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中山美穂さんは「引き際を心得てる」稀代の劇作家が語っていた“あやうい魅力”と“派手な顔立ち”

週刊女性PRIME / 2024年12月17日 21時0分

2024年12月6日に亡くなった中山美穂さん

《彼女が受けている理由は、きっとそのあやうさにある》

 “彼女”とは、12月6日に急逝した中山美穂さん(享年54)のこと。そう綴っているのは、『蒲田行進曲』『熱海殺人事件』などで知られる劇作家・演出家のつかこうへいさん('10年没)。つかさんは'95年に『女優になるための36章』(主婦と生活社)という書籍を発表している。同書は、つかさんが女優との出会いやふれあいを語りながら、女優とは何なのか。女優にとって大切なものは。そして彼女らの魅力を語ったエッセイ。タイトルにあるように36章にわたって個々人を取り上げつつ、女優・タレントらを語っているが、そのうち2章が中山さんに割かれている。

「一歩間違うと下品」

 出版当時の'95年は、中山さんが岩井俊二監督の映画『Love Letter』に主演した年。同作で中山さんはその年の映画賞の主演女優賞を総なめ。前年にはTBS系ドラマ『もしも願いが叶うなら』に主演。主題歌の『ただ泣きたくなるの』が104万枚のミリオンセラー。中山さん単独名義では初ミリオンとなった。そんな彼女の“全盛期”の魅力は、稀代の劇作家の目にどう映っていたのか。

 “そのあやうさ”とは─。つかさんは次のように綴っていた。

《自然に構えているだけで、表情をつくったときよりも効果的な、それでいて厭味のない強烈な印象を与えられるというのは、観られる商売をする者にとって貴重な才能》

《また派手な顔立ちだけに、一歩間違うと下品な感じに映ってしまいますが、彼女から漂う雰囲気は非常に上品なものです》

中山さんの“引き際”

 そしてその「品」は演技にも多分に作用している、と。

《中山さんの身体にまとわれた『品』は、昔の女性にあったような我慢する『品』と同じようなもののように感じます。たとえば、どんなに下衆な汚い台詞を言わせても、この人の口から出てきた、その瞬間からただの下衆な台詞ではなくなってくると思うのです》

 そして、'95年という時代背景もあり、つかさんは中山さんの将来について、以下のように“想像”していた。

《この方は引き際をきっちり心得てる人だと思うのです。好きな男性ができたら、きっと芸能界から足を洗って、きちんと結婚して家庭を守ることができる人だと思うのです》

 中山さんは'02年にミュージシャンで小説家の辻仁成と結婚。芸能活動を休止し、フランスに移住している。生前、スポーツ紙のインタビューで当時を振り返った中山さんは、フランスでは子ども中心の「本当に普通のお母さん」と主婦業に専念していたと語っている。

 つかさんが予想した未来は訪れたが、残念ながら長くは続かなかった。何より彼女の人生がこれほど早く幕を下ろしてしまうなど、誰が……。

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