主食のコメにも物価高の波 新米流通もコスト上昇分転嫁 生産者には「適正価格」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年10月5日 20時10分
店頭に出回り始めたコメの価格が高騰している。流通量が落ち込んだ昨年産から作柄のいい新米に切り替わったものの、生産コストの上昇分が転嫁され始めた。物価高が主食の米価にも波及し、家計を直撃しているが、生産者側にとっては「適正価格」とも言えそうだ。
横浜市戸塚区のスーパー、アルズフーズマーケット戸塚店。新潟県産コシヒカリの足元の販売価格は、5キロで3千円台半ば。前年同期と比べると、千円余り値上がりした。主婦の金山はる子さん(76)は「高い」と驚いたが、「主食だから仕方ない」と財布と相談していた。
店側は昨年比1.5倍の仕入れ値を反映したが、奥津勝店長は「高くなり過ぎないよう企業努力している」と言う。価格競争もあり、競合店と見合いが続く。県内の別のスーパーは、千葉県産「ふさこがね」を5キロ3千円弱で販売。昨年はこの倍量で同価格だった。
コメは近年の物価高でも比較的、安定価格を維持していた。8月の全国消費者物価指数は一転、コメ類は前年同月比28.3%上昇し、49年ぶりの伸び幅に。猛暑による不作に加え、円安効果で増えるインバウンド(訪日客)の消費増や、災害に備えた買い占めが拍車をかけたとみられている。
農林水産省が発表した新米の作柄概況によると、流通量が落ち込んだ昨年産に比べ、全体的に収量、品質ともに上向く見込みだ。品薄が解消し始めたにもかかわらず、米価が高騰するのはなぜか。流通の「川上」をたどると─。
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