1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

<鉄道記者コラム>消えゆく「最北の秘境駅」 JR宗谷線抜海駅を訪ねる 

カナロコ by 神奈川新聞 / 2025年1月22日 12時46分

宗谷線抜海駅に到着した名寄行き各駅停車=2025年1月14日

 鉄道ファン、しっかり神奈川新聞社内にも生息しております。思うがままに訪れ、乗り、記した旅情、うんちく、郷愁…。「鉄道愛は続くよ、どこまでも」を地で行く鉄道記者コラム。

 「最北の秘境駅」として鉄道ファンに静かな人気のJR宗谷線抜海駅(北海道稚内市)が3月で廃止になる。そんな北海道新聞の報道に接し、すぐに駆け付けた。厳冬の1月中旬、年季の入った木造駅舎が雪の原野にあった。最果ての地の無人駅、廃止の運命も加わり寂寥(せきりょう)の感がある。

 日に数本しか止まらない普通列車が雪を蹴散らしやってきた。下車は鉄道ファンらしき男性1人だけ。後部に雪がこびり付いた列車が去ると駅の音が消えた。旭川駅が起点の宗谷線。名寄駅より北は鉄路の存続が危ぶまれている。

 宗谷線音威子府や幌延、豊富駅周辺の車窓は新雪の白いシーツを敷き詰めたような平原や丘陵が美しい。終着駅稚内の二つ手前が抜海駅である。一帯の独特の空気感が気に入り50年ほど前、消えゆく蒸気機関車を撮りに何度か訪れた。半世紀後は「抜海駅の最期」を記録する旅になった。

 旅の目的はもう一つ。オホーツク海や日本海で揚がる地場のタコなど新鮮な海産物と日本酒に舌鼓を打ち、大人の時間を楽しむことである。廃止間近の駅を撮り終え、のれんをくぐった居酒屋の肴(さかな)は絶品だった。

 だが旅は翌朝、暗転した。稚内発旭川行き特急が暴風雪で運休になった。「抜海は30メートルの風で運転再開の見通しは立たない」と駅係員。帰路に就けない。稚内から脱出する新たな旅の始まりである。(O)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください