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《2030年のニッポン》医療・介護の低下、高齢者の貧困「暮らしとお金、衝撃のシナリオ」

週刊女性PRIME / 2025年2月2日 12時0分

※画像はイメージです

 物価上昇や年金不安など、一向に明るい兆しが見えない庶民の生活だが「今はまだマシ。今後5年で社会は急速に変わり、経済環境はますます厳しくなる」と予測するのは経済評論家の加谷珪一さん。3人に1人が「老人」となる2030年の日本に何が起きるのか?「まだ先」と思っているアナタにこそ、ぜひ読んでほしいー。

高齢者層に待ち受ける悲惨な未来

 物価高騰が続いている。インフレにより食料品や日用品が値を上げ、苦しい生活を強いられている人は多いだろう。高齢化率30%超といわれる5年後はどうなっているのか。

日本の経済状況は確実に悪くなっています。特に高齢者層には悲惨な未来が待っているでしょう

 こう予測するのは経済評論家の加谷珪一さん。まず加速するのが物価上昇だ。理由は日銀の大胆な金融政策にあるという。

「市場に出回るお金の量を増やし、インフレを意図的に引き起こそうとする”アベノミクス”の基本政策ですが、この政策が事実上、続いているため、物価は上がっていくことにならざるを得ません」(加谷さん、以下同)

 現在、物価の上昇率(消費者物価指数)は年2%程度で推移している。同じ状態が5年続くと全体の物価は1割くらい上がる計算に。

給料は上がらずに食料品などの値段が今よりも1割上がったら、相当厳しい生活を余儀なくされるはずです

 加えて、円安の進行が追い打ちをかける。要因は、米トランプ大統領が指揮する第2次政権にある。

「トランプ氏が掲げる政策を実行した場合、ドル高・円安につながりやすい。1ドル=160円台は通過点でしょう。円安が進むと輸入品の価格上昇を招くため、物価高に拍車をかけます」

年金は実質的に減額で増える医療負担

 庶民を苦しめる厳しい物価高。中でも大きな打撃を受けるのは年金生活者で、そこには深刻な問題が潜む。

近年、高齢者の年金は減額されています。年金財政を立て直す政府の改革によるものです。ただ、多くの人は減らされていることに気づいていないのです

 重大な事実に気づかないのにはカラクリがある。

「年金受給額は物価や賃金の上昇に応じて増える仕組みなので、本来はこの物価高騰で年金も相当額増えるはず。ですが現実には、先述の減額政策によって正規の増加は望めません。しかし、前年度と比較すれば多少なりとも増えているため、本来もっともらえることが見えにくくなっているわけです」

 年金の実質的な減額は長期継続される見込み。

「物価がどんどん高くなるのに対し、年金のほうは減っていくとなれば、生活は立ち行かなくなっていく。5年後、老後貧困に転落するケースは確実に増えていると思います」

 病院での医療費も高齢者には懸念される。内閣府の予測によれば、2030年には3人に1人が高齢者に。医療費増大を食い止めるべく、今後、自己負担増は避けられないそうだ

「医療費は年々膨らんでいるため、ある程度稼ぎのある高齢者の自己負担分が3割まで引き上げられるのは間違いありません。また、今年6月からの初診料・再診料の値上げや、来年8月からの高額療養費制度の自己負担限度額拡大が決まっており、重荷となってくるでしょう」

 さらに医療費削減の国の取り組みが、サービス水準の低下を引き起こすことも。

「例えば、病院での手術の予約がとれにくくなったり、薬でいえば薬価の低いジェネリック医薬品が多用されたりするなど、人によっては不安を感じる対応が増えそうです」

 医療だけではなく介護ニーズも、より高まることは必至。となれば、人手不足でサービスの質の低下も予想される。

 そのほか、物価が上がれば金利も上がるため、住宅ローンを変動タイプで組んでいる場合は負担増を警戒しなければならない。また、金利上昇は国の借金(国債)の返済額を増やし、財政悪化につながる。結果、「消費税10%から15%への増税も考えられる」と加谷さんは指摘。そうなれば、家計は火の車だろう。

AI化の影響で失業が増える業界とは

 一方、働き方の未来も見てみよう。話題となっている「年収の壁」問題。「103万円の壁」は今年中に引き上げられる見込み。103万円の壁とは、パートなどで働く人の所得税の負担に関わる年収額のボーダーラインだ。

「103万円から178万円へ壁を引き上げ、所得税を減税し国民の手取りを増やそうというのが国民民主党の案です。ただ大幅な税収減となるので実現は難しいでしょう。最終的には123万円と178万円の中間地点で決着するはず。壁の額にもよりますが、手取りはあまり増えないかもしれません」

 来年以降には「106万円の壁」が撤廃される見込み。106万円の壁のほうは、パートなどで働く人の社会保険料の負担に関わる年収額のボーダーラインだ。

「年収106万円を超えると、配偶者の扶養を外れ、自身で社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する義務が生じる壁です。壁の撤廃は社会保険料負担による手取りの減少をもたらすものの、将来の年金を増やすなどの利点もあります」

 ビジネスの現場ではAIの導入が進んでいるが、それによって職を奪われる人も出てくるという。

プログラマーやSE、オフィスワーク全般はAIに置き換えられていく。AIに代替可能なホワイトカラーの失業が増えていくでしょう。逆に肉体労働のブルーワーカーの人手不足は変わらず、賃金アップが望めると思います

金利上昇に備え今すぐやるべきこと

 さらなる物価高、インフレの時代に備え、お金に困らないようにするにはどうすればいいのか。

「物価が継続的に上がっていく局面だと節約では対処できません。賃金以外の収入源を持ち、世帯収入を増やすことが最適な解決策といえます」

 手段のひとつは貯蓄。定期預金がその第一歩に。

「物価が上がると定期預金の金利も上がります。手持ち資金を高金利定期に預けましょう。タンス預金ではお金を目減りさせるだけです

 次に投資。新型NISAを利用するのが鉄則だ。

「投資信託などを長期で積み立てていくこと。5年10年と続けていけば、安心安全に資産を育てられます。しかも税制優遇措置によって利益にかかる税金はゼロですからね」

 一方、変動タイプの住宅ローンを組む人は、固定タイプへの切り替えを検討しよう。

「要注意なのは、3年や5年、10年など固定金利の一定期間を経て変動に切り替わるローンを組んでいる人です。このタイプは通常の変動タイプとは異なり、金利上昇時に返済負担を抑える救済措置が大抵設けられていません。つまりこれから金利が上がったとき、ダイレクトに返済負担を増やすことになります。変動に切り替わるときが近いなら、早期の見直しは必須でしょう

加谷珪一さん
1969年生まれ。東北大学工学部卒。日経BP記者を経て投資ファンド運用会社で企業評価・投資業務を担当。独立後は中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は主に経済、金融、ビジネス分野の執筆やテレビ出演などで活躍中。


 

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