【食べるだけ】高血圧や便秘改善の健康効果、脂肪率減少も叶える「身近な食材」とは
週刊女性PRIME / 2025年1月12日 9時0分
年昆布について研究する大学教授が「昆布の連続摂取で、体脂肪量、体脂肪率を低下させる効果がある」と発表。正月太りが気になる人は、おせちやお雑煮づくりで残った昆布をたっぷり食べてみて!
昆布で体脂肪率が5%も減少
昆布の効果を研究している大妻女子大学家政学部植物学科の青江誠一郎教授に話を伺った。
「今回の研究では20~63歳の健康な日本人の男女44人を2つのグループに分け22人には粉末状の昆布入りクッキーを、残りの22人には昆布なしのクッキーを3か月間、主食代わりに1日6枚食べてもらいました。クッキーはココア味で、昆布の風味がココアでかき消されるため、被験者は自分がどちらのクッキーを食べているかわかりません」(青江先生、以下同)
その結果、昆布を食べたグループは食べていないグループと比較して、体脂肪率と最大血圧が低下。腸内環境も改善していたとのこと。
「体脂肪の減少がはっきりと確認されたのは男性の被験者で、体脂肪率が30%から25%になるなど、だいたい5%ほど低下しました」
体脂肪率が5%ほど減ると、ポコンと出っ張ったおなかが引っ込むなど、見た目にもはっきりと変化が現れる。これはかなりうれしい効果だが、女性は体脂肪率が減らなかったということ?
「そんなことはありません。肥満には皮膚の下に脂肪がつ<皮下脂肪型>と、お腹まわりの内臓に脂肪がつく<内臓脂肪型>があり、女性は皮下脂肪型、男性は内臓脂肪型が多いといわれています。内臓脂肪は皮下脂肪と比べると減りやすい、という特徴がありますから、3か月間という限られた期間では、内臓脂肪の多い男性に効果が出やすかったのでしょう。もっと研究の期間が長ければ、皮下脂肪の多い女性にも変化が見られたはず。また今回の研究では、女性の被験者を平均すると統計的に意味がある差が出なかっただけで、中には体脂肪率が減少した女性ももちろんいました」
一方、男女差なく効果が見られたのが、最大血圧と腸内環境。
「最大血圧は〈15mmHg→127mmHg〉〈14mmHg→120mmHg〉など20mmHg以上、低下した被験者が続出しました。最大血圧の基準値は140mmHg未満ですから、要は高血圧の危険信号がともっていた人が適正な血圧に落ち着いたのです」
では、腸内環境にはどんな変化が?
「私たちの腸内にはさまざまな種類の菌が生息していて、その中で身体にいい働きをする菌を善玉菌、悪さをする菌を悪玉菌と呼んでいます。腸内ではこれらの菌が椅子の取り合いっこをしていて、どちらの菌が優勢になるかで腸内環境の良しあしが決まりますが、昆布を食べたグループでは善玉菌の比率が5%ほど増えたことが確認されました。これは腸内環境が良くなったことを意味します」
しかも増えたのは、ダイエットに役立つ菌だったそう。
「善玉菌の中にはエネルギー消費を高める働きをする<やせ菌>と呼ばれるものがあります。今回の研究で比率が高まったのが、このやせ菌。その結果、エネルギーが効率よく使われるようになるので、脂肪も燃えやすくなります」
だし取り後の昆布を捨てちゃダメ!
代謝が落ちて太りやすくなり、生活習慣病も気になる中高年世代にとって、昆布はまさに救世主!? では昆布のどの成分がこれらの効果をもたらすのだろうか?
「結論からいうと食物繊維です。昆布には3種類の食物繊維が含まれていますが、特に注目すべきなのがアルギン酸。これは水に溶けやすい<水溶性食物繊維>の一種で、昆布のネバネバした食感をもたらすもととなっています」
アルギン酸はワカメやノリなど他の海藻類にも含まれるが、昆布は重量の30%ほどがアルギン酸で、含有率が高いのが特長。
「アルギン酸はそのネバネバで、食事でとった余分な脂や糖分、塩分を絡めとって便として体外に排出してくれます。すると、吸収される脂分や糖分が減るため、体内の脂肪量が減少。高血圧の原因といわれる塩分も排出されるので、血圧が下がるのです。また水溶性食物繊維であるアルギン酸には、善玉菌のエサとなったり有害物質の排泄を促したりする働きもあるため、腸内環境も整います」
腸内環境を整えることは、便通の改善や免疫ケア、肌荒れの緩和も期待できる。不足しがちなミネラルやビタミン類も豊富でうれしい限り。今すぐにでも昆布をとりたい気持ちになるが、どんな食べ方をするといい?
「おすすめなのはだしを取った後の昆布の活用。だしとして引き出されるのはうまみ成分だけで食物繊維はそのまま昆布に残っていますから、十分な健康効果が得られます。細かく切ってしょうゆやポン酢などお好みで味つけすれば、おいしい副菜になります」
この方法なら昆布の唯一の注意点も気にする必要がなくなるそう。
「昆布にはヨウ素という栄養素が含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となるなど身体に必要なものですが、甲状腺に何らかの異常がある人は、とりすぎるとよくないことが知られています」
しかしだし取りすると、その過程でヨウ素の95%が水に溶け出す。
「ですから、だしを取った後のほうが安全に昆布の食物繊維をとることができます。なお、だしにはヨウ素が溶け込んでいますが、水で薄まっているため、飲んでももちろん問題はありません。寒い季節には鍋料理がおいしいですが、昆布を入れるのもよいでしょう」
昆布にはとろろ昆布など食べやすく加工されているものもあるが、それらでもいい?
「とろろ昆布は昆布を酢に漬けたあと、薄く切ったもの。酢には成分を引き出す作用がある上に薄くスライスされていますから、有効成分が腸の中で出てきやすい状態になっています」
昆布にはミネラルやビタミン類、老化防止・アンチエイジングに役立つ色素成分も豊富。おいしく食べるうちに、いつの間にかやせて、肌も髪もツヤツヤになっているかもしれない!?
だしを取った後の昆布活用法
塩ふき昆布
【材料】
だしを取った後の昆布(乾燥させておいたもの)
かつお節 いりごま
※分量はすべてお好みでOK
※以下はお好みで 青のり、のり、塩、七味唐辛子、松の実、ミカンの皮の粉末など
【作り方】
1.だしを取った後の昆布をせん切りにし、ザルに入れて手早く水で洗い、ぬめりを落とす。
2.昆布とAを底の広い鍋に入れ、弱火~中火で焦げつきに注意しながら水分がなくなるまで混ぜながら加熱する。
3.天板の上に、シワにしたオーブンペーパーを敷き、100度で30分ほど様子を見ながら加熱する(昆布を半生状態に乾燥させる)。
4.冷めたら塩、きび砂糖をよく絡め、ひと晩常温におき完成。
昆布のつくだ煮
【材料】
だしを取った後の昆布 25g
しょうゆ 大さじ1~2
みりん 大さじ11~2
酢 大さじ1弱
かつお節 適量
【作り方】
1.昆布は1~3cm角の大きさに切る。
2.小さめのフライパンで、1にしょうゆ、みりん、少量の酢を加えて、さっと炒める。
3.全体に調味料が行きわたったら、かつお節を入れて絡め、できあがり。
昆布のふりかけ
【材料】
だしを取った後の昆布(乾燥させておいたもの)
かつお節 いりごま
※分量はすべてお好みでOK
※以下はお好みで 青のり、のり、塩、七味唐辛子、松の実、ミカンの皮の粉末など
【作り方】
1.だしを取った後の昆布は小さくハサミで切って、カラカラになるまで干しておく(オーブンを使用すると、乾燥が早いのでおすすめです)。
2.ミキサーもしくはフードプロセッサーで、乾燥した昆布を細かくする。ある程度粉末状になったら、いったかつお節を加えてさらに回す。
3.昆布とかつお節が均一に混ざったら、いりごま、青のり、塩、七味唐辛子などをお好みで加え、かき混ぜてできあがり。
昆布と大豆の煮物
【材料】
乾燥大豆 1カップ(140g)
だしを取ったあとの昆布 100g
しょうゆ 大さじ3
※分量はすべてお好みでOK(昆布の量はお好みでいいですが、だしを取った後なので、新しい昆布を使う場合より多めがいいでしょう)
※お好みで砂糖、みりんなどを入れてもOK
【作り方】
1.大豆は前の日から水につけておき、戻しておく(水は豆の4倍くらいの量が適量)。
2.大豆と昆布を、活力鍋(圧力鍋に比べ高圧)にそれぞれ入れて、水200ml、しょうゆを入れます(今回は減塩しょうゆを使用)。
3.オモリがふれてから1分間で完成(活力鍋を使用した場合。普通の圧力鍋の場合は3~5分程度)。
栄養学者(食物繊維)。大妻女子大学家政学部教授。日本食物繊維学会副理事長。食物繊維の機能性、消化管機能、メタボリックシンドロームなどを研究。2007年日本栄養改善学会学会賞受賞、2010年日本食物繊維学会学会賞受賞、2022年日本栄養・食糧学会学会賞受賞。
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