「油」で生理痛やPMS解消、栄養士が教える上手な“選び方”と“とり方” 注目は「カメリナオイル」
週刊女性PRIME / 2025年2月11日 6時0分
「更年期などで悩む方には“女性ホルモン減少には勝てない”と思い込んでいる人も多いんです。しかたがないものだとあきらめていて、根本から改善しようという人が少ないのが残念です」
そう話すのは、「食べるフェムケア」を提唱する管理栄養士の伊達友美さん。これまで34年間のカウンセリングを行い、女性特有のPMS(月経前症候群)や生理痛、生理不順などで悩んでいる方に、食事の改善をサポートしてきた。
「女性ホルモンを整えるためには、日々食事で摂取する油の質がポイント。生理のたびに3日寝込むっていう方もいました。生理前にも鈍痛で1日起き上がれない日があり、始まっても1日か2日寝込んでしまうので、生理休暇が足りなくて困っていました。
そして、油の正しいとり方を実践されたところ、翌月は1日だけ寝込んだが、翌々月には生理休暇が必要ないほど生理の症状が軽減したという例もあります」(伊達さん、以下同)
更年期にも効く身体にいい油の選び方
女性ホルモンを作るコレステロールは、口から取り入れた油脂(脂質)とタンパク質などから作られ、食べるものを変えれば不調は改善するという。
「そもそも、女性の身体は水分の次に油分が多く、心臓機能や肌のバリア機能を維持するためにも良質な油であることが大事。特に更年期の女性は、閉経の影響もあり体脂肪率が高くなる方が多いので、適切な油の摂取が更年期症状の改善に効果的です。
油の質を見直すことは、ホルモンバランスの改善や更年期症状の緩和につながります。婦人科にかかり、ホルモン補充療法や漢方薬に頼る前に、油の摂取方法の見直しをおすすめします」
伊達さん自身、油のとり方を見直したことで不調が改善した経験がある。10代から20代にかけては、摂食障害で悩まされた時期があったそう。
「痩せれば痩せるほど美しいという強迫観念から、極端な食事制限をしていました。結果、生理は止まるし、肌はボロボロ。自分の命と向き合って、食生活を根本的に見直したのが、栄養学との出合いのきっかけだったんです」
生理は1か月の成績表、更年期は卒業試験
当時最先端だった海外の栄養学を学び「良質な油」の摂取が女性ホルモンの分泌、脳機能、血流などの改善、肌の健康に重要な役割を果たすことを知った。
「30代の中盤から食生活を見直したことで、生理が来るようになり生理痛もまったくない状態になりました。さらに更年期といわれる時期も何の不調もありませんでした」
ご自身の経験を通して、食事が女性にとっていかに大切かを実感したという伊達さん。
「生理は、1か月に1回やってくる身体の“成績表”なんです。経血を作るのに十分な栄養が体内にあれば、PMSも生理痛もありません。つまり“合格”ということ。お腹が痛いなど不調があれば今月の栄養は足りていなかったということで、“不合格”なんです。更年期障害は、初潮から閉経までの“卒業試験”というイメージでしょうか」
身体にいい油かを見極めるために、常温の状態で固体か液体かということもひとつの目安。
「牛脂や豚脂は常温で固体、植物油や魚油は常温で液体の場合が多いですよね。バターなど、常温で固体タイプの脂質は、摂取しすぎると体内でも固まりやすいということです。脳梗塞、心筋梗塞などの病気の引き金になる可能性もあります。
常温では液体タイプのオリーブ油など食用油に含まれる脂質のほうが体内でも固まりにくく身体にいい油とされています」
常温で液体の油を不飽和脂肪酸という。その中でもぜひ積極的に取り入れたいのが多価不飽和脂肪酸という種類のもの。
大豆油やコーン油に含まれるオメガ6系脂肪酸と、えごま油やあまに油などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸などがある。身体の中で作ることができないので、食事からとる必要がある油だ。
「ただし、オメガ6系脂肪酸はとりすぎると身体の中で炎症を促すといわれていて、逆に生理痛の原因になることも。女性ホルモンを整えたい皆さんにはオメガ3系脂肪酸のほうを意識して取り入れるとよいでしょう。
炎症を抑え、女性ホルモンを整えたり自律神経を整えるなどいろいろな健康・美容効果があるといわれています」
注目したいのは油の抽出法
油を購入する際、確認しておきたいポイントがある。
「油の搾り方が大切。低温・自然抽出されているものか、薬剤抽出されているものかで油の質が変わってきます。低温・自然抽出されている油を選びたいですね。値段が高ければいいというものでもないので、油脂の種類と搾り方をチェックしましょう。
また、食品から摂取する際はできるだけ加工の少ない自然な素材からがベスト。例えばナッツ類ではクルミが最も多くオメガ3系脂肪酸を含んでいるので、おすすめです」
1日に必要なオメガ3系脂肪酸の量はだいたい2gくらい。えごま油などの油でとるなら小さじ1くらい。クルミならひとつかみ分くらいが目安だという。油で摂取する場合は、注意すべき点も。
「酸化しやすいという特徴があります。なるべく酸化しにくいフレッシュボトルのものやアルミの分包タイプを選んで。
加熱すると一気に酸化してしまうので、調理に使わず、できあがったお料理にかけて生でとりましょう。また封を開けたものは必ず冷蔵保存して、45日で使い切るようにしてください」
サラダやヨーグルトにかけたり、納豆やキムチとあえるなど生で摂取するのがポイントだ。ちなみに、伊達さんが最近注目しているのが「カメリナオイル」というアブラナ科の植物カメリナサティバの種子からできている植物油だそう。
「酸化に強いので加熱調理にも使えますし、開封後も常温保存ができるので、1本でさまざまな用途に使えるのがいいですね。少しクセがあるので、苦手に感じる方もいるかもしれません」
口にするものを見直して、自分自身をいたわる食事を探してほしいという。
「家庭がある女性は、どうしても毎日の食事を“家族のため”に作らざるをえません。ですが、もっと“自分のため”に食事を作っていいと思うんです。ぜひ、ご自身が幸せになれる食事をとってほしいですね」
伊達友美さん●「食べて輝く美女になれ!書籍累計157万部の食事術」心も潤す管理栄養士。テレビ番組にも多数出演。クリニックやサロンで食事カウンセリングを34年間行い、戸板女子短期大学食物栄養学科のビューティ&ウエルネスの講義も担当。著書に『女性の不調は「油+(プラス)でよくなる』など。
取材・文/諸橋久美子
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