミノ酸が欠かせません。卵の適量は健康な人であれば1日1~2個です」
朝食に納豆と卵を食べるのは、「ダブルタンパク食」という最強の組み合わせに。
「ダブルタンパク食とは、動物性(卵など)と植物性(納豆など)のタンパク質をとること。年をとるとサルコペニア(加齢による筋力や骨格筋量の低下)やフレイル(加齢に伴い心身が衰えた状態)のリスクを警戒しなければなりません。
ダブルタンパク食は有効な対策となり、筋力を構成するタンパク質の合成率が高い状態で保たれ、筋肉づくりに効果的です」
冒頭で森さんが説明したシミやシワの原因になる活性酸素。食事の力で撃退できるという具体例として、「ビタミンCとビタミンEが豊富な食事をとることが一番」と語る。
抗酸化力を高める食材を積極的に
「ビタミンC、Eを豊富に含む食品はそれぞれたくさんあります。中でも、2つの栄養素が共に豊富なのがブロッコリーとキウイフルーツです。シミ、シワ対策の食材としておすすめします」
活性酸素は体内の細胞を酸化(サビ)させ、正常な働きを失わせる。老化の最大原因のひとつといえるそうだ。
「サビない身体を保つためには、日頃から抗酸化力の高い食品を多めにとり、活性酸素を増やしてしまう食品を控えめにすることが大切です」
抗酸化力の高い食品のひとつとしてレバーを推す。レバーに多く含まれる鉄は身体中に酸素を運ぶ役割を担っている。
「鉄には動物性食品に含まれ身体に吸収されやすい『ヘム鉄』と、植物性食品に含まれ身体に吸収されにくい『非ヘム』があります。レバーはヘム鉄なので、女性に多い鉄不足を補うのにも最適です」
抗酸化作用のある物質として有名なのがリコピン。リコピンを豊富に含む食材といえば、トマトだろう。
「リコピンはトマトの赤い色素のこと。赤くなるほど含有量が増えるので、赤くしてから食べるのが正解です。また、生野菜よりトマト缶など加工品のほうが吸収されやすいことがわかっているので、煮込み料理もおすすめですよ」
飲み物では高い抗酸化作用を持つココアをすすめる。抗酸化物質のポリフェノール類も含み、アンチエイジング効果が期待される。
「ココアは腸内環境を整える食物繊維も豊富です。前述のとおり、腸の元気は老化予防になります」
糖類の多いフルーツが脂肪に変わる可能性
一方、見た目や身体を老けさせるのはどんな食品なのか。第一に、お菓子やアイスクリームなどの甘いものをNG食材として挙げる。
「甘いものに多く含まれる糖類のとりすぎは、若々しくありたい私たちの身体にさまざまな問題を引き起こします。まず糖類の過剰摂取は美肌の大敵。
肌荒れなど各種のトラブルにつながります。何より怖いのは、身体を構成するタンパク質と余分な糖が結びついてAGEs(エイジーズ・終末糖化産物)と呼ばれる老化物質を作り出す現象です。細胞や臓器を老けさせ、さまざまな病気の要因になります」
糖類をとりすぎないことを前提に、甘いものを食べたいときは食後が好ましいという。
「血糖値の急上昇を抑えられるからです。空腹時に甘いものを食べると血糖値が急上昇し、身体への悪影響を招きます。食後ならそれを避けることができるわけです」
お酒の飲みすぎも身体に悪いのは周知のとおり。自ら老化に拍車をかけることになるそうだ。
「お酒をたくさん飲むと肝臓に負担をかけます。アルコールを分解するために必死に働くことになり、その際、肝臓で活性酸素がどんどんつくられます。この影響が全身に広がり、確実に身体を老けさせていくのです」
上手にお酒と付き合うには飲みすぎに注意しつつ、ひと工夫が必要。
「活性酸素を抑えるビタミンCやビタミンE、ベータカロテンなどを含む食品をつまみに飲むようにしましょう。また、一緒に水をよく飲むようにして、アルコールを体外に出しやすくしましょう」
そのほか、フルーツといえば身体にいい食材の代表格だが、食べ方を間違えると、むしろ身体を老けさせる要因になってしまう。
「フルーツにはブドウ糖、果糖、ショ糖など糖類が多く含まれているからです。摂取量に気をつける必要があり、適量は1日200グラム程度。リンゴなら半分で150グラム程度なので、1日1個は食べすぎになります。
また、食べる時間にも注意しなければなりません。できるだけ朝か昼に食べて、夜は避けましょう。夜は活動量が減るうえに、脂肪をためやすくする遺伝子も活発化します。結果、糖類の多いフルーツが脂肪に変わる確率がアップするのです」
血液をドロドロ状態にする危険性がある揚げ物も禁物。揚げ物に使用する油は空気にふれることで酸化し、動脈硬化の一因となる過酸化脂質をつくり出すそうだ。
「過酸化脂質によって血液の流れが悪くなると、肌の新陳代謝や免疫力も低下し、老化は進行します。ですから揚げ物を食べる場合は、新鮮な油を使って揚げたてのものをいただきましょう」
腹七〜八分目で3食の規則正しい食事
最後は、老ける度合いを左右するもうひとつの要素、食習慣について見ていこう。
「腹八分目に医者いらず」ということわざのとおり、適度な量の食事は健康な身体をつくる基本。アンチエイジングの究極目標は健康長寿といえるが、この食習慣には科学的な根拠がある。
「アカゲザルを20年間哺育して行った実験です。一方のサルには十分な食事を与え、もう一方のサルにはその7割、腹七分目の食事を与えて観察を続けました。結果、腹七分目のサルのほうが、食事制限なしのサルよりも毛がふさふさで、若々しい身体を保っていたのです」
また、近年は空腹の時間を確保するほうが健康にいいという考え方も生まれている。
「空腹時には細胞の再生能力を高める『オートファジー』というシステムが働きます。そのシステムによって老化を抑えられるのです」
朝昼夜の3食を規則正しくとる食習慣も健康維持に欠かせず、理にかなった理由がある。
「成長ホルモンが関係しています。若々しく健康な身体を保つには、加齢とともに低下する成長ホルモンの分泌を促さなければなりません。成長ホルモンは深い睡眠(ノンレム睡眠)のときに出ることがわかっていて、そのカギは朝昼夜の規則正しい食事のとり方にある。
加えて、夕食は起床後12~14時間以内に終え、就寝3時間前は何も食べないようにする。そうすることで成長ホルモンの分泌を高め、老けない身体をつくり出します」
そして、主食・主菜・副菜の組み合わせで、栄養素を持つ食材をバランスよくとる食習慣も大切。身体に必要な栄養素は約50種類、相互作用によって健康が保たれるそうだ。
「私は1日10品目とることを推奨し、その頭文字をとった『かきくけこ・やまにさち』を合言葉として皆さんにお伝えしています。参考にして10品目を心がけましょう」
加齢とともに身体が衰えていくのは避けられない。そこであきらめるのではなく、食のあり方を自らに問い、前を向く必要がある。
「自分の食生活、食習慣はこのままで本当にいいのか。一度見つめ直してみることをおすすめします。食の改善はいつから始めてもよく、遅すぎることはない。人生100年時代だからこそ、きっと差がつくと思いますよ」
老けないための食習慣3つのルール
・腹七~八分目を心がける。早食い、大食いはNG
・朝昼夜の3食をきちんととり、決まった時間に食べる
・主食・主菜・副菜の組み合わせで、栄養素をバランスよく
お話を伺ったのは……森 由香子さん●管理栄養士。日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。「食事からのアンチエイジング」をテーマに栄養・食事指導を行っている。医療機関をはじめ幅広い分野で活動中。著書多数。
取材・文/百瀬康司
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