横浜市委託の助産所で乳児死亡事故 両親は再発防止訴え 市などに損害賠償求め3日から地裁で裁判
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月3日 5時0分
横浜市が「産後ケア事業」を委託している助産所で2年前、乳児の死亡事故が起きていたことが分かった。出産年齢の上昇を背景に需要が高まる同事業だが、産後間もない母親の支援に主眼が置かれ、幼い命の安全対策は現場に委ねられてきた実態がある。両親は再発防止に向けた仕組みづくりの必要性を訴え、市などに損害賠償を求める訴訟を起こした。裁判は3日、横浜地裁で始まる。
訴状などによると、事故は2022年6月9日未明に市内の助産所で起きた。市から産後ケア事業の利用を認められた母親(34)は、1泊2日での宿泊を選択。当時生後2カ月だった長女を助産師に預け、別室で休息を取っていた。
助産師は茉央ちゃんにミルクを飲ませて寝かせた後、食事の準備などで部屋を離れたという。約30分後に異変に気付いた時には既に心肺停止状態で、間もなく死亡が確認された。死因は特定されていないが、ミルクの誤嚥(ごえん)による窒息死の可能性が高いとみられている。
両親は、事業主体の市が必要な指導を講じなかった上、助産師も注意義務を怠ったなどと指摘。睡眠中の乳児に対する定期的な呼吸確認をはじめ、市が適切な安全基準を設けなければ対応は現場任せになり、「再び同じような事故が起きてしまう」と懸念する。
しかし市の担当者は、そもそも母子が別室で過ごす状況を想定していないと強調。「母体を休めることが事業の主目的ではない」と主張する。事故の翌年度に配布を開始した利用案内の用紙にも「預かり希望での利用はできない」と明記したが、現場からは「預からざるを得ない状況は少なくない」との声が上がる。
乳児の母親は当時、初めての育児に心が張り詰め、満足に眠れない日々を送っていた。夫(31)は仕事で多忙を極めていたといい、1カ月健診で「産後うつ」の可能性を指摘されて保健師と面談。事業の存在を知り、すがる思いで申し込んだ経緯がある。
利用するのは事故時が3回目だった。助産所の支援を受けて心身の負担が軽くなった実感があり、「困っているお母さんにとって絶対に必要な事業」と力を込める。だからこそ、強く願う。「誰もが安心して使える仕組みを整えてほしい。それだけです」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
横浜の中学校跳び箱事故訴訟、原告の賠償請求棄却 地裁判決、事故態様を否定 原告側は「不合理な事実認定」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年11月27日 20時52分
-
ベッドガード事故で会社側に2666万円支払い命令 東京高裁
毎日新聞 / 2024年11月27日 20時29分
-
使用警告の表示不十分、再び認定 賠償は減額、ベッド柵事故
共同通信 / 2024年11月27日 18時47分
-
“産後ケア”をホテルで快適に 助産師と保育士が24時間常駐する新サービス 食事付きプランは1泊6万7100円~ 名鉄グループが新事業 東海三県で初
CBCテレビ / 2024年11月25日 19時58分
-
「線香1本あげにも来ていない。非常に不誠実」と母親 放課後等デイサービス送迎中に中1男子死亡した事件の裁判 大阪地裁
ABCニュース / 2024年11月25日 17時19分
ランキング
-
12025年に思い出が消える!?「ビデオテープが見られなくなる」問題【THE TIME,】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 9時0分
-
2輪島市など震度5弱、住民不安「電柱倒れるのでは」…元日とは別の断層の可能性
読売新聞 / 2024年11月27日 21時54分
-
3東京・文京区のマンション火災で2人死亡、火元は猪口邦子参院議員宅…夫と娘1人と連絡取れず
読売新聞 / 2024年11月28日 1時11分
-
4国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
-
5出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください