愛川町内全域を巡回する移動スーパー いなげやが開始へ
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年5月25日 11時45分
超高齢社会が進展する中、いわゆる「買い物難民」に対応しようと、大手スーパーのいなげや(東京都立川市)は6月下旬から、愛川町内全域を巡回する移動スーパーを始める。同町からの投げかけをきっかけに実現したもので、町内全域を回る移動スーパーは初めて。町は同社と協定を結び、高齢者の見守り活動としても役立てる。
いなげやは同町内と隣接する厚木市内などに店舗がある。移動スーパーはいなげや厚木三田店(同市三田)が、鮮魚なども含めた食品を中心に300~400種、約1200点を軽トラックの移動販売車1台に積み込み、月曜から金曜に愛川町内で巡回販売する。販売価格は、商品単価にかかわらず店舗の価格に1品当たり20円上乗せする。
同町では山間部に近い半原地区などをはじめ、車を使わないとスーパーに行くのが難しい地域が多い。同社は移動スーパーに対するニーズを把握するため、5月10日ごろから町民約1万世帯を訪問して生の声を聞いた上でルートを決定する。地区の施設などでの販売ポイントを想定するほか、買いに来られない世帯には玄関先まで訪問するとしている。
同社は、徳島県発祥の移動販売事業「とくし丸」のフランチャイズに加盟して2017年10月から移動販売事業をスタート。東京都と神奈川県内で計25台の移動販売車を稼働させ、愛川町が26台目。県内では大和、横浜、川崎、厚木市に次いで5自治体目となる。
愛川町は移動スーパーの巡回開始を前に、買い物に来る高齢者など地域住民の見守り活動をしてもらう協定をいなげやと締結。小野澤豊町長と同社の土屋浩執行役員営業戦略統括部長が4月17日、町役場で協定書を交わした。
「長く買い物に来ていただいたお客さまが高齢化し『なかなか、いなげやに行けない』という声をいただき、移動スーパーを始めた」と土屋執行役員。これまで、常連のお年寄りの姿が見えないことに気付いたドライバーが、自宅で倒れているお年寄りを見つけて一命を取り留めたケースや、ろれつが回らないお年寄りに気付いて救急車を呼んだところ、初期の脳梗塞と判明したケースもあったという。
同町の高齢化率は31.5%で県内自治体の中では中間に位置する。小野澤町長は「協定により買い物支援への第一歩を切ることができた。住民が待ち遠しくなるくらい移動スーパーが定着してくれればうれしい」と期待を寄せた。
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