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イトーヨーカドー前の「調和の彫像」どこへ? 40年たたずむも、こつぜんと姿消す 閉店した横浜・綱島店の正面に

カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年12月14日 5時0分

綱島のシンボルだった彫像=8月15日午後4時55分、横浜市港北区綱島西2丁目のイトーヨーカドー綱島店の現跡地

 8月に閉店したイトーヨーカドー綱島店(横浜市港北区)。その正面に40年以上にわたり立っていた彫像が、こつぜんと消えた。鳥をめで、角笛を吹く2人の女性をかたどった作品は、再開発を巡り混乱する地元の人たちにとって「調和」をもたらした「使者」でもあった。閉店に伴い、処分されてしまったのか。由緒をひもとき、行方を追った。

 彫像は、彫刻家・一色邦彦さん作の「舞い降りた愛の神話」(高さ2.2メートル、幅1メートル、奥行き0.5メートル)。地元の綱島商店街連合会によると、1982年のヨーカドー綱島店開店に伴い、地域の再開発の象徴として83年に設置された。

 一帯はもともと温泉街だったが、70年代からマンションや商業施設が立ち並ぶようになり、ヨーカドーの誘致が決まった当時は「客を奪われる」と商店街連合会が猛反対したという。

 しかし、開発元と交渉を重ねた結果、同店前の広場を商店街が管理してイベントを開催したり、地域をにぎわす象徴を立てたりすることで折り合いがついた。

 その象徴として、住民と市による委員会が彫像の制作を一色さんに依頼。名称は公募して決めた。当時の神奈川新聞(83年9月17日付)によると、設置を記念して同店で一色さんの作品展も開かれたとあり、「住民の心のシンボルとして親しまれるものと期待されている」と紹介している。

 開店から約42年を経た今年8月の営業最終日。同店前に押し寄せた常連客や住民からは「ありがとう」のかけ声や拍手が送られた。「当初疎まれた綱島店はこんなにも愛される存在になった」と振り返った同連合会の中森伸明会長は、「地域に訪れた調和は、まさに彫像のおかげ」と感謝した。閉店を惜しむ声がやまぬ中、主婦の中島きぬ子さん(76)は「長い間共に過ごし、愛着がある」と彫像への思いを口にする。

◆彫像は意外な場所に

 ところで、肝心の彫像はどこへ行ってしまったのか。工事用の安全柵に囲われた敷地内に10月まで立っていたのは、記者もこの目で見て確認している。まさか「地域の調和」という使命を見事果たしたとして旅立ったわけではあるまい。

 取材を重ねたところ、実は彫像は同店跡地の所有者から撤去を求められていたことが分かった。同連合会によると、8月に彫像の存続を要望して区も後押ししてくれたものの、最終的にかなわず断念したという。

 それでは「舞い降りた愛の神話」は今、どこに舞い降りているのだろう。中森会長の紹介で彫像の所有者である地元の再開発協議会を訪ねると、同店跡地近くのマンションの敷地内にひっそりと保管されていた。

 同協議会の竹生寿夫会長は「大切に管理していますから、安心して下さい」。11月に広場から撤去し、現在は移設先を探している最中といい、「長年地域のシンボルとして親しまれてきた彫像。なんとか皆さんの目に触れるところに戻したい」と力を込めた。

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