世界最大の空母「信濃」、29日に撃沈80年 建造の地・横須賀でしのぶ会
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年11月29日 5時0分
太平洋戦争中、世界最大の航空母艦だった旧日本海軍の「信濃」。横須賀の海軍工廠(こうしょう)で建造され、完成から9日後の1944年11月28日、空襲を避けるため横須賀を出港。翌29日に撃沈され、791人が亡くなった。撃沈から80年となる29日、市内の「居酒屋 空母信濃」ではささやかなしのぶ会が開かれる。
横須賀市史になどによると、信濃は「大和」、「武蔵」と同じ大和級戦艦の3番艦として起工され、途中で空母に設計変更された。全長266メートル、基準排水量6万2千トン。現在、空母化改装中の海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」より18メートル長く、重さは3倍だ。零戦など艦載機を50~80機ほど搭載する計画だった。
「とても大きかった。近くの駆逐艦がボートのように見えた」。少年通信兵として乗り組んでいた蟻坂四平さん(96)=宮城県=は振り返る。「皆、『不沈艦』と話していた」
戦局の悪化で横須賀も米軍機B29の爆撃が予想されるようになる。海軍は未完成だった信濃を「完成」とし、広島の呉工廠で残りの工事を完了させることにした。試験航海を除けば初の本格航海だった。横須賀工廠の関係者も乗り込み、艦内で工事しながら呉へ急いだ。
信濃には横須賀で開発、製造されたばかりのロケット特攻機「桜花」50機が積み込まれていた。大型爆弾1.2トンを積む桜花は、パイロットの死と引き換えに巨艦も撃沈できるほどの兵器だった。ところが、11月29日午前3時過ぎ、浜名湖沖で米潜水艦アーチャーフィッシュが放った4発の魚雷が命中。「1発目は魚雷と思わず、何かものにぶつかったくらいにしか思わなかった」と蟻坂さん。
船体がドンドン傾いていく。船体の水密区画が完成しておらず、ダメージを広げていた。蟻坂さんのように海に飛び込み、生還したのは千人ほど。波間に浮かぶ桜花の機体につかまり、助かった人もいたという。791人の死者には工事のために同乗していた工廠関係者約40人も含まれている。
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