秦野の「幻の大根」、東海大生らが復活させ商品化を模索 そばの薬味で提供も
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年1月19日 5時20分
江戸時代に消滅したとされる秦野(神奈川県)の固定種「波多野大根」を東海大の学生らが再生、新品種「秦野大根」として栽培や商品化を模索している。昨年はそば店に薬味として提供し、利用客へのアンケートを通じて“幻の大根”の可能性を探った。担当する学生は「商品化して地域振興につなげたい」と期待を寄せる。
波多野大根は長さ約60センチ、直径約3センチ程度の細長い形状。秦野では古くから栽培されていたとされるが、1707年の富士山の宝永噴火や1800年代のタバコへの転作により途絶えたという。
同大教養学部の室田憲一教授の研究室は1804年の成形図説(農業図鑑)に掲載されていた波多野大根に着目、2013年に金目川流域や湘南海岸を調査して自生していた個体を採取した。室田教授は「当時は木の根っこのようでおいしくなかった。形がいいものだけを選んで残していった結果、肉質も滑らかに味も乗ってきた」と振り返る。
継代栽培を重ねて波多野大根のように育ち、新たに「秦野大根」と命名。大学近くの畑で200本ほど収穫できるようになった。細長くて水分が少なく、漬物や揚げ物に適している。ただ知名度はこれからで、現在は市内農家1軒が栽培するにとどまる。
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