平塚・保育園1歳女児死亡 元保育士の無罪が確定 検察側は控訴せず

横浜地裁（資料写真）

　神奈川県平塚市内の認可保育園で2017年、当時1歳の女児に暴行を加えて死亡させたとして傷害致死の罪に問われ、横浜地裁に無罪を言い渡された元保育士の女性（49）＝伊勢原市＝の判決が31日、確定した。期限の30日までに検察側が控訴しなかった。

　横浜地検は「検討の結果、控訴しないこととした」とコメントした。求刑は懲役10年だった。

　女性は、平塚市の中原保育園で女児の頭部に暴行を加え死亡させたなどとして、21年に逮捕、起訴された。

　今年1月16日の判決は、検察側証人の医師の証言は医学的根拠を欠いているとした上で「死因を確定することはできず、犯人として有罪とする根拠はない」などと指摘した。

　弁護団で主任弁護人の小林雄一郎弁護士は神奈川新聞社の取材に「約8年の間、捜査機関に疑われ、被疑者・被告人として扱われた精神的・肉体的負担は筆舌に尽くしがたい」などとコメント。「検察官が、亡くなられた園児の死因に関する不正確かつ誤った鑑定を基礎に、十分な医学的知見を得ない状態で起訴をしたためだ」と指摘した。

　その上で「保育の現場は、小さな子どもを預かる尊い職場。本件のように現場にいただけの保育士に責任が問われることになれば安心して職務を行うことはできず、なり手減少の原因にもなる。保育業務に携わる全ての関係者に大きな意味のある判決だ」と評価した。

　中原保育園は「亡くなられたお子様のご冥福をお祈りする」とした上で、「今回の判決確定を区切りとし、改めて身を引き締め、お子様やご家族に安心していただけるよう、また、職員が安心して働ける保育環境の維持・充実に努めてまいります」などとコメントした。