横浜刑務所発パスタが異例の売れ行き 「まるで生パスタ」 開発難航、受刑者にも変化
カナロコ by 神奈川新聞 / 2023年9月25日 11時20分
横浜刑務所(横浜市港南区)の受刑者がつくるパスタが異例の売れ行きとなっている。「もちもちしておいしい」「まるで生パスタ」などの口コミが広がり、4月12日に販売してから5カ月ほどで約8500袋売れている。同所の受刑者が手がけたことが一目で分かるように「横浜刑務所でつくったパスタ」と名付けた商品。苦難の開発を通じて、受刑者にも変化が訪れていた。
市営地下鉄港南中央駅から徒歩10分。横浜刑務所内の製麺工場では、白衣の受刑者がミキサー機で小麦粉と食塩水をこねて調合していた。できた生地は切り出して細長い麺にし、縦横2メートルほどのラックにかけていく。温度や湿度を調整しながら一晩乾燥させ、1本ずつ目視で検査。袋詰めを含む全行程を、20~60代の15人の受刑者が担っている。
刑務作業の指導や製品企画を担当する小山田勝・作業専門官は、新型コロナウイルス禍でパスタ需要が伸びているというデータに目を付け、昨年春から新商品の開発に着手した。「横浜刑務所をアピールできて、売れ筋となる商品にしたい」。
当初は太さが2ミリ前後のスパゲティを作ろうとしたが、生地を高圧で加工する必要があるなどの理由で開発は難航。それでも、世間で話題になるパスタを作ろうと、製粉会社から助言をもらいながら麺の厚さや水分量の細かな調整を重ねてきた。こうして同所で1998年から行っている「うどん作り」の製法を生かして完成したのが、平たい麺の「フェットチーネ」だった。
今年2月に開催された東京矯正管区の新製品開発コンクール(自由企画部門)に出品したところ、最優秀賞を受賞した。「これをきっかけに多くの人に認知されてほしい」。4月12日に販売を開始すると、評判が評判を呼んで同所の主力商品である「細うどん」に匹敵するヒット作につながった。
横浜刑務所には現在、犯罪傾向が進んだ受刑者の男性約900人が入所している。出所後の2年以内の再入率は減少傾向にあるが、小山田さんは「社会に出た後に就労できなければ再犯の可能性が高くなる。出所後に受刑者の『居場所と出番』をすぐに見つけてもらうためにも刑務作業で職業訓練を受けたり、資格を取ったり、食品製造に興味を持ったりして就労に結びついてほしい」と願う。
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