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<鉄道記者コラム>夏草茂る岡山・布原、「夢の跡」に思う

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年6月24日 11時22分

伯備線布原駅近くの鉄橋を渡る各駅停車(2024年6月12日)

 伯備線布原駅は中国山地の山深い谷間にある。夏草が生い茂る里は川の音と牛の鳴き声がときおり聞こえるだけで静寂そのもの。6月の平日、日に数本しか止まらない山陰方面の各駅停車で降り立った。

 50数年を経ての再訪である。かつては蒸気機関車D51が3両連なる「3重連」を求めるファンで大いににぎわった。布原はSLブームを象徴していた。鉄橋を渡る勇姿を狙う山の斜面は人がずらりと並んだ。

 その斜面は半世紀で成長した樹木に覆い隠されていた。それでも当時の残り香を感じた。芭蕉の句「夏草やつわものどもが夢の跡」がなぜか浮かんだ。「鉄ちゃん」を「つわもの」にたとえるのは適切ではないのだろうが。 

 布原にはもう一人男が降りた。ブームには間に合わなかった50代前半に見えた。間もなく定期運行を終える特急「やくも」の「緑やくも色」旧型車両を撮りに来た。

 自然と鉄道をテーマに全国を歩く撮り鉄だという。自然を愛し、鉄道を愛し、消えゆくものに惜別の念を抱く。その心はこれからも受け継がれていく。(O)

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