神社本庁は「恣意的、独善的」 鎌倉・鶴岡八幡宮が離脱理由を説明「内部からの正常化、断念せざるを得ず」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年6月20日 15時34分
全国各地の神社を束ねる宗教法人「神社本庁」(東京)から鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市雪ノ下)が離脱したことを巡り、同宮の吉田茂穂宮司が20日、同市内で会見し、「組織活動は恣意(しい)的、独善的状況がみられると受け止められている」と述べ、田中恆清総長を中心とする神社本庁執行部を批判した。離脱する理由について「内部からの正常化を目指すことは断念せざるを得ない」と説明した。
吉田宮司は神社本庁のあるべき姿として、宗教的権威を象徴する鷹司尚武・統理を中心とする運営が必要だと説明。2022年に鷹司統理が体制刷新のため総長ポストに田中氏とは別の役員を指名したが、役員会は賛成多数で田中氏の続投を議決、現在も総長ポストを巡る裁判が続けられていることを問題視している。
さらに財産売却に関する不正の疑いを内部告発した職員を神社本庁が懲戒処分し、22年4月に最高裁は処分無効とし、神社本庁側が敗訴していた。吉田宮司は二つの裁判を例に「役員、職員の意識に(神社本庁設立の)初心が忘れられ、(執行部は統理の)権威をないがしろにしている」と述べた。改革を求める活動を行ってきたが、今回の離脱を運営正常化を求める問題提起にする考えという。
こうした批判に対し、神社本庁は「引き続き法令を順守した法人運営を行っていく」としている。
神社本庁は全国の神社約7万8千社を束ね、各神社の支援、神職養成などに取り組んでいる。鶴岡八幡宮は1946年に神社本庁設立当初から傘下の包括関係にあったが、今年3月、宮司や氏子総代らでつくる責任役員会が全会一致で離脱を決定。同月から離脱手続きを始め、今月、宗教法人法に基づく規則変更が県から認証され、法務局への登記を経て手続きが完了していた。
近年では、日光東照宮(栃木県)、富岡八幡宮(東京都)、金刀比羅宮(香川県)が神社本庁から離脱している。
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