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横浜・磯子の老舗和菓子店、7月末に閉店 創業86年 3代目切り盛りも贈答文化衰退で売り上げ落ち

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月24日 19時0分

老舗和菓子店を切り盛りしてきた3代目店主の石原さん=横浜市磯子区磯子

 創業86年の老舗和菓子店「磯子風月堂」(横浜市磯子区磯子)が今月末で閉店する。3代目店主の石原マサミさん(56)が店を切り盛りしていたが、贈答文化の衰退などを背景に売り上げが落ち込み、のれんを下ろすことを決めた。「寂しさはあるけれど、悔いはない」とマサミさん。今後は和菓子職人としての経験を生かし、新たなビジネスに挑戦するつもりだ。

 同店はマサミさんの祖父が1938(昭和13)年に同市中区伊勢佐木町で創業。44年ごろ、現在地に移転した。50年代ごろから地元の横浜プリンスホテル(同市磯子区)で行われる宴会や三渓園(同市中区)で開催されるお茶会で同店の和菓子が提供されるようになり、人気を博したという。

 父親が2代目店主となってからは、濃厚なごまだれと弾力が売りの「ごまだれ餅」が区の「磯子の逸品」に認定され、生クリーム入りの「生どら焼き」なども人気を集めた。しかし、贈答文化の衰退の影響もあり、客足が遠のいたという。

 そうした中、15年ほど前に3代目として後を継いだのがマサミさんだった。

 以前はアパレル業界で10年以上働いていたというマサミさんは、高齢になった同店の職人2人が退職する意思を示したため「祖父、父と受け継いできた味を守りたい」と和菓子職人になることを決意。女性が職人になることは珍しかったが、一生懸命修行を積み、店を任されるようになった。

 年配者中心だった客層を広げるため、自由な発想で新商品の開発にも挑戦。クリスマスの雪だるまやハロウィーンシーズンのカボチャのお化けなど、変わり種の練りきりなどを販売し、多くの子ども連れも来店するようになったという。

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