「SNSの真の力を改めて実感した」 旅先で父を助けてくれた見知らぬ人と...X上での〝奇跡の再会に感動広がる
Jタウンネット / 2024年10月16日 20時30分
上京して困っていた父を見知らぬ人が助けてくれた――2024年9月3日、そんな心温まるエピソードがX上に投稿され、話題となった。
投稿者は、Xユーザーの陽出子(ひでこ)(@Hidekodeko_fufu)さん。
陽出子さんは3回に渡るポストで、こんな一部始終を語っている。
「今日父が福岡から上京しました。
福岡空港で財布を落としてしまったと羽田空港からしょんぼりした声で電話が。
700円持ってるからなんとか電車には乗れると。
その電話を横で聞いていた30代ぐらいの男性(編注:後に父から直接話を聞き、女性と訂正)が『これを使ってください』と言って、見ず知らずの父に一万円を差し出してくれたそうです」
「父は『こんなに沢山頂けない。2千円程で充分です』と言ったが拒否され
『では後程お礼がしたいのでお名前とご住所を教えて下さい』と言っても
『困った時はお互い様です』
と言ってそのまま立ち去られたそうです。
奇特なお方って本当にいらっしゃるんですね。
今日の11時前の事です。
大阪の方だそうです。
お名前も全くわからないのですが、この場を借りて娘の私からお礼をお伝えしたいと思います。
本当にありがとうございました
辛い子供時代を過ごし苦労してきた父にとって、知らない方からの優しさは本当に嬉しかったようです。
このポストがその方に届きますように」
困り果てていた陽出子さんのお父さんに、1万円をくれたという、驚くべき人物。
名乗ることもなく、「困ったときはお互い様です」と去っていったとのこと、世の中にはこんなにいい人がいるのか......! と感動してしまう。
陽出子さんのこの投稿には、7万6000件を超える「いいね」(10月15日夜時点)が寄せられるなど、大きな話題となった。
しかし、この話はこれだけでは終わらない。
なんとこの"救世主"が現れたのだ。
お金を返すと申し出るも...「困ります」
陽出子さんの投稿の翌日、手作りの干し芋や餅を販売する「よしの産業」(兵庫県伊丹市)の"中の人"こと菅原ゆきこ(@agurifoodsyoshi)さんが、こんなコメントを送ったのだ。
「お父様は画家さんですか??
だとしたら、これ、私の事だと思います。
バズっててビックリしました
あの時電話していたのはお嬢様とだったのですね。
無事に帰れたなら良かったです」
大阪ではなく兵庫の方だったが、無事に陽出子さんの思いが届いたのだ。
その後、陽出子さんは「お金をお返ししたい」と申し出るも、菅原さんは
「困ります
3倍にして送り返しますよww
お金には生きてるお金と、死に金があると思ってて、今回は誰かのために生きてるお金を使えて良かったわ?とルンルンしてたので」
とまたしてもそれを辞退。
そこで陽出子さんは代わりに菅原さんの父が作っている「干し芋」を購入した。
あまりにも温かすぎる交流とその結末に対し、X上は感動に包まれた。
「全私が泣いた奇跡のつながり」
「まじでSNSって人を繋げるよな...最高...」
「素敵なお話 気持ちが温かくなったよ 情けは人のためならずだね」
「まだまだ捨てたもんじゃない。この世は優しさで満ちている」
多くのユーザーから、そんな声が上がったのだ。
お金を渡したことを「特に気にしていなかった」
Jタウンネット記者は今回の件について、菅原ゆきこさんと陽出子さんにそれぞれ話を聞くことができた。
9月12日、Jタウンネット記者の取材に応じた菅原さんは今回の繋がりを「偶然が幾重にも重なってできたご縁」だと語る。
「誰かに何かをしてあげたことは忘れるようにしている」という菅原さん。なぜならそれは、"その時できる範囲で勝手にしたくてやったこと"であって、見返りが欲しくて行動しているわけではないからだ。
だから、今回の件についても特に気にしておらず、「ちゃんとあの後帰れたかなぁ」と思っていたぐらいだった。
「家族には話のネタで、東京でこういうことがあったんだ~と言いましたが、この話は終わるだろうと思っていました」
そんな菅原さんは、X上で一部のユーザーから、菅原さんの行動に対し「裕福だから1万円をあげれたんだ」というような内容のポストされていたことが印象的だったと語る。
「私は金額に対する価値が納得出来れば、多少高くても払います。普段はお金を稼ぐ事より節約する方が実は儲かるという考え方なので、人には見えないパジャマやパンツは8年も同じものを使っていましたwしかもまだ捨てる気は一切有りません。服は基本破れるまで着倒しますw
これのどこが裕福やねんと言いたいw」
建築士で、インテリアコーディネーターでもある菅原さん。大体の事は自分でどうにか出来るため、気に入ったものは破れても壊れても直して使う。美容室代も節約して自分でカットやカラーもするほどなんだとか。
けれど、イベント等がありきれいに見せたいときは「それだけ払う価値があるから」と、信頼できる美容師さんに頼んでいるという。
使う時は使う、使わない時はとことん使わない。
そんな信条を持つ菅原さんにとって、陽出子さんのお父さんに渡した1万円も「渡す価値があると考えたお金」だった。
だから、X上で称賛の声が多く寄せられていることについては、「マジで大した事してへんのに」と首をかしげたそう。
「娘と娘の友達には『カッコいい』と言ってもらえました。
人生でそんな言葉言ってもらえるチャンスってあんまり無いので、これでもう本当に充分です」(菅原さん)
「自分の近くで起こるとは...」
10月4日、Jタウンネット記者の取材に応じた陽出子さんは、父親の身に起きた出来事について、こう語る。
「世の中には人助け等のとても良い話しを耳にする事はあっても、まさか今回のように自分のすぐ近くでそのような事が起こるとは思ってませんでした」
そして、自身の呼びかけをたくさんの人が拡散し、"恩人"である菅原さんまで届いたことに、さらに驚いたという。
「今回の私のポストは、日本の方だけでなく世界中の方の目に留まったようで、海外の方からもいいねやコメントを頂きました。
そして恩人の女性とご家族がやってらっしゃる干し芋のネット販売に、もの凄い数の注文が集まったとの事で、注文してくださった沢山の方にも感謝を伝えたい気持ちです。また私自身、父が頂いた一万円のお礼が少しは出来たのかなぁと思っております(もちろん私も父も干し芋を注文しました)」
今回の出来事で"SNSの真の力"を改めて実感したという陽出子さん。幾重もの偶然が重なって生まれた菅原さんとの交流は、今も続いているそうだ。
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