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パーティー券基準引き下げ「2枚ずつしか売れなく…」 自民党内、5万円超に広がる衝撃と不満

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年6月3日 13時40分

岸田文雄首相(資料写真)

 政治資金規正法の改正を巡り公明党に押し切られ、与党案のパーティー券購入者名公表基準額が10万円超から5万円超に引き下げられたことに自民党内に衝撃と不満が広がっている。2万円が相場というパー券の「匿名ライン」が下がることが購入辞退による収入減を招きかねないためだ。新人議員の事務所を中心に「2枚ずつしか売れなくなる」とのぼやきも。一方、党支持者らからは「国民無視」「反省ゼロ」などの批判が上がる。

 自民と公明のせめぎ合いには「出来レースの田舎芝居」(野党議員)との見方もあったが、自民関係者によれば「10万円はデッドライン」だった。麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長の派閥メンバーによると、2人は「引いたら万事が公明ペースになる」と抗戦を主張。並行して党執行部の間では「5万円が基準なら3枚売れたら公表対象になってしまう。せめて6万円にならないか」と「最低でも5より上の偶数決着」(自民幹部)との妥協案が浮上し検討されていたという。5月29日夜の岸田文雄首相、麻生氏、茂木氏の三者会談で「公明案受け入れが決まる」とされていた当初予定が覆ったゆえんだ。

 苦悩する岸田首相は翌30日に菅義偉前首相を議員会館に訪ねた。政府関係者によると、ライドシェアを巡る相談が主目的だったが「公明案の受け入れで難航している」旨を伝えた首相は菅氏から「(バナナの)たたき売りみたいなまねはやめたほうがいい」と忠告を受けたとされる。岸田首相は翌31日の公明党の山口那津男代表との党首会談で最終的に歩み寄った。菅氏は周囲に「参院で自民は過半数を持たない。公明の協力が不可欠なことは明らかだ」と説明したという。

 自民のベテラン議員によると「購入が明らかになれば地域で商売がやりづらい」などの理由で「パー券引き受け枚数を削減したい」と企業などからの打診が早くも始まったという。新人議員の秘書からは「参加費2万円だと(匿名希望の相手に)売れても2枚だから、1万円に下げて5枚売る」との善後策が漏れるなど問題の当事者としての反省や危機感は乏しいようだ。

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