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風呂場で心臓発作、家電コードで転倒…冬に増えるシニアの自宅事故“死亡リスク”を減らす3か条

週刊女性PRIME / 2025年2月3日 7時0分

※写真はイメージです

 自宅の階段で転倒しかけるなど、60歳を過ぎたころから、日常のさまざまな場面で身体の衰えを実感するようになるもの。

冬に増える自宅事故

「個人差はありますが、加齢による筋力や視力、聴力などの低下により、65歳以上のシニア世代は、自宅事故のリスクが高まります。一度のケガで寝たきりになることもあるので、注意が必要です」

 と話すのは、防災対策に詳しい、防災介助士インストラクターの冨樫正義さん。厚生労働省のある調査によると、不慮の事故(交通事故、自然災害を除く)での死亡者数は65歳以上が全体の約8割を占め、そのうちの多くの事故が自宅で起きているのだ。

自宅事故で多いのは『転倒』、『誤嚥(ごえん)』、『入浴事故』の3つです。ただ、これらの事故は、加齢による身体能力の低下以外にも、住まいや習慣の中に原因があることがほとんどなので、50代、60代前半のうちからよくある事例を知ることで対策ができます

 また、寒い冬は自宅事故のリスクが増すという。

「冬場は暖房器具の使用による火災やヤケド、石油ストーブの使用による一酸化炭素中毒も考えられます。一番注意が必要なのは、ヒートショックによる入浴事故。

 実は夏場の家の中での熱中症による死亡者数より、浴槽内でのヒートショックでの死亡者数のほうが、16倍近く多いというデータも」

【転倒事故】一度のケガで一生寝たきりに

 厚生労働省の調べによると、65歳以上が介護を必要とすることになった原因の13%にあたるのが「転倒による骨折」だという。

「骨粗しょう症が進み骨がもろくなっている、特に70代以上は、大腿骨など歩行に関わる骨を折ってしまうと、治るまでの間に筋力や活力がどんどん衰えて、寝たきりになってしまうことも。

 50代、60代でも運動習慣がない人は、それだけで筋力が平均よりも落ちていますから、転倒による骨折で筋力が衰えてしまうと、外出などがおっくうになり心身に不調を来す可能性も」

 転倒事故を防ぐには、自宅を物理的に安全な場所にするのが大事だ。

床に物を置かない、滑りやすいスリッパは捨てるなど少しでも転倒の原因になりうるものは排除してください。また、意外と多いのが床と布団のわずかな段差につまずいてしまうケースなので、布団は毎朝きちんと畳むか収納を。

 視力の低下により、段差や階段が見えにくくもなっているので、部屋の明るさも重要。古い電気はLEDに取り換えてもいいかもしれません」

 家電などのコードにつまずいてしまうことも多い。冬場は電気ストーブなどの暖房器具を設置する家庭も多いが、転倒事故だけでなく火災の原因にもなるので要注意。

「コード類は動線上に置かない、養生テープなどで床に貼りつけて固定するなど工夫をしてください」

【誤嚥事故】「ながら食べ」が命の危険に

「弾力のあるものや、かたいものがうまく飲み込めずに、食道ではなく気管へ入り込んでしまうことを誤嚥といいます。65歳以上の誤嚥による窒息での死亡者数は、転倒事故に次いで多い。

 シニア世代で誤嚥による事故が増える原因は、噛む力や気管に入ったものを吐き出す嚥下機能の低下、また、歯の機能の衰えなどが考えられます」

 身体の衰えのほかに、「ながら食べ」も要因となる。

テレビに集中したり、新聞を読みながら食事をすることで、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうのも、窒息事故の原因に。以前よりも自分の身体は食べ物を飲み込む力が弱くなっていると受け入れて、食事に集中することが大事です

 誤嚥は窒息だけでなく、肺炎の原因になることも。

「肺炎は肺の細胞に炎症が起こる感染症ですが、誤嚥をきっかけに起こる誤嚥性肺炎もあります。食べ物や唾液が気管に入ることで、口の中の細菌が肺にまで入り込んでしまうのが原因です」

 誤嚥を防ぐには、食べることに集中しつつ、急いで食べないことが鉄則。お正月に買ったお餅の残りを消費している家庭では、食べやすいようにひと口大にカットする、冷めた餅はかたくなり詰まりやすくなるので、熱いうちに食べきるなどを意識しよう。

【入浴事故】冬は溺死リスクが増す!

 寒い冬、自宅事故でのリスクが格段に上がるのが、入浴事故だ。

「前述したとおり、冬はヒートショックで亡くなる人がとても多い。ヒートショックは気温の急激な変動により、血圧が上下に大きく変化することで、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしてしまう健康被害のこと。

 冬の寒い脱衣所から熱い湯船にいきなりつかってしまうと、寒暖差が激しいため、起こりやすくなります。お風呂場で倒れると助けが呼びにくく、発見も遅れてしまう。また、気絶したまま浴槽で溺死してしまうことも

 浴槽と、脱衣所や浴室の温度差をなくすことが対策に。湯を張る時には、浴槽のフタをせずに湯気を利用して浴室ごと暖めたり、脱衣所に簡易ヒーターを設置しよう。

「また、実感はないかもしれませんが、入浴中の身体は浴槽のお湯による水圧を受けています。その状態から急に立ち上がることで、起立性低血圧が起こり、卒倒することもあります。

 浴槽から出る時は急には立ち上がらず、手すりなどにつかまりながらゆっくり立ち上がってください

 家族と同居している場合は、入浴前にひと言声がけを。溺れたり心筋梗塞で呼吸が止まった場合、一刻も早い治療が予後を左右するため、「今日はいつもより入浴時間が長い」と感じたら声をかけることも大切だ。

教えてくれたのは……冨樫正義さん●防災介助士インストラクター。サービス介助士、防災介助士、認知症介助士などを認定・運営する団体「公益財団法人日本ケアフィット共育機構」のインストラクターとして、年間50社以上の企業対象研修を担当。

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