大河初出演にして初主演の横浜流星、「なぜ僕が…という気持ちが」と告白するも全力投球宣言
週刊女性PRIME / 2025年1月5日 18時0分
「なぜ自分を選んでいただけたのか、というのは今でも思っています」
とは、横浜流星。1月5日よりスタートする大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に主演している。
覚悟を持って作品を届けたい
「大河ドラマは、もちろん目標のひとつとしていた作品。でも、それよりも“なぜ?”というのは大きかったかもしれないです。NHKの別作品に携わった後、大河ドラマの主演を務められている方が多いと思うのですが、僕はNHKの作品に携わったことがないので初出演、初主演。でも選んでいただけたからには、覚悟を持って作品を届けたいなと思います」
演じるのは、蔦屋重三郎(愛称は蔦重)。吉原の貧しい家に生まれ、引手茶屋(遊郭で客を遊女屋に案内する茶屋)“駿河屋”の養子に。貸本屋から身を起こし、書籍の編集・出版業を手がけ、“江戸のメディア王”にまで上り詰めた人物だ。
「プレッシャーに関しては“大河ドラマだから”というものはないです。どの作品も、すべて100%でやっているので。そうでないと、他の作品に失礼なので」
クランクインしたのは6月。撮影は1年以上続く。
「江戸時代を生きることも、1年以上かけて作品や蔦重と向き合うことも挑戦だと思いますし、役者としてとても贅沢で幸せなこと。準備が多い作品だと“時間が足りないな”と思うことが多いので。そこを大事にしながら、みなさんに愛される蔦重を作っていけたらいいなと思っています」
物語序盤の舞台は吉原。寂れかけた色街や、幼なじみの花の井(小芝風花)ら女郎たちの困りごとを知恵と人を思う気持ちで解決していく。
「いい意味で大河ドラマらしくない、すべてが(笑)。もちろんスケール感は別ですけど。派手な戦がないからこそ、商いの戦になっていて。展開もすごくスピーディーなエンタメになっています。なんとなく自分の中には“大河ドラマは堅い”というイメージがあって。
だから若者は構えてしまう部分もあると思うのですが、それが一切ない。大河ドラマファンの方々はもちろん、そうじゃない方々にも楽しんでいただけると思うし、届くとうれしい。そして、それが自分の使命なのかなと思っています」
蔦重は、一般的にはさほど有名な人物とはいえない。
「そうですね。ただ彼は多くの功績を残して、江戸を豊かにし、“江戸のメディア王”と呼ばれるようになる。今でいうと出版社の社長であり、プロデュースも営業もすべて自分で担う。本当に多才な人物だと思っています」
そんな蔦重の才能や魅力について聞いてみると、
「やっぱり、もともと持っているものもあると思うんです。情に厚かったり、責任感があったり、挑戦に失敗してもへこたれないメンタルだったり。いろいろあると思うんですけど、いちばんの魅力は自分ではなく誰かのために動けるところ。
吉原や女郎、絵師、そして世の中のために。そう思える人間は強いなと思いますし、やっぱり協力も得られるので、力が何倍にもなる。自分もそういう人間でありたい。自分だけではなく、誰かのためにも頑張れるような人間になりたいと思っています」
さらに、蔦重の行動力にも舌を巻く。
「とにかく真っすぐ、全力でやればいい」
「人間くさくて、すごく情けないところもありますが、行動力がすさまじい。第1回のラストで田沼意次(渡辺謙)に会うシーンがあります。今でいうと一国民が総理大臣に向かって意見を言うようなもの。毎回、彼のその行動力、そして“うまくいかないなら、次!”と切り替える発想力に驚かされます。
蔦重は、みんながどこかで“そう生きたい”と思っているような人間で、そこを深掘りすると“誰かのために”がある。人間としてすごくリスペクトしています」
吉原細見(吉原の案内書)の発行、書店作り、新人作家や浮世絵師の発掘、洒落本や版画の出版……。次々と新たな挑戦をしていく蔦重だが、その都度“出る杭は打たれる”。
「ことごとくやられているので(笑)。蔦重として生きているときは自分自身は排除していますけど、どこか共感しつつ、“うまくいかねえな”と思いながらやっています」
田沼意次役の渡辺謙とは1月公開の映画『国宝』で、親子役で共演している。
「『国宝』のときに食事に行って、いろいろとお話をさせてもらって。当時、自分は27歳だったのですが、謙さんからは“ちょうど流星と同じ年頃に俺も(大河ドラマ『独眼竜政宗』〈'87年〉の主演を)やった”と。そして“とにかく真っすぐ、全力でやればいい”という力強い言葉をいただいたので、その言葉を信じて」
蔦重の役作りは、彼が出てくる作品や資料を見たり、実際に生まれた場所に足を運んだり、専門家の話を聞いて、イメージを膨らませてきた。
「あと阿部寛さんが(映画『HOKUSAI』'21年で)蔦重をやられていたのでいろいろとお話を聞いたり」
阿部とはドラマ『DCU』('22年)で共演している。どんなアドバイスが?
「“流星らしく”と(笑)。でも、阿部さんのいろんな思いが込められてるので、それをちゃんとくみ取っていければと思っています。また、阿部さんが生きた蔦重は人生の後半のほう。
その部分は森下佳子先生の台本がまだ来ていないので、どうなっていくかはわかりませんが、阿部さんの蔦重を含めて落とし込みながら、自分にしか生きられない蔦重を生きられたらと思っています」
蔦重は最終的に江戸のメディア王となるが、横浜はどんな“王”を目指しているのだろう?
「うーん。でも、王になったら、それで終わってしまうので。自分は王にはならず、いつまでも高みを目指したいと思っています。すべてにおいて」
蔦重として生きる、横浜流星のサクセスストーリーの幕が上がる─。
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
毎週日曜夜8時~(NHK総合)ほか
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