「生きる意義見失う人の励みに」 ALS患者の畠中さん、逗子で講演と上映会 財団設立し支援活動に奔走
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年3月6日 5時0分
徐々に筋肉が動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者で逗子市在住の畠中一郎さん(65)が死の恐怖や絶望を乗り越え、人生を輝かせるために笑顔が必要だと講演などで訴えている。ALS患者を描いた映画の上映会を企画し、財団を設立してALS患者や家族の支援活動に奔走。「私の姿が生きる意義を見失いそうになっている人たちの励みになれば」と話している。
「私の病気に治療方法はなく、診断されてから平均寿命は3~4年。ゴールが見えたからこそ、残りの人生を輝かせることができる」。2月23日に同市内で開かれた映画上映会。車いすの上から笑顔で語る畠中さんの姿に会場から大きな拍手が送られた。
講演後に上映されたのは、ALSと診断されたフランス人実業家オリビエ・ゴアさんが余命宣告を受けても人生を諦めず生きる姿を描いたフランスのドキュメンタリー映画「不屈の夏」。上映後、畠中さんは会場出口で観客全員を見送った。
畠中さんは大学卒業後、海外勤務となり、1991年にアフリカ・コンゴ(旧ザイール)で暴動に巻き込まれた経験がある。多くの人が命を落とす中、なんとか日本に脱出。「なぜ自分だけが助かったのか」との思いから心的外傷後ストレス障害(PTSD)となった。「自分には使命があると思い込むことで精神のバランスを取り戻した」と振り返る。経営コンサルタントを長く務めたが、その「使命」をなかなか見つけられずにいた。
左のふくらはぎに違和感を覚えたのは、2021年4月のことだった。病院でALSと診断され、「なんで自分が」と戸惑ったが、「同じ境遇の人たちを助け、自分も救われることをしたい。それが自分の使命だ」と思うようになった。翌年にはALS患者や家族を孤立させないよう寄り添い、病気を乗り越える手伝いをするための財団を設立した。
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