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「ハチはなぜ空で迷わないの?」 昆虫好きの養老孟司さん、子どもの“難問”に独特の語り口 夏休み特別ゼミ

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月25日 5時0分

小学生らに趣味の昆虫採集の話をした解剖学者の養老さん=23日、鎌倉市雪ノ下の鶴岡八幡宮

 ベストセラー「バカの壁」などで知られる解剖学者の養老孟司さんが小学生からの質問に答える「子ども大学かまくら」の特別対話ゼミナールが23日、鶴岡八幡宮直会殿(なおらいでん)(神奈川県鎌倉市雪ノ下)で行われた。世界中を旅して昆虫の標本を集めるなど昆虫採集が趣味の養老さんが「昆虫は心臓がないのに生きているの?」「ハチはなぜ空で迷わないの?」と子どもたちから寄せられた“難問”に独特の語り口で答えた。

 子ども大学は、小学生らに学校では勉強しない学びの場を提供しようと2012年に発足。同市出身で東京大学名誉教授の養老さんが学長に就任し、子どもたちに毎年、講義やゼミを続けてきた。一方で昆虫標本集めをライフワークとして取り組み、今月から八幡宮内の鎌倉文華館鶴岡ミュージアムで、収集した標本の企画展も開いている。

 小学生25人が出席したゼミで児童から「夏になるとセミの死骸が落ちていて苦手」と言われると、養老さんは「自分は解剖学者。死んだら気持ち悪いとは思わない」と反論。「人間も死んだら『仏』と言われ、葬式では塩を配る。裏返して言えば(死者を)差別している。死んでいるからと差別しないで」と訴えた。

 「さなぎの中身はどうなっているの?」という疑問には「幼虫の細胞は溶けて新しい細胞を作っているので中身はどろどろ」とし、ハチが巣まで迷わない理由は「太陽の光を頼りにしているから」と解説した。

 特に心血を注いで研究を重ねているのは甲虫の仲間のゾウムシ。子どもたちにゾウムシの魅力を尋ねられると「種類も多く標本にするには殻が硬くて丈夫。見るとかわいくて日本には1600種ほどいるが、自分もまだ全部見ていない」と目を細めた。

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