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YOASOBI・Ayaseのタトゥー影響は杞憂か「ボカロP」出身者たちがJ-POPを“席巻”する実情

週刊女性PRIME / 2024年12月21日 10時0分

YOASOBIのAyase(左)とikura(YOASOBIの公式Xより)

 YOASOBI、ヨルシカ、米津玄師(33)――これらのアーティストの共通点は「ボカロP出身である」ということだ。

J-POPシーンを賑わせるボーカロイド

 ボカロPとは、ボーカロイド(VOCALOID)という音声合成ソフトを使って楽曲を制作し、発表する人のこと。代表的なものに初音ミクに歌わせた楽曲などが挙げられる。

 そして近年は元ボカロPの生み出すサウンドがJ-POPシーンを賑わせているのだ。

 あくまで一例だが、YOASOBIはデビュー曲『夜に駆ける』が公開からわずか約5か月でYouTube1000万回再生を突破し、人気楽曲『アイドル』は2024年12月中旬現在で5.5億回再生という驚異的な記録を打ち立てている。

YOASOBI・Ayaseのタトゥーが活動の幅を狭めている?

 今のJ-POPシーンを席巻するYOASOBIは『NHK紅白歌合戦』に2020年、2021年、2023年と出場。しかし、今年の紅白には出場者リストのなかに名前はなかった。

 YOASOBIはNHKのパリ五輪テーマソングも担当していたにもかかわらず、今年の『紅白』に出場しない原因として、コンポーザーのAyase(30)のタトゥーが関係するのではないかという噂が囁かれている。Ayaseは腕・肩・首などにタトゥーがびっしり彫られており、NHK内で問題視されたのではという憶測が流れているのだ。

 そのタトゥー問題は国外にも及んでおり、12月3日に韓国の人気音楽番組『THE SHOW』に出演した際に、パフォーマンス前の紹介画面でYOASOBIのアーティスト写真が映し出されたのだが、タトゥーを隠すようにAyaseの両腕にモザイク処理がされていたのである。

 タトゥーと『紅白』不出場の関係性は定かではないが、YOASOBIの世間的イメージがガラリと変わるきっかけになった可能性は否めないだろう。けれど彼らの音楽性は変わらず評価され続け、今年の年末から2025年2月にかけアジアツアーも決定している。

一昔前までは「ボーカロイドはオタクのもの」だった

「2024年Spotifyジャパンランキング」によると、国内で最も再生されたアーティストの中にYOASOBI(4位)、ヨルシカ(5位)、米津玄師(6位)と、ボカロP出身アーティストが3組もランクインしている。

 ひと昔前は「ボーカロイドはオタクのもの」といった印象が強く、カラオケでもオタク仲間の間でひっそりと歌われる程度だった。

 それには2010年代以前のボーカロイド楽曲の特徴にあるかもしれない。その頃の楽曲の特徴としては、音域が広い、音の跳躍幅が広い、テンポが速い、早口、リズムが複雑など、人間が歌いにくいタイプの“楽曲あるある”の煮凝りのような作品が多かったためである。

 そもそもその頃のボカロPたちは“初音ミクなどのボーカロイドで遊ぶ”ことを最大の目的としており、万人ウケするために作られていない曲が多かったように感じる。

 2011年に黒うさPの『千本桜』がヒットし、ボーカロイド楽曲が広く知られてからも、その価値観はあまり変わらなかった。それが現在、ボカロサウンドたちが時代の音楽を創っているのにはさまざまな要因が考えられる。

「ボカロ曲は明らかに機械音声」のイメージは古い!

 まず「ボーカロイドの進化」が挙げられるだろう。ボカロに詳しくない人たちからすると、ボカロ曲といえば明らかに機械が歌っている声のイメージがまだ強いかもしれない。

 だがボカロの音声技術は進化しており、現在は一瞬本物の人間が歌っているようにも聴こえるレベルまで向上しているのだ。さらにボカロPたちがさまざまな技巧をシェアし合い、創意工夫を凝らしていることもあり、クオリティは格段に上がっているのである。

 また、音楽性も昔より一般的なJ-POPのように多様なものになっている。PCを使用して音楽を作成する際に、どうしても打ち込み音楽っぽさが拭いきれなかった過去とは違う多種多様なサウンド。まるで生バンドのようなサウンドクオリティが聴く人の耳にも馴染んだことも、ボカロサウンドの人気の秘訣ではないだろうか。

 それでも機械音声に違和感を覚える音楽ファンにも曲を届けたいと考えるボカロPが増え、たとえばAyaseがikura(24)というヴォーカルと出会ったように、“本物の人間の歌声”を引っ提げてムーブメントを巻き起こしているのかもしれない。

レコード会社や審査員に認められるプロセスは必要ない

 ボカロP出身のアーティストたちが人気を得やすい理由は、そもそも現代の音楽業界の“売れ方”も関係しているだろう。

 CD全盛期だった1990年代の頃は、デモテープをレコード会社に送って目に留まった者や、オーディションで勝ち抜いた者だけがメジャーデビューし、脚光を浴びていた。

 しかし、いまのアーティストたちにはYouTubeやTikTokといった、すぐ世界中に発信できるSNSというツールが潤沢にあるのだ。レコード会社社員や審査員に認められるというプロセスを必要とせず、自分らしい音楽を好んでくれるリスナーに直で届けることができるようになったという背景があり、YOASOBIや米津玄師のようなアーティストが生まれやすくなったのではないだろうか。

 ――今後もボカロP出身のアーティストが続々と見つかり、シンデレラストーリーを描いていくに違いない。

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