がんで子宮と卵巣摘出の藤あや子、24歳下の再婚夫が術後に言った「赤ちゃんの…」に救われた
週刊女性PRIME / 2025年2月1日 17時0分
昨年5月、初期の子宮体がんと診断され、子宮と卵巣の全摘手術を受けた、歌手の藤あや子さん。体調に異変を感じたのは、大阪での公演中だった。
「3月ごろに腰痛と不正出血がありました。不正出血は数年前にもあり、お薬で出血が止まったので、また同じだろうと。でも腰痛は、なかなか治らない。前かがみになっても反らしても痛くて、トレーナーでもある夫にテーピングをしてもらいながらやり過ごしていました」
3週間ほど東京に戻れない中、体調を夫に話すと、すぐに受診するようすすめられた。
「東京に戻ったら、すでに夫が病院を予約していて(笑)。翌日、半ば強引に診てもらうことになりました。子宮内膜の細胞を少し取って検査する細胞診をやってもらうと、正常な細胞とは異なる『異型細胞増殖症』という診断でした」
腹腔鏡手術で全摘、お腹には5つの穴が
つまり“黒に近いグレー”であるため、4月上旬に紹介先の病院で検査をした。
「後に手術をしていただく先生に診てもらい、再度細胞を取って検査へ。結果は数週間先になるのですが、がんになる可能性がある細胞とのことで、『手術日を仮予約しましょう』と言われ、私の中では、“まだがんと決まったわけじゃないのになんで?”という気持ちもありつつ、キャンセルもできるからと、あくまで仮で5月2日に手術の予約をとったんです」
後日の診察で、初期の子宮体がんであると告げられた。このがんは子宮の内側を覆う子宮内膜に発生し、閉経後の50〜60代の罹患者が最も多い。約9割に不正出血の症状が見られるのも特徴だ。
藤さんは「がん」という言葉を聞いたとき、迷いは消え、覚悟が決まったという。
「『一部がん化しています』と言われた瞬間、『じゃあ取りましょう』って、スパッと気持ちが切り替えられました。がんとはっきり言われたことが、私はありがたかった。“手術日を仮予約して良かった!”と思いましたね」
ゴールデンウイーク中の5月1日に入院。翌日、子宮と卵巣の全摘手術を受けた。
「担当医からは、がん細胞が増殖すれば卵巣や腸、肺などほかの臓器に転移する可能性もあると言われて。その可能性をなくすためにも卵巣まで取ったほうがいいと告げられ、私も納得しました」
藤さんが受けたのは、内視鏡手術支援ロボット・ダビンチによる腹腔鏡手術。腹部に5か所の小さな穴をあけ、臓器を切除。腹腔内でそれを袋に入れ、膣から取り出す方法で行われた。出血量が少なく、身体への負担も少ない。手術後、夫からかけられた言葉に「心が救われた」と言う。
「手術のあと、摘出した臓器を先生が見せてくれたそうなんです。夫とは55歳のときに再婚したので、子どもを産んであげられなかった。それなのに突然、私の子宮や卵巣を見ることになって、『申し訳なかったね』と謝ったら、『子宮は赤ちゃんのベッドだから』と全然気にしていなくて。そのひと言で、術後の傷ついた心が癒されました」
翌日には点滴が外れ、体力が落ちないよう階段を上り下りしてリハビリに励んだ。そのかいもあって手術からわずか4日後に退院。
「病院から外に出た瞬間、『私は生きている』と思いました。思わず太陽に向かってヨガのポーズをとりたくなって、『人間はこうやって生かされている』と、ありがたい気持ちになりました」
それから半月もたたない5月中旬には復帰。短期の療養期間で、早期に仕事を再開できたのは、日頃から続けている身体づくりの賜物だ。
がんで他界した母と同じ年齢で病気に
「ヨガはもう12年続けています。ヨガマットの上で、自分の身体と魂に向き合い、感謝をする時間が私には心地いいんです。58歳から始めたパーソナルのキックボクシングも6月には再開。50分間、パンチやキックを繰り返すのはかなりキツいですが、おかげで体幹が鍛えられています。以前と比べても、いい歌声が出るようになりました」
現在、藤さんは63歳。偶然にも母親が他界した年齢と同じ年にがんが見つかった。
「母は原発不明がんでした。63歳で亡くなるのは少し早いけれど、当時は仕方ないと思っていたんです。でも同じ年になってわかりました。まだやりたいこともあって悔しかっただろうなと。がんが見つかったのは“私の分まで頑張るのよ”という母からのメッセージだと思います」
母と違うのは、幸いにも「早期に見つかったこと」だと、藤さんは強調する。
「母は大の病院嫌いでした。健診も受けていなかったので見つかったときには手遅れで……。だから早期発見が大事。女性のみなさんには年1回のがん検診は必ず受けてもらいたい。子宮頸がんの検診のときに、子宮体がんも一緒に検査してもらうなど、先生に相談してみてください。いつもと違うと思ったらすぐ病院に行く。自分の身体にマメになりましょう」
痛みや出血に慣れている女性は、小さな不調をそのままにしてしまうこともある。
「女性は我慢強いので、異変があっても軽く考えがち。そんなとき、心配してくれる家族や友人がいると安心です。一人で抱えるのではなく、『今体調がこんな感じで』と、友人や家族に打ち明けてみてください。誰かに話すことで、病院を受診するきっかけになるかもしれません」
『もう年だから』は禁句
がんを公表してから、ブログやSNSでも反響が大きく、同じ病気を経験した女性とのつながりもできた。
「驚いたのは、子宮体がんを経験された方が非常に多いこと。いただいたコメントには私自身も励まされました。昨年はがんを経験して、人生の転機となった一年でした。今までは歌手として発信する場がほとんどでしたが、これからは女性の皆さまの応援団として、がん検診の重要性を広め、さまざまな活動をしていきたいです」
年齢を重ねても、いつまでもエネルギッシュに活動するための秘訣を聞くと、「50代以降は運動」と藤さん。
「女性はホルモンが低下すると骨にくるので、身体を支える筋肉が必要。運動は毎日やっても苦にならない程度のものがおすすめです。私は、洗面所の壁を使って体勢を斜めにして20~30回程度の腕立てをする『斜め腕立て伏せ』を毎日の習慣にしています」
年をとると、身体を動かすことが億劫になる。しかし、藤さんもヨガやキックボクシングを始めたのは50歳以降。
「いつまでも若々しく過ごしたいなら『もう年だから』は禁句。私は還暦になったとき、まだ何でもできる身体だし、いろんなことに挑戦できると思ってワクワクしました。自分を甘やかしながらでいいので、今日からできそうな運動を始めてみてください」
歌手生活は今年で38年を迎える藤さん。
「長年、こうして歌を歌えることに感謝しています。歌い手の先輩の中には、キャリア60年以上の方もいます。私なんてまだまだ。先輩方のように何十周年も続けられる歌手を目指したいです。そのために必要なのは健康。自分を大切に、心と身体のメンテナンスを続けていきたいです」
藤あや子(ふじ・あやこ)
秋田県出身。1987年に歌手デビュー。歌手のみならず、バラエティー番組への出演、保護猫活動など、多方面で活躍。東北出身の吉幾三さんとコラボしたシングル『雪の花』、それらを収録した『藤あや子ザ・ベスト』が発売中。
取材・文/釼持陽子 写真/本人提供
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