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【パリ五輪】柔道・村尾三四郎、桐蔭学園先輩と二人三脚で大一番へ 「不屈の精神」花の都でも

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月31日 5時0分

日本代表の村尾の担当コーチの小野さん(小野さん提供)

 パリ五輪の柔道男子90キロ級は31日に行われる。初代表でメダル獲得が期待される村尾三四郎(23)=JESグループ=と日本男子コーチの小野卓志さん(44)はともに桐蔭学園高のOBで、二人三脚で花の都までたどり着いた。かつては五輪の舞台に立った先輩と、初挑戦を迎える後輩が歩んだ道は決して順風満帆ではなかったが、高校時代に培った「不屈の精神」で大一番に臨む。

 かつて北京五輪81キロ級で日の丸を背負った小野さんは2021年から日本代表のコーチとなった。2人が最初に出会ったのは村尾が高校3年の時。解説の仕事をしていた小野さんは後輩の柔道スタイルを「大内刈りと大外刈りの強さや、腕が長く日本人離れした投げ感も良かった」と回想する。

 小野さんは村尾が柔道のように豪快な性格だと思っていたというが、「性格はめっちゃ細かい。自分自身の柔道の理解力も高い」と繊細さに感じ入った。常に相手を分析、研究して自分の中で突破口を見つける後輩のスタイルに引かれた。

 村尾は昨年の世界選手権3位、冬のグランドスラム(GS)東京大会では優勝を果たしたが、小野さんには「僕が良くなかった」と後悔したシーンがある。

 今年2月のGSパリ大会。村尾は今夏の五輪舞台でまさかの初戦敗退を喫した。宿舎までの帰り道、落ち込む村尾に「全然落ち込む必要はない。もう代表だって決まっているんだから」と小野さんは前向きな言葉をかけ続けたという。

 脚の故障を抱えた中、合宿も含めた調整での試合だったが「どんなに痛めても五輪には出ないといけない。課題を見つけるだけではなく、それを想定させるべきだった」。小野さん自身も北京大会でメダル候補と期待されながら無念の初戦敗退を経験している。「日本のお家芸」であり、その重圧を知っているからこそ言葉には厳しさも伴った。

 高校時代に培った2人の「不屈の精神」はここから再燃した。3月のGSアンタルヤ大会に向け、一から調整し直してきたという。

 「村尾、どうだ?」(小野さん)。「もう少しですね」(村尾)。組み手では言葉のキャッチボールをしながら徐々に村尾本来の柔道スタイルと調和していった。

 結果、同大会、4月のアジア選手権で優勝して自信を取り戻し、得意の足技にも鮮やかさが戻った。

 小野さんは言った。「試合の中では『待て』の時間しか言葉を出せない。うまく伝えていけるように準備していくことが自分の仕事だと思っている」。90キロ級では2大会ぶりの王座奪還に以心伝心の2人が挑む。

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