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大けが克服、つかんだ初代表 パリ五輪体操男子団体・岡慎之助(星槎国際高横浜出身)「どん底」支えた医師らエール

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月29日 5時0分

大けがした岡の手術で執刀医を務めた林さん(左)とリハビリ担当の日高さん(右)=日高さん提供

 29日(日本時間30日未明)に行われるパリ五輪の体操男子団体総合決勝で2大会ぶりの王座奪還を目指す日本。星槎国際高横浜出身で初代表の岡慎之助(20)=徳洲会、星槎大=は2年前、右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがに見舞われた。代表入りまでの復活を裏で支えたのは、数々のアスリートをバックアップしてきた3人の医療従事者。「自分らしい演技を」─。どん底からはい上がった若者の活躍を、息をのんで見守っている。

 将来性のあるホープが挫折した瞬間だった。2022年の全日本選手権。決勝に臨んだ岡は跳馬で着地に失敗して右膝を負傷し、全治8カ月と診断された。

 「実は手術が難しかった」と語るのは、執刀医だった林英俊さん(60)。プロ野球では巨人、体操では過去に五輪2連覇の内村航平さんらが所属したコナミスポーツのチームドクターを歴任したキャリアを持つ。

 体の関節が柔らかい岡は、膝が正常な範囲を超えて後方に伸びきる「反張膝(はんちょうひざ)」の体質があった。競技の特性上、きれいに着地するためには膝の伸び具合が重要となる。「ちょっとでも可動域の制限や膝の曲がりが悪かったりすると点数が出ない。再断裂をさせず、とにかくきれいに直さないといけない」と林さん。性別、年齢、得意種目、けがをした種目と原因…。あらゆる構成要素を踏まえ、複数の術式から岡に合う最適な方法を選んでメスを入れた。

 術後から昨年6月まで、都内クリニックでリハビリを担当したのは理学療法士の日高宏一郎さん(35)。岡に松葉づえの使い方から復帰に必要な筋力トレーニングを指導してきた。自身も体操経験があったが、「五輪選手は違う」と感じたのは、劇的な回復力。手術後、3か月後の筋力測定では通常なら6、7割の回復だが、岡の場合は「ほぼ100%。左右差もほぼなくなっていた」と驚いた。

 岡は中学卒業後に岡山から神奈川に移り、社会人チームの徳洲会で腕を磨いてきた。高校時代からサポートを続けるスポーツ整形外科医の面谷透さん(37)は、当時15歳の少年を「成長のピークが来ていない小学生か中学生ぐらいの体だった」と振り返る。

 その頃は成長軟骨に重度の障害を抱えており、「彼が持っているパワー、競技レベルの高さに体が全く追い付いていない状態だった」。手首や肘に重い負担がかかる中でも、病状を悪化させないよう、患部には「集束型体外衝撃波」という特殊な治療を行い、骨の修復を促した。徳洲会・米田功監督らに各種目で行ってもよい技を助言し、「ぎりぎりのところを攻めてきた」。

 6年間の懸命なサポートは、6月のNHK杯優勝とパリ五輪代表内定で実を結んだ。大会翌日に岡が優勝カップを持って、治療に訪れた時は「予想外だったが、非常にうれしかった」と面谷さん。そして、期待を込めてこう送り出した。

 「彼が持っているものをしっかりと表現できれば、世界の舞台で評価されることは間違いない。健康な状態で試合に臨んで、無事に日本に帰って来ることを期待しています」

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