倒れた男性見つけ救援要請→心肺蘇生→AED持ち山道駆ける→搬送ヘリ誘導…丹沢で14人がリレー、奇跡の救命
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年9月12日 5時20分
4月に表丹沢の大倉尾根で倒れた心肺停止の登山者に対し、偶然居合わせた14人が連携してそれぞれの使命を果たし、命を救った。医療従事者、消防職員、山岳ガイドらの“山の神々”は今月7日、秦野市消防本部の感謝状贈呈式で約5カ月ぶりの再会を喜び、「奇跡のような現場」を振り返った。
市消防本部によると、4月13日午前8時半ごろ、山小屋「堀山の家」(標高約950メートル)から150メートルほど離れた地点で、50代男性が心肺停止で倒れた。
50メートルほど後方を歩いていた山岳ガイドの澤田のぞみさんは、男性が段差で足を滑らせたのかと思ったという。だが声をかけても反応がなく、頸(けい)動脈も振れていなかった。近くにいた医療従事者の女性らと周囲に応援を求め、たどり着いたのが助産師コンビの藤田ゆりさんと豊嶋優子さんだった。
2人は助産師としての経験は豊富だが、胸骨圧迫は練習した程度。それでも周囲の初心者らに「肋骨(ろっこつ)が折れてもいいくらいに強く」(藤田さん)と指導したという。計9人が数分単位で入れ替わり、心肺蘇生を繰り返した。
林道や登山道を走るトレイルランニングが趣味の運送会社勤務の白倉充さんは、さらなる人手を呼ぼうと「堀山の家」まで応援要請に走った。白倉さんが現場へ大急ぎで戻ってしまったため、山小屋にいた会社員の井上美輝(みき)さんに自動体外式除細動器(AED)が託され、現場へ急行。「蘇生が遅れることで命に関わると思うと、運ぶのが怖かった」と井上さん。約15分かかる距離を数分で駆け付けた。男性はAEDで脈を取り戻し、入院を経て社会復帰を果たしたという。
同じく通りかかった大貫松寿(しょうじ)さんは、川崎市消防局勤務で元航空隊員。狭い尾根で搬送用ヘリコプターが患者を拾い上げやすいスペースを見極め、救助員の降下地点を地上から指示するなどして円滑な救助に貢献した。「たまたま非番だったが、みんなでつないだ命。救命活動の重みを再確認できた」と振り返った。
同本部では井上さんは「尋ね人」になっていた。救命活動が進展するのを見届けて現場を離れたため、AEDを届けた人が不明となっていたのだ。後日、同本部が探していることを人づてに聞いて名乗り出た。「5年くらい表丹沢を登って数件救助現場を見てきたが、助かった人はいないと聞いていた。奇跡のような現場に少しでも貢献できたかな」と話した。
感謝状を受け取り、連絡先の交換や記念撮影をしていた豊嶋さんは「山小屋にAEDはあるか、充電されているものかチェックするようになった。今回を機にそういう環境の充実を広めてもらえたら」と話していた。
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