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茅ケ崎市立小で障害児にいじめ「重大事態」 市教委調査に外部専門家入れず 保護者は不信感「保身のための隠蔽」

カナロコ by 神奈川新聞 / 2025年2月1日 5時0分

クラスメイトからのいじめで1年以上、不登校の状態となっている男子児童が答えた学校のアンケート

 茅ケ崎市立小学校で発達障害のある6年生男児が同級生から日常的な暴行を受けたとして1年以上も不登校となり、男児の保護者がいじめ重大事態として調査している市教育委員会の対応に不信感を抱いている。国の基準は第三者の専門家を加えた調査委員会の設置を求めているが、市教委は教員と市職員のみで調査。保護者から不適切な対応を指摘された教諭も調査委のメンバーだったことから、保護者は「保身のための隠蔽(いんぺい)にしか思えない」と反発している。

■感覚過敏の症状、試すように

 保護者によると、男児は自閉症スペクトラム症から聴覚と触覚が鋭い感覚過敏の症状があり、日常生活でもささいな刺激で苦痛や不快感を感じるという。

 男児は5年生だった2023年5月からクラスメートの男児から「ほぼ毎日、複数回に渡り、殴られたり蹴られた」と主張。自分の障害について周囲に知ってもらおうと説明しても「うそ」と決めつけられ、感覚過敏の症状を試すように「これ、痛い?」などと何度も殴られたとしている。

 男児は家でも「(加害男児が)ベランダをよじ登って入ってくるのでは」とおびえ、医師からいじめが原因による適応障害と診断された。同年9月から不登校状態となったことで、市教委はいじめ重大事態として調査を開始した。

 加害男児が聞き取りに「ちょんと指で軽く押しただけ」と主張していることを根拠に市教委は「感覚過敏で殴られていなくても痛みを感じた可能性がある」と結論付ける。保護者は「嫌がる相手に何度も接触するのか。加害者が認めたことしか、いじめの被害として認定されない」と不満を口にする。

■国のガイドラインは「第三者性」求める

 13年にいじめ防止対策推進法が制定され、長期の不登校など深刻ないじめ事案に対して学校や教育委員会などに調査を義務付けている。文部科学省のガイドラインは調査委には団体や大学などから推薦を受けた弁護士や専門家らを加えて「第三者性」を確保するよう求めている。

 しかし、学校が設置した調査委は弁護士資格のある市教委職員が入っているほかは全て教員で構成。市教委によると、15年以降に調査委を設けたいじめ重大事態21件のうち、調査委に外部の専門家が入ったのは1件しかなかった。

 市教委は「国の基準はあくまで努力目標。市教委職員が第三者的な立場で判断している」と理解を求めている。文科省児童生徒課は「ガイドラインと異なる運用するなら被害者に寄り添って理解してもらうことが必要」と説明している。

■「心の病気かも」男児の吐露に養護教諭は

 学校には特別支援学級がなく、保護者は以前から「このままでは不登校になる可能性が高い」として、市教委に特別な支援を必要とする児童への学習支援を担う「ふれあい補助員」のサポートを求めたが、人的問題から断られた。担任教諭はクラスで感覚過敏について教えたが、エスカレートするいじめを止められなかった。

 保護者は男児がいじめから逃げるため、保健室の利用を求めて学校も了承した。しかし、避難するたびに養護教諭から「早く教室に戻ろう」と促され、男児は追い払われていると感じたという。さらに「自分は心の病気かもしれない」と言う男児に、養護教諭は「(あなたが)心の病気のわけないでしょ」と発言したとして保護者は「養護教諭の言動に傷つけられてきた」と不信感を強めている。

 この養護教諭は調査委の委員として参加。養護教諭は「暴力からの避難という認識はなかった。心の病気の発言もしていない」と説明するが、保護者は「なぜ学校にいじめの相談をして情報が共有されず、数カ月も有効な対策が取れなかったのか。この調査委では学校や市教委の対応を適切に検証できない」と批判している。

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