キングオブコント準決進出の元芸人が教える、ビジネスでも役立つ“コミュ力UP”の会話術
週刊女性PRIME / 2024年12月27日 19時0分
「仕事先と距離をもう少し縮めたい」「あの人ともっと仲良くなりたい」「自分の殻をやぶりたい」など、コミュニケーション・人間関係の悩みを持つ方は多いと思います。SNSで『笑わせ学』を開講している人気ネタ作家・芝山大補さんに、コミ力アップのテクニックを聞いてみました。
お笑い芸人の会話術を日常に活かす
最初に自己紹介をすると、僕は芸人のネタを考える「ネタ作家」という立場で、これまで300組を越える芸人と仕事をしてきました。
また、お笑い養成講座で芸人の卵たちの講師をしたり、SNSで「笑い」の技術によってコミュニケーションが上手くなる方法などを紹介しています。
以前は芸人だった時代もあり、お笑いトリオを組んでいたときは「キング・オブ・コント準決勝」を二度経験しました。少し前に大炎上して芸能活動を休止しているフワちゃんとは「SF世紀宇宙の子」というコンビを組んでいたこともあります。
ネタ作家、お笑いの講師になって思ったのは、「お笑い」のテクニックってじつは日常のコミュニケーションにそのまま活用できるんだということでした。
インターネットの発展に伴いソーシャルメディアの利用者が増え、人とのつながりが多様化したと思える現代ですが、それに反して肌と肌を突き合わせて直接会話する機会が減り、コミュニケーションがうまくとれない人が増えてきている気がします。
ネットでは言いたいことを言えても、リアルでの会話が苦手という人は、社会に適応するのもむずかしくなります。
そんな人たちに知ってほしいのが「お笑いの芸人の会話テク」です。「相手を笑わせる」ことは、すなわち人とのコミュニケーションを良好にすることでもあるのです。
初対面や目上の人との会話で注意すべきこと
初対面の人とどう接していいかわからないのは、みんな同じです。
漫才でも、お笑いに慣れている演芸場の常連客の前と、イベントなどでお笑いに馴染みのない客の前で演じるのでは、緊張感が違います。会話においてもまず自分のキャラをわかりやすく伝えていきます。
明るいキャラなら元気に「挨拶」してキャラが早く伝わるようにしたり、暗いキャラなら「いつもテンション低い感じなのですが、元々こういうキャラなんで気にしないでくださいね」などと声をかけます。
そうすれば、相手は安心して会話ができるようになります。そこから、相手と雑談など交えて会話を進めていくとよいでしょう。ビジネスの場面でも、距離感をあえて近くして空気感を変えるのもひとつの手です。
また、職場などで上司や目上の人に対して、何か意見するシーンも少なからずあると思います。その場合のポイントとしては、要点の前にまず相手を褒めることです。
「いつも企画の発想力を学ばせてもらっています。しかしながら、あのプレゼンした企画にはこういう課題があると思っていまして〜」などと、相手の気持ちを良くしてからにすれば、意に反する意見も聞く耳をもってもらいやすくなります。
「キャラ」を知れば、会話は自然に進む
またビジネスの場など、3人以上で会話をするときは、それぞれの役割が決まっていると議題はスムーズに進行します。会話において必要な役割で考えると、大きく5つのキャラに分けられます。これは、自分がお笑い芸人時代の経験に基づいて気づいたことです。
その5つを紹介すると、まず行動力があって仕切りたがりの人は「ツッコミ」キャラ。自己主張が強く、意見をはっきり言う人は「ボケ」キャラ。
愛嬌があって親近感を感じる人は「いじられ」キャラ。性格が穏やかで話し方がマイペース、そして聞き上手な「癒し」キャラ。自由奔放な性格で、素っ頓狂な発言が多いのは「天然」キャラといった具合です。
それぞれのキャラは、会話の場において次のような役割を果たします。ツッコミキャラはリーダーシップをとって会話をまとめる、いわゆるMCです。
ボケキャラはとにかく発言して、何かを提案します。いじられキャラは、フレンドリーな性格を活かして会話を繋ぎ、その場を盛り上げる役です。
癒しキャラは、会話が止まったときや、議題が暗礁に乗り上げそうなときにほんわかした発言でその場を和ませます。天然キャラは、予想外の発言で議論にインパクトを与える要員といえます。
なかには、一人で複数のキャラを兼ね備えて発言できる人もいます。
ボケ+ツッコミ、癒し+ツッコミ、いじられ+ボケ、癒し+天然、はたまた3キャラ以上兼ね備えたマルチタイプなどいろいろありますが、話し相手のキャラをこの5つに分けて考えると、自分がどの役割をしてその場の会話を進めていくのがベターなのかがわかります。
自分や相手がどのキャラなのかを知って、役割を意識した会話を心がけてみてください。会話の進め方が今まで以上にスムーズになるはずです。
「お笑い」に慣れ親しんだ関西人や「お笑い脳」を持っている人は、会話上手だと感じています。彼らのテクニックを習得できれば、会話が楽になって、毎日明るくなりますよ。
芝山大補(しばやま だいすけ)●ネタ作家。1986 年兵庫県生まれ。2007 年、NSC 大阪校に入学。2009 年、2011 年にはキング・オブ・コント準決勝進出。現在はネタ作家に転身し、賞レースのファイナリストなど、芸人300 組以上のネタ制作に携わる。2019 年からは「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。現在はYouTubeやTikTokの活動のほか、大学や企業でも講演を実施し、より多くの人に芸人の技術を届けている。2024年12月には『お笑い脳 イヤなことをおもろいに変える芸人の思考法』(KADOKAWA)『じつは、関西弁が最強の話し方である』(主婦と生活社)を2冊同月発刊。
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