重要書類守れ、101年前の奮闘 関東大震災で神奈川県庁舎焼失、そのとき県職員は
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年9月1日 5時0分
約10万5千人の死者、行方不明者を出した関東大震災の発生から1日で101年。当時の神奈川県庁舎も1923年9月1日正午前に起きた震災に見舞われ、揺れによる損壊は大きくなかったものの、直後に発生した周辺の火災に巻き込まれて同日午後5時半ごろに全焼した。県立公文書館(横浜市旭区)所蔵の資料は未曽有の災禍に直面した県職員らの混乱、奮闘ぶりを今に伝えている。
当時の県庁舎は3代目。明治期を代表する建築家・片山東熊(とうくま)と部下の木子(きご)幸三郎の設計で震災10年前の13年6月に、現在の県庁本庁舎(同市中区日本大通)が建つ場所に完成した。
れんが造り地上3階、地下1階建てで、フランス風のバロック様式を採用。正面に和風の車寄せ、大ぶりに造られた屋根の中央部には尖塔(せんとう)を配すなど、全国の府県庁舎の中で最も壮麗と評されたという。震災で倒壊は免れたが、屋根が焼け落ちるなど内部は全焼し、取り壊された。
県の当時の人事関係文書「官吏進退記」(同館所蔵、知事官房作成)には23年9月1日の日付が記されたページに、死亡者として測候技師や港吏、消毒手など11人の氏名が書き残されている。同館資料課は「詳細は分からないが、日付からみて震災に関係して死亡した県職員を記したと推定される」とみる。
官吏進退記には、県庁内にあった重要書類「永代借地地籍簿」を震災による火災から守るために持ち出した嘱託の行動を「誠ニ奇特」とし、同年9月17日付で「金百円」を授与し、「其(そ)ノ功労ヲ推賞ス」との記録も残っている。
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