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詩人・谷川俊太郎さん、20年以上通った行きつけ店の窮地を救った「魔法の言葉」

週刊女性PRIME / 2024年12月29日 11時0分

谷川俊太郎さん 写真/共同通信社

 詩人の谷川俊太郎さんが静かに息を引き取ったのは、'24年11月13日のこと。

 胸を打つ、あまたの言葉を残してきた谷川さんが生まれ育ったのは、東京・阿佐ヶ谷。そこに、谷川さんが20年以上も通い続けた店がある。

オープン当初から来店

「谷川さんと出会わなければ、今の僕はいなかったはず」

 そう話すのはイタリア料理店『松下雄二屋』オーナーの松下晋司氏。出会いは、店がオープンした'98年に遡る。

「35歳だった僕は、1500万円の借金をして、店を構えたんです。不安もありましたが、ビラを配った効果もあって、オープンからしばらくの間は毎日、満席状態でした」(松下さん、以下同)

 だが、開店から半年がたったころ、異変が起きる。

パッタリとお客が来なくなったんです。何が問題かまったくわからず、途方に暮れました。このままでは借金を返済できず、自己破産をすることも頭をよぎりました」

 そんな中、アルバイトの1人が、こんなことを話した。

“谷川俊太郎さんが来てくれているんですよ。自信を持ってください”と言うんです。客足が途絶えても、谷川さんだけはオープン当初からたびたび来店してくれていました。きっと、何か理由があるはずだと思い、聞いてみたんです。“なぜ、このお店に来てくれるんですか?”と」

ひと言が心の支えに

 その質問に、谷川さんはひと言だけ、こう語った。

「おいしいからだよ」

 これが松下さんにとって“魔法の言葉”となった。

「店は通し営業だったのですが、谷川さんが来られるのはピークが過ぎた午後4時ごろ。客数も少なく、丁寧に作った料理を提供できていたんです。当時キッチンを1人で回していた僕は数をこなすことに必死で、料理が雑になっていた。そのことに、谷川さんの言葉を聞いて気がつきました。そこで店をパーティションで間仕切りし、客席を24席から8席に減らしたんです。これなら丁寧に作った料理が提供できると思って」

 すると、徐々に客足が戻り、いつしか行列のできる人気店に。その間も、谷川さんは変わらず訪れていた。

「最後に来店されたのは、コロナ禍前でした。その後は姿をお見かけしないので心配していたら、ニュースで訃報が流れて……。

 うちの店は、芸能人だろうと政治家だろうと特別扱いはしていません。ただ、谷川さんだけにはずっとお礼を言いたいと思っていました。でも、変に気を使わせてしまい、来店しなくなるのではないかとの心配から言えませんでした。今は、言えなかったことを後悔しています

 谷川さんにしてみれば、特別扱いされない、心休まる場所だったのかもしれない。

「席数を減らしても、数か月は客足が戻らず不安な日々が続いていました。でも、谷川さんのあのひと言が、心の支えになったんです。谷川さんには感謝しかありません」

 谷川さんが紡いだ言葉は、永遠に残り続ける─。

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